【太地町立 くじらの博物館②】 本館の展示が、ちょっとキビシイ人がいるかも

前回の続きで、和歌山県太地町の「くじらの博物館」についてです。

ショーやふれあい体験を紹介したので、次は水族館と博物館について書きます。

見学記



公共交通機関で行く場合、JR太地駅から太地町営じゅんかんバスに乗車、「くじら館前」下車。

料金は、大人1500円、小中学生800円。公式HPに100円割引券があります

【串本海中公園 本州最南端の水族館】とセットで買うと、大人で800円のお得です。営業時間は8:30~17:00(年中無休)

 

イルカ・クジラのショー、ふれあい体験などは、前回の記事でご覧ください。

 

今日は、水族館と博物館について書きます。

 

こちら、ふれあいコーナー前にあったパネル展示。

 

 

ふれあいコーナーを奥に進むと、「海洋水族館マリナリュウム」があります。


大水槽では、小型のイルカ、マダライルカとスジイルカ、アルビノのバンドウイルカが飼育されています。

マダライルカとスジイルカは、飼育が難しく水族館ではあまり見ることができない種類だそうで、スジイルカと会えるのは世界でここだけなのだそうです。

 

 

左下に映っているのが、アルビノのバンドウイルカ「スピカ」。

おとめ座で最も明るく白く輝く星「スピカ」(日本では真珠星)から、飼育担当者が命名したのだそうです。

 

「アルビノ」とは、メラニンの生合成に係わる遺伝情報の欠損のため、先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患で、日光に弱く、視力も弱く、外敵に見つけられやすいので、生存率が低いそうです。

 

アルビノのバンドウイルカを飼育したのはアメリカと、日本の太地町のみです。

 

 


アルビノの海洋生物と言えば、オーストラリア沖のアルビノのザトウクジラ「ミガルー」や、アルビノのマッコウクジラとの戦いを書いた「白鯨」が有名でしょうか。

海中で「白」は、やたらに目立つでしょう。

 

 

我が家の神ゲーム「フォーエバーブルー」は、二作とも最後は「白い鯨」に会ってシナリオが終わります。

ロマンチックですよねぇ・・・。

 

 

イルカのことばかり書きましたが、水族館では29個の水槽があり、クマノミやクラゲ、タカアシガニ、うつぼなどが見られます。

 

 

博物館(本館)は、チケットを提示した初めの建物で、ショー、ふれあい体験、水族館を見た、一番最後に入りました。

ここは「博物館」なので、骨格標本、液浸標本、捕鯨道具、捕鯨の歴史や現状に関するパネル展示などです。

 

 

 

1968年7月にオホーツク海で捕獲された、体長15mのセミクジラの骨。モリが命中して骨が一部砕けています。

 

 

 

他に、ホッキョククジラ、コククジラ、イチョウハクジラの全身骨格標本(全て本物の骨)もありました。

 

 

 

日本の捕鯨は縄文時代にまでさかのぼるそうですが、これは江戸時代後期から明治時代までおよそ300年続けられた、太地町の伝統的な捕鯨「古式捕鯨」を再現したジオラマ。
セミクジラですね。
太地町は「古式捕鯨」発祥の地です。

 

 

 

 

 

 

博物館本館で今年から新しく導入された12種類の鯨類模型。

セミクジラやホッキョククジラなど5種類のクジラと、スジイルカやマダライルカなど飼育展示されている7種類のクジラを、実物の30分の1の大きさでモデル化したもので、表が生体模型、裏が骨格模型になっています。

 

 

 

 

二階から見たセミクジラの模型。

グラスファイバーで作られた全国でも珍しい等身大模型で、古式捕鯨の様子を再現しています。

あまり大きくない船で捕鯨をしていたのですが、1879年、太地町でセミクジラ捕獲操業中、悪天候にあい111名が亡くなったのだそうです。

この事故で、古式捕鯨から近代式捕鯨に移行したそうです。

 

 

【2つ前の記事(日米修交記念館)】でチラッと書きましたが、江戸時代末期にアメリカのペリー率いる黒船が、捕鯨船の物資補給を目的とした寄港地の確保として、日本に開国を迫りました。

この後、日本は従来の網取法と、アメリカの捕鯨銃を組み合わせた捕鯨に切り替え、後にノルウェー式捕鯨(捕鯨砲)を用いた方法へと移り変わります。

 

 

 

チョンマゲなので江戸時代でしょうか。クジラの解体の様子を描いています。

部位によって分けられる様子を、柵の外から見物してます。

昔は今のように牛・豚を食べていなかったので、クジラやイルカは貴重な蛋白質源だったでしょう。

 

私は和歌山市育ちで、小学校の給食で一度だけクジラの肉を食べたことがあります。クジラのカツは、ぺターンと平べったくて、脂っぽさが無くて、ちょっと硬かったような・・・。
子どものころに一度食べたきりなので、あまり覚えていません。
鯨料理では、大阪でよく食べられる「はりはり鍋」が有名でしょうか。

 

 

これも、本物の骨の標本。鯨の種類と頭骨。

くじらショーで「頭が大きいなぁ」と思ったコビレゴンドウの頭骨もあります。

 

 

 

鯨の心臓内部の液浸標本。他に、睾丸やヒゲ、胎児の展示もありました。

 

 

 

こちら、胎児(オス)の液浸標本。


私はホルマリンに浸けた人体解剖標本にも抵抗がありませんが(←医療系学校の解剖学で触る)、胎児や内臓の展示は「ニガテな方もいるだろうなぁ」と思いました。

 

クジラに特化した珍しい博物館なので、内容の濃い展示があるわけですが、「胎児や内臓を見たくない」という方は、博物館の2階を除いて見学するのも一つの方法かなぁ。

 

(・・・でもたまたま見ちゃったらショックですよね。同じ胎生生物ですからね・・・。8歳の息子はたぶん、本物か作りものかの区別がついていなかったと思う)

 

 

次は3階。捕鯨に関する展示がそろっており、手投げのモリなどの古式捕鯨道具の他、近代捕鯨(ノルウェー式)銃砲類の展示があります。
写真は改良五連銃。

 

 

こちら、単発砲。ミンククジラ捕鯨用。

 

 

もっと大きな銛もあり、「こんなので貫かれたら、私の体は上下で真っ二つになるだろうなぁ・・・」と、ちょっと怖かったです。

 

捕獲・殺傷器具を見ると、「他の生物の命を奪い、その恵みで生きている」ことを実感しました。

 

 

これは鯨を捕獲・殺傷する道具ですが、牛、豚、鳥にも、そのような道具があり、私たちはそれらを見ることなく食しています。

 

 

「何を食べるのか」の選択は各々にあり、「命を頂く行為」は重いものであると思いました。ぜひ、食料廃棄問題は、改善していかなくてはならないと思います。命は、ゴミじゃないですからね。

 

 

ここは鯨の博物館なので、捕鯨についての展示が豊富なわけですが、いろんな思いが湧くところです。

 

 

3階は半分くらいがパネル展示で、日本・世界の捕鯨について勉強できます。

アメリカ捕鯨史解説はニューベッドフォード捕鯨博物館の主任学芸員、ノルウェー近代捕鯨史の解説はサンデフィヨルド捕鯨博物館主任学芸員の方にお願いしたそうです。

 

 

博物館近くには捕鯨船の展示もありました。

 

 

この後、三重県志摩(しま)市へ向かいました。

 

次の記事はこちら

和歌山市→串本町→太地町とまわった和歌山県の観光記事は一通り終わり、三重県に突入です。 今日紹介するのは、三重県志摩市のサンぺルラ志摩というホテルです。 宿泊記 前回の記事、太地町立「くじらの博物館」の後、宿泊先のサンペルラ志摩へ[…]

 

(この旅行記は2017年です)

 

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→→串本海中公園①の記事はこちら・・・クジラの博物館とセットで買うと800円のお得! 串本海中公園は、本州最南端の水族館で、海中展望塔からは世界最北のテーブル珊瑚群生地が見れます。

交通アクセス

公共交通機関で行く場合、JR太地駅から太地町営じゅんかんバスに乗車、「くじら館前」下車。
電車の乗り換えはヤフー路線などでお調べください。
バスはじゅんかんバス時刻表をご覧ください。
車で行く場合、無料の駐車場があります。

料金について

大人1500円、小中学生800円。
公式HPに100円割引券があります
串本海中公園とセットで買うと、大人で800円のお得です。券は発行から一週間有効です。
営業時間は8:30~17:00(年中無休)

近くの宿泊施設

花いろどりの宿花游。くじらの博物館から徒歩10分くらい。

お得で便利な、旅の予約サイト