【壇上伽藍(だんじょうがらん)】 高野山の二大聖地で、シンボルの根本大塔がある

前回からの続きで、高野山を取り上げます。

高野山の総門である大門から徒歩6分ほど歩くと、壇上伽藍(だんじょうがらん)があります。

奥の院はお墓だらけで重々しい雰囲気がありますが、壇上伽藍は華やかな根本大塔があるせいか、明るい感じがします。

参拝記

高野山公式HPからマップを拝借。


壇上伽藍は、弘法大師空海が堂宇を営んでいたところで、真言密教の道場として高野山の中核となる部分です。

たくさんの建物がありますが、大半は江戸時代後期から昭和時代の再建です。

 

 

天台宗の総本山である比叡山(ひえいざん)延暦寺(えんりゃくじ)は、織田信長による焼き討ちにあいボロボロにされましたが、高野山金剛峯寺は信長が本能寺の変で死んだことにより、焼き討ちにあいませんでした。

(ウィキペディア「紀州討伐」より抜粋)

比叡山や高野山は寺社の中でも最高級の格を持ち、その中立性と不可侵性は中世を通じて尊重された。またその独立性は、権力者の介入を退けるだけの経済力と軍事力によって裏打ちされたものであった。一度境内に入ってしまえば、外の事情は一切考慮しない、誰でも受け入れる。ゆえに権力者が寺内で権力を振りかざすことも認めない ―― このような寺社の思想を伊藤正敏は「無縁」と呼ぶ。

織田信長は、寺社の「無縁」性が敵対者の盾となることを嫌った。比叡山に対する浅井・朝倉軍の退去要求、高野山に対する荒木残党引き渡し要求など、信長は敵方の人間を受け入れないよう寺社に対し要求した。これは外部に対する独立・中立性の放棄であり、無縁の思想からすれば受け入れられないものだった。こうして比叡山焼き討ち・高野攻めへとつながり、比叡山は滅び高野山は信長の横死によって命拾いした

羽柴秀吉も、寺社に対する姿勢は信長ほど苛烈では無かったものの、基本的には信長の態度を受け継いだ。高野山降伏後に秀吉は、謀反人や犯罪者を匿うことを禁止する、受け入れていいのは世捨て人だけだと告げた。天下人が全てを掌握し管理する近世中央集権体制にとって、権力の介入をはねのける寺社勢力の思想は相容れないものだった。

もっとも、この時代以前にも、例えば平清盛は朝廷より比叡山攻めを命じられており、また南北朝の争いにおいては比叡山は南朝方を支援するなどしている。

不可侵性が犯されたり、非中立的に外部権力との関わりをもったりしたのは、戦国時代が初めてというわけではない。

 


 

この綺麗な朱色の塔が高野山のシンボルである「根本大塔(こんぽんだいとう)」です。

ガイドブックにもよく載っているので、「高野山と言えばココ!」という方も多いのではないでしょうか。

根本大塔は、弘法大師空海が高野山を開創して、一番最初に着手した建造物です。

 

1843年に火災で焼失し、100年近く放置されていましたが、1937年(昭和12年)空海入定1,100年を記念して再建したもので、鉄筋コンクリート造りです。

再建するに当たり、鉄筋コンクリートを用いることについてかなり議論がかわされたそうです。

 

 

 

高さ48.5mで、かなり大きいです。
大人200円の入場料が必要で、中は撮影禁止ですので、根本大塔の中で写真をご覧ください。

 

根本大塔の内側は「大塔内陣」と言い、中央には胎蔵界大日如来、それを囲むように金剛界の四仏があり、「金胎不二(きんたいふに)」を表しているそうです。

 

金胎・・・剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)と、蔵曼荼羅(たいぞうまんだら)。

 

 

 

金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)

真理を論理的な側面、精神世界のものとして捉えている。私達が本来もっている仏性を、一切の煩悩に動ずることなく、世の中の一切の諸物諸現象から真理の宝をみいだし、一木一草にいたるまでこの世のあらゆるものの相互の堅い連帯感をもっておしみない慈しみをもち、大日如来の真理を達成するよう実践をおこなうことによって大日如来の真理を体得し成仏することのできる「智」の世界を図示。

 

 

 

胎蔵曼荼羅(たいぞうまんだら)

真理を実践的な側面、現象世界のものとして捉えている。どんなに煩悩うずまく世界にあっても、本来もっている浄菩提心(究極の悟りを求める心)を失うことなく、大日如来の徳を内蔵していることに目覚め、向上心をもってさとりへと昇華しえる「理」の世界を図示。
つまり「金胎不二(こんたいふに)」とは、金剛界曼荼羅(智)と胎蔵曼荼羅(理)は対照的であるけれども本来一つですよ、という意味だそうです。

(曼荼羅の写真は、九度山町の道の駅のパネルにあったものです。詳しくは、高野山霊宝館やさしい仏教入門HPでご覧になってください)

 


 

根本大塔は、他に、

  • 大塔内陣の十六の柱には、堂本印象さんが描いた十六大菩薩の仏画
  • 四隅には密教を伝えた八祖像
  • 内部正面の梁に飾られているのは昭和天皇宸筆の勅額「弘法」

があり、中身がギュギュギュと濃いようです。

あちこちの寺にある三重搭や五重塔とは違い、インドの覆鉢形塔に最も近い形式だそうですよ。

 

 

 

金堂(こんどう)。
高野山の「総本堂」で、さまざまな行事が行われているところです。
819年に弘法大師空海により創建されましたが、何度も火災にあい、現在は昭和7年に建てられた鉄筋コンクリート作りです。
伽藍壇上に最初に出来た御堂で、はじめは講堂として建てられました。現在の建物は8代目。

 

 

 

 

御影堂(みえどう)。
金堂と御影堂の間には三鈷の松という、三葉の松があります。

 

(ウィキペディアから抜粋)

三鈷の松 -金堂と御影堂の間にある三葉の松。

松の根が参拝者に踏まれないよう二重の柵で囲まれ、赤松と一緒に植栽されている。松は単体では生育しにくい性質を持つためにあえて、植栽している。

空海が、恵果から密教を受法後、大同元年(806年)、中国・寧波の浜から、「密教を弘通するため」の地を求めんと願いつつ、三鈷杵(飛行三鈷杵)を投げた。後に嵯峨天皇より、勅許を得て高野山を下賜され、伽藍を造営の途中に、空海が松に掛かった三鈷杵を見つけ、高野山を「修禅の道場」とするのに相応の地であると確信したという伝説がある。

空海の霊跡とされる。

この松葉は、三鈷杵と同じく三股に別れている。現在の「三鈷の松」は七代目で、平成期に植え替えられた。枯れたときのために同じ株から分けた松を別に育成している。

松は常緑樹が多いが、高野山の「三鈷の松」は秋から冬にかけて落葉するので、「再生」の象徴される。落葉した三葉の松葉は黄金色をしており、身につけていると「金運」を招く縁起物として、また、「飛行三鈷杵」の霊験にあやかるため、「お守り」とするために探し求める参拝者もいる。

 

とてもロマンチックな伝説だと思うのですが、中国から飛ばしたものが高野山に届いた、というのは私はあんまり信じていません(汗)。

 

お釈迦様がわきの下から生まれたとか、偉人には派手でロマンチックな話が付き物ですが、実際はもっと普通だったんじゃないのかなぁと思います。

 

弘法大師空海が、高野山を開創したとして、ほかに、

「空海が修行に適した土地を探して歩いていたところ、大和国宇智郡(奈良県五條市)で、黒白2匹の犬を連れた狩人(実は、狩場明神という名の神)に出会った。狩人は犬を放ち、それについていくようにと空海に告げた。言われるまま、犬についていくと、今度は紀伊国天野(和歌山県かつらぎ町)というところで土地の神である丹生明神(にうみょうじん)が現れた。空海は丹生明神から高野山を譲り受け、伽藍を建立することになったという

というロマンチックな話もありますが、奈良東大寺の別当職であった円明律師の父で、豊田丸という人が長く紀の国に住んでいて、早くからこの地をしっており、しばしば空海への手紙で浄地として知らせていたそうです。

 


 

こちら、九度山町にある丹生官省符神社の境内にあったパネル。

狩場明神と、空海を高野山に案内した白と黒の犬が書かれています。

 

神に導かれたのか、豊田丸から教えられて高野山にやってきたのか・・・。(神に導かれてやってきたお話の方が、ロマンがあって好き)

 

 

 

山王院。

 

 

狛犬が、なんだか独特的ですね。

(狛犬好きの方は、東郷神社の記事もご覧ください。ロボットみたいな狛犬があります)

 

 

 

山王院本殿(御社)。重要文化財。

さきほどの白黒二頭の犬を連れた狩人の話が出ましたが、この御社は高野山の地主神である丹生明神(にうみょうじん)と、狩場明神をこの地に勧請したもので、開創初期から作られていたそうです。(重要視されていたんですね)

伽藍大塔の西約100メートルの一段高い場所に位置し、その昔には、この辺りを御社山(みやしろやま)と呼んだそうです。

 


 

大塔の鐘。
「高野四郎」と呼ばれ、毎日五回(4時、13時、18時、21時、23時)、山内に時を知らせています。
弘法大師空海が鋳造を思い立ち、後に真然(しんぜん)大徳によって建立されました。

 

 

 

不動堂。国宝です。
建久8年(1197年)ないしは建久9年(1198年)の建立。
八大童子像(国宝)が安置されていましたが、現在は高野山霊宝館(入館料大人600円)に移されているそうです。

 

 

 

愛染堂。
不動堂の近くにあります。
1334年、後醍醐天皇が「朝敵退散の祈祷をせよ」と命じ、建立されたもの。安置された天皇の身柄と同じ大きさの愛染明王が安置されているそうです。

 

 

 

六角経蔵。(荒川経蔵)
焼失したため、現在はコンクリート作りです。
3560巻の経巻が残っており、高野山霊宝館に保存され、重要文化財となっているようです。

基壇の上に取っ手があり、それを押せば上部が回転するように作られたそうですが、今は枠だけが回るようになっています。
「これをまわせば、一切経転読のご利益がある」と言い伝えられているそうですが・・・、くるくる回すだけでご利益があるというのは・・・、「上手いはなしやなぁ~、そんなラクなはなしあるわけないやん~」、と思う私は、冷めているのでしょうか。(精神的な修行は各々がすべき修練であり、省けないものだと思う)

 

 

 

東塔。1984年再建。
伽藍の東北隅にあります。

 


 

西塔。国の重要文化財。
根本大塔とは対照的に、金剛界大日如来像と胎蔵四仏を安置。
伽藍の一番西北隅にあります。

 

 

 

三昧堂。
一番小さい堂宇。

堂の前に「西行手植えの桜」があります。
西行(さいぎょう)・・・平清盛と同年で、流鏑馬(やぶさめ)がとてもお上手だったそうです。イケメンで良い家に生まれましたが若くして出家、旅に出ます。鎌倉の鶴岡八幡宮で催されている流鏑馬は、源頼朝に西行がコツを伝授した翌年から行なわれるようになったそうです。

→→鶴岡八幡宮例大祭の記事はこちら・・・神奈川県鎌倉市。

 

 

 

孔雀堂。
本尊の孔雀明王は、仏師快慶の作として有名で、その胎内には役行者(えんのぎょうじゃ)が自ら彫ったという像が込められているそうです。

→→北口本宮冨士浅間神社②、吉田の火祭りと富士講の記事で、役行者(えんのぎょうじゃ)について触れていますので興味のある方はご覧になってください。山岳修行、山伏の開祖です。

 

 

 

准胝堂(じゅんていどう)。
弘法大師空海がはじめて髪をそる際、自らその本尊として彫刻したといわれている像が、このお堂の本尊です。

 

 

 

大会堂(だいえどう)。
徳川時代から壇上で一山の大衆が集まって法要を営む場合、ここに会合して法衣に着替え、威儀を正した場所だったそうです。

 

 

まだいくつか見所があるのですが、写真が多くなるし記事も長くなるので、このあたりでやめておきます。

 

 

高野山の土産物店にガイドブックが売られていると思いますので、詳しく知りたい方はぜひ、ガイドブックを探してください。

撮影禁止の写真も綺麗に掲載されているので、オススメです。

 

 

 

次は金剛峰寺を取り上げます。

 

関連記事

→→【比叡山と高野山、最澄と空海】 比叡山延暦寺紹介の前に、簡単に説明

 

和歌山県で弘法大師空海と関連のある記事です。

→→高野山①大門の記事はこちら

→→高野山②壇上伽藍(だんじょうがらん)の記事はこちら

→→高野山③総本山金剛峰寺(こんごうぶじ)

→→高野山④奥の院

→→慈尊院。空海の母と関わりの深い寺で、乳房型の絵馬がある・・・九度山町。

→→丹生官省符神社・・・九度山町。空海創建の社。

→→丹生都比売神社・・・かつらぎ町。丹生都比売神を祀る神社の総本社で、水神・水銀鉱床の神。

→→生石高原。ススキの名所で、弘法大師空海が護摩修行をした笠石がある。 

交通アクセス

公共交通機関で行く場合、南海高野線の極楽橋駅から南海高野山ケーブルに乗車し、終点の高野山駅で下車します。
遠方から行く場合、 新幹線利用ならば新大阪駅で下車→南海なんば駅→特急こうやに乗車。
飛行機利用なら、関西国際空港で降りて、南海電鉄に乗車し、なんば駅→特急こうや。

電車の乗り換えはヤフー路線などでお調べください。

高野山駅からは、南海りんかんバスに乗車します。壇上伽藍(だんじょうがらん)へ行くには、奥の院行きか大門行きのバスに乗り、千手院橋で下車します。
南海りんかんバス路線図、時刻、運賃

 

車で行く場合、高野山内にはたくさん駐車場がありますので、高野山駐車場マップで確認してください。

 

フリー切符

南海電鉄の「高野山・世界遺産きっぷ」が便利です。
高野山駅までの電車割引往復乗車券と高野山内バス2日フリー乗車券がセットになったお得なきっぷで、2日間有効。
拝観料2割引、指定お土産屋さんで1割引などの特典があります。
南海電車お得な切符
バスのフリー切符のみ欲しい方は、高野山内バス一日乗り放題でご覧ください。大人830円、小児420円。

近くの宿泊施設

宿坊 桜池院。壇上伽藍のすぐ近く。

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