【比叡山延暦寺 横川(よかわ)エリア②】 比叡山中興の祖で、おみくじの創始者「元三大師」が住み、葬られた地

【比叡山延暦寺 横川(よかわ)エリア①】 横川の基を築いた円仁(えんにん)は、歩きまくった名僧だった! 世界の三大旅行記「入唐求法巡礼行記」の著者の続きで、比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)の紹介です。

横川(よかわ)エリアの紹介その②です。

→→2018年5泊6日滋賀県琵琶湖一周旅行記の行程はこちら・・・レンタカーを利用して、5泊6日で27か所を巡りました。

参拝記


比叡山(ひえいざん)への交通アクセスは、以前記事にしたのでご覧ください。

 

 

比叡山延暦寺は、東塔(水色)、西塔(黄色)、横川(ピンク色)エリアに分かれています。

横川(よかわ)エリアは比叡山延暦寺の一番右(方角で言うと、北)にあり、東塔・西塔からはけっこう離れています。

 

東塔~西塔は徒歩で行ける距離ですが、西塔~横川はけっこう離れているので、公共交通機関で回る方は、山内シャトルバスで移動しましょう。

車で行く場合、駐車場料金は無料です。

 

東塔、西塔、横川の3つのエリアを回るには、「参拝共通券」が必要で、2021年の料金では大人1000円、中高生600円、小学生300円かかります。

東塔、西塔、横川のどこでも、この共通券を取り扱っており、それぞれのエリアに入場する時は券を係りの人に見せます。

私たちは参拝共通券のみでしたが、「比叡山国宝殿拝観料」とのセット券もあり、大人1500円、中高生900円です。

 

 

 

 

前回も紹介した横川(よかわ)エリアは、最澄の弟子で、第三代天台座主(トップ)であった慈覚大師円仁(えんにん)により開かれました。

後に活躍した源信(法然や親鸞に多大な影響を与えた浄土教の祖)、親鸞(浄土真宗の開祖となる)、日蓮(日蓮宗の開祖となる)、道元(曹洞宗の開祖)などの名僧たちが修行に入った地です。

→→【比叡山延暦寺 横川(よかわ)エリア①】 横川の基を築いた円仁(えんにん)は、歩きまくった名僧だった! 世界の三大旅行記「入唐求法巡礼行記」の著者・・・前回の記事。横川中堂と、横川の基を築いた第三代天台座主(トップ)の、円仁(えんにん)について書きました。

 

では、ここから「横川エリア①」の記事の続きです。

 

前回の横川中堂から、元三大師堂(がんざんだいし)堂へ向かう。

 

 

途中、西国三十三ヵ所石仏があります。

この前日に訪れた竹生島の観音様を見つけたので撮影。竹生島については、【竹生島観光】の記事でご覧ください。(←竹生島は琵琶湖最大のパワースポットと言われている)

 

 

比叡山をこよなく愛した俳人、高浜虚子(たかはまきょし)の塔。

「清浄な 月を見にけり 峰の寺」

と刻まれています。

 

横川(よかわ)の森。

 

訪れたのが三月の末で、徐々に夫に異変が・・・。

 

「モヤがかかっていて神秘的なんだけど、あれが全部花粉だと思うと、痒さがこみあげてくる~」

 

・・・そう、夫は、花粉症なのです。

 

この頃から「カユイカユイ」と言い始めたけれども、痒いピークに苦しんだのが、この次に訪れた【比叡山延暦寺 西塔(さいとう)エリア】でした。

 

 

鐘楼(しょうろう)。

 

 

元三大師堂(がんざんだいしどう)に到着。

比叡山延暦寺の中興の祖で、第十八代天台座主(トップ)の、「元三大師(がんざんだいし)」こと良源(りょうげん)を祀っています。

 

 

 


門の前には、このような石碑がありました。

「おみくじ発祥の地」とありますね。

 

元三大師(がんざんだいし)が、「おみくじの創始者」と云われています。

 

 

「あっ!」と驚いたのが、隣の石碑。

近所の家の玄関に貼ってあった絵と同じ。

ずっと、「あれはどこの御札かなー? 角が二本生えているから鬼だろうか???」と、気になっていたのです。

元三大師と関係のある御札だったと、初めて知りました。

 

昔、全国に疫病が流行り、これを見た元三大師は「人々の難儀を救おう」と、大きな鏡の前に自分の姿を映して、静かに目を閉じて、座禅したところ、その姿はだんだん夜叉の姿に変わったのだそうです。

 

その姿を見ていた弟子たちの中でただ一人、明普阿闍梨だけがこの姿を見事に写しとりました。

 

元三大師は、この写しとった絵を見て御札を刷るように命じ、自らも御札に開眼をし、出来上がった御札を人々に配布しました。

各家の戸口に貼り付けるよう命じたところ、御札のあるところは疫病は恐れて寄り付かず、一切の厄難から逃れることができたのだそうです。

この疫病を払ったことから、元三大師は「厄除け大師」と言われ、信仰されているようです。

 

 

元三大師堂(四季講堂)。

元三大師(良源)の住房・定心房跡に建っています。

別名の「四季講堂」とは、春夏秋冬に法華経の講義を行ったことからつきました。

 

元三大師はもともと名前を「良源(りょうげん)」といいましたが、命日が正月の3日であることから、「元三大師(がんざんだいし)」の通称で親しまれました。

 

元三大師が、四季講堂で座禅をした時、ロウソクの火で後ろの壁にできた影が大師が立ち去った後でも消えなかったので、慈忍和尚が丹念に写しとると影が消えていったのだそうです。

これは元三大師のさとりが仏の境地に達した証拠であると、その御影像をお堂にかけてお祀りし、現在も安置保存されているそうです。

もともとは弥勒菩薩を祀っていましたが、現在では元三大師の像を祀り、大師信仰の根本道場となっています。

元三大師は、度重なる火災で荒廃した比叡山延暦寺を再び興しましたが、延暦寺はこの後、織田信長により焼き討ちにあい、再びボロボロになります。これを再興させたのは、江戸時代の天台宗の僧侶である「天海(てんかい)」でした。

天海は、元三大師を最も尊敬していたそうです。

→→【旧・江戸城本丸跡(皇居東御苑・江戸城天守跡)】 江戸は結界で守られていた。・・・徳川家康と天海により、江戸の町作りが行われた。

 

元三大師の御廟(お墓)は、ここから少し離れたところにあります。

 

 

 

元三大師堂の向かい側には、比叡山三弁天の一つ、箸塚弁財天。

 

 

途中「日蓮上人修行の地(定光院へ至る)」への道があったのですが、けっこう離れているため、そちらへは行かず、元三大師御廟へ行きました。

 

 

元三大師御廟(がんざんだいしみみょう)。

元三大師(良源)のお墓です。

本人の遺言により、横川の北方華芳峰(比叡山の鬼門に当たる)に葬られ、簡素な石塔(きのこみたいな形)が立っています。

 

比叡山中興の祖であり、門下3千人といわれた第18代比叡山座主(トップ)のお墓が、思ったよりも質素だったので、「あれ?」と思いました。

 

良源は「自分の遺骸は比叡山の鬼門に葬り、墓は掃除するな」と遺言したそうです。

 

比叡山には「比叡山四大魔所」と言われるところがあり、この元三大師御廟もそのうちの一つ

 

今でも元三大師が、ここで修行しているとされ、事変のある時は風が吹くそうです。

 

 

元三大師の説明。

 

ところで、皆様は「見ざる 言わざる 聞かざる」をご存知でしょうか。

日光の三猿でも有名ですね。

実はこれは、良源(元三大師)の所施術から生まれたものです。

 

見ず聞かず言わざる
三つの猿よりも
思わざるこそ
まさるなりけり

 

いかり、うらみ、ごまかし、なやみ、ねたみ、ものおしみ、だますこと、へつらい、傷つけること、おごり、といった心をそもそも持たない「おもわざる」ことが最も大切であると、良源は諭しました。

大切な教えですね・・・。

 

 

→→日光東照宮の記事はこちら・・・栃木県日光市。徳川幕府初代将軍の徳川家康が祭神で、霊廟があります。世界遺産。三猿の写真あり。

→→【日吉大社】の記事はこちら・・・比叡山の信仰はもともと日吉大社から始まった。滋賀県。全国の日吉神社、日枝神社の総本社です。日吉大社には「神猿(まさる)」がいます。

 

 

元三大師御廟から、参道を歩いて、横川中堂まで戻ります。

 

 

右側はすごい崖で、東塔、西塔エリアとは全く違う雰囲気でした。「端っこに来たなー」といった感じで、横川は比叡山延暦寺の中で一番最後に開かれたところですが、後に名僧と呼ばれる方達が修行に入った地であるといったのも、うなずけます。

「修行場」といった空気が、今でも満ちているかのようです。

 

 

夫は花粉症で「目がかゆい、痛い」と大変そうでしたが、私は花粉症ではないので、森林浴を楽しめました。

花粉症の方は、訪れる時期にお気を付けください。(私たちが訪れたのは三月末)

 

 

 

根本如法塔(こんぽんにょほうとう)に戻ってきました。

塔の説明は、【比叡山延暦寺 横川(よかわ)エリア①】に、説明を書きましたのでご覧ください。

 

 

これで、比叡山延暦寺の巡拝は終わりです。

 

 

再び、奥比叡ドライブウェイの画像を載せますが、私たちは雄琴温泉方面の仰木ゲートから入り、横川(よかわ)西塔(さいとう)東塔(とうどう)と巡拝し、最後は田の谷ゲートから出ました。(奥比叡・比叡山ドライブウェイの料金は、クーポン券を使って、2018年の料金が2,000円でした)

 

奥比叡・比叡山ドライブウェイについては、こちらの記事でご覧ください(公共交通機関での回り方も記載してあります)

 

 

ずっと載せてきたのは「琵琶湖一周ぐるり旅」なのですが、ここで私たちは滋賀県から京都へ移り、【賀茂御祖神社(下鴨神社)】【加茂別雷神社(上加茂神社)】【鞍馬寺(くらまでら)】【貴船神社】【嵐山・嵯峨野  竹林の小径】【嵯峨野トロッコ列車】などへ・・・と、一泊二日の京都旅行を挟みました。

 

順番に書きたいところですが、「琵琶湖一周旅を先に見たい!」という方も多いと思うので、間に挟んだ京都旅行は後回しにし、次は無料の「びわこ花噴水」を取り上げたいと思います。

 

比叡山の横川(よかわ)から、びわこ花噴水が行われる大津港までは、車で20km、時間にして30分ほどです。

 

 

次の記事はこちら

前回からの続きで、滋賀県の琵琶湖一周旅の紹介です。 今日は無料で見れる巨大噴水ショー「びわこ花噴水」を紹介します。 →→2018年5泊6日滋賀県琵琶湖一周旅行記の行程はこちら・・・レンタカーを利用して、5泊6日で27か所を巡りました[…]

 

(この旅行記は2018年です)

 

関連記事

→→2018年・春  滋賀県琵琶湖一周 5泊6日旅行の行程・・・この旅行の行程まとめ。

 

比叡山延暦寺の記事です

→→【比叡山延暦寺は広い】 車でまわると2,000~4,000円。公共交通機関でのアクセスは?

→→【比叡山延暦寺 横川(よかわ)エリア①】 横川の基を築いた円仁(えんにん)は、歩きまくった名僧だった・・・前回の記事です。

→→【比叡山延暦寺 西塔(さいとう)エリア】 比叡山最古の建物「釈迦堂」の本尊は、最澄自作の仏像

→→【比叡山延暦寺 東塔(とうどう)エリア】 比叡山発祥の地。織田信長に焼き討ちにあった比叡山延暦寺

→→【比叡山と高野山、最澄と空海】 比叡山延暦寺紹介の前に、簡単に説明

 

→→【日吉大社】の記事はこちら・・・比叡山の信仰はもともと日吉大社から始まった。

→→高野山の記事はこちらから・・・空海が開いた、真言宗の総本山。

交通アクセス

→→【比叡山延暦寺は広い】 車でまわると2,000~4,000円。公共交通機関でのアクセスは?に詳しく書きました。

料金

東塔、西塔、横川の3つのエリアを回るには、「参拝共通券」が必要で、2021年の料金では大人1000円、中高生600円、小学生300円かかります。

東塔、西塔、横川のどこでも、この共通券を取り扱っており、それぞれのエリアに入場する時は券を係りの人に見せます。

私たちは参拝共通券のみでしたが、「比叡山国宝殿拝観料」とのセット券もあり、大人1500円、中高生900円です。

近くの宿泊施設

延暦寺会館。東塔エリアにあります。

お得で便利な、旅の予約サイト

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