【紀伊風土記の丘。特別史跡岩橋(いわせ)千塚古墳群】 日本一、古墳が密集したところで、古代豪族 紀氏の墓所

私のふるさと和歌山県和歌山市には「紀伊風土記の丘(きいふどきのおか)」があります。

ここは「特別史跡 岩橋(いわせ)千塚古墳群」と呼ばれ、和歌山県内に1500基ある古墳のうち850基が集まっているところで、紀伊風土記の丘では430基の古墳が分布しており、全国的にも有数の古墳群として特別史跡に指定されています

見学記

公共交通機関で行く場合、和歌山駅東口から和歌山バス「紀伊風土記の丘」行、終点下車。

 

私達が訪れたのはGW中で、勾玉ネックレス作り・埴輪作りイベントを開催していたためか、ものすごい人でした。

駐車場は80台停められるのですが満車で、少し待ちました。

私が初めて紀伊風土記の丘を訪ねたのは小学5年生か6年生のころで、学校遠足の「オリエンテーリング&古墳探検をしよう!」というものでした。

グループに分かれて、木の枝をつきながら丘を歩き回り、怪しげな古墳の穴をいくつか見つけては、
「○○くん、ちょっと入ってきてよ」
「なんでオレが!」
みたいなやり取りをやったような気がします。

 

古墳の穴は小さくて、薄暗くて、入り口にクモの死骸が落ちていて、友達とキャーキャー言いながら散策したなぁ・・・。

 

 

高校生になっても、友達と2度訪れましたが、それは人気の少ない紀伊風土記の丘ハイキングコースを、悩み相談しながら延々と歩くという、小学生の無邪気さとはまた違う楽しみ方でした。

 

で、四度目の訪問がついこの前のゴールデンウィーク。

 

小学生でも、思春期でもなく、2児の母となって夫と歩く紀伊風土記の丘ハイキングコースは、また違った趣があって、これもまた楽しい思い出となりました。

 

 

 

園内マップはこちら。駐車場無料、古墳散策も無料です。

コースは一周3km。

紀伊風土記の丘HPにはオリエンテーリング用、園内散歩マップ、古墳探索マップなどありますので、ご覧ください。

コースアウトすると、マムシやスズメバチが出るようなので、気をつけてください。ハチは、黒に反応して刺すそうなので、できれば黒以外の衣服で行きましょう。(香料にも反応する)

 

 

 

資料館に入る場合、大人190円かかり、重要文化財の埴輪などの展示があります。

まとめて紹介すると長くなるので、次で紹介しますが、ここでしか見られない珍しい埴輪が出てきたようです。

 

なにげにこの資料館は、和歌山県出身の実業家である松下幸之助さんの寄付により建てられたそうです。
和歌山城の再建でも、多額の寄付をしてくれたそうで、松下電器(現パナソニック)を創業した方です。

→→和歌山城の記事はこちら・・・徳川御三家の一つ。

 

 

 

こちら、資料館入り口前にあった大木「古墳時代のクスノキの巨木」。

周囲12m、直径4m、推定樹齢350年。

このクスノキは、平成23年9月に紀伊半島で甚大な被害をもたらした台風12号の通過後、紀ノ川六十谷(むそた)橋付近で発見されたそうです。

 

ちょうど古墳群が造られていたころに、350年も生きていた巨木が、1300年ぶりに川底から出てきた・・・ロマンを感じますねぇ。この木は、どんな風景を見ていたんでしょうね。

 

この大木は、「紀伊大王(きいだいおう)」と名前が付けられたようです。

 

 

そういえば、本州最大のクスノキが、静岡県熱海市にあります。

→→来宮神社の記事はこちら・・・樹齢2,000年! 大楠の幹周は23.90m。伐採されかけたけれども、白い服の翁が出てきて鋸を真っ二つに折ったらしい。(精霊?)

 

 

 

竪穴住宅。ここも無料で入れます。

中には古い道具が置いてあり、子供達には秘密基地のように思えたのか、大人気でした。

 

 

 

竪穴住居前で、火起こし道具を体験(煙を見るだけで終了)。資料館でレンタルできますし、売店で買えます。

これなら、私でも火起こしできるなぁと思いました。

 

 

竪穴住居近くでは、藤の花が見ごろでした。奇麗~♪

 

 

白い藤の花って、初めて見ました。白藤(しらふじ)というそうです。

 

藤棚の奥が、古墳群散策コースの入り口です。

 

散策コースは、けっこうな上り坂なので、足腰の弱い方はご注意ください。

 

紀伊風土記の丘は、日本一古墳が密集したところです。

オレンジ色の丸は全て古墳です。

紀伊風土記の丘周辺は、和歌山県内に1500基ある古墳のうち850基が集まっているところ(岩橋千塚古墳群)で、整備された園内には430基の古墳があり、石室を公開しているのは13基です。

 

これらの古墳群を築いたのは、古代豪族の紀氏(きし)

日前宮(にちぜんぐう)を代々守っている(2600年!)のも、紀氏です。

 

 

 

紀氏が代々守る日前宮(マップには國懸神宮と書かれています。日前神宮と國懸神宮の二つを日前宮と呼ぶ)と、紀伊風土記の丘の位置はこんな感じ。

日前宮は、2600年以上の歴史があるお宮です。

→→【日前宮(にちぜんぐう)】の記事はこちら・・・伊勢神宮の神体ヤタノカガミよりも前に造られた鏡がご神体。

 

 

古墳の写真を全て載せると長くなるので、いくつか抜き出して紹介します。

 

 

ハイキングコースのはじめで見られる前山A23号墓。直径14m、高さ3.5mの円墳。

岩橋千塚古墳群の中では、標準的な大きさだそうです。

 

 

入り口が小さい!


「隊長、中に入ってください!」
と、夫だけ行かせて、私は入りませんでした。(ごめんね。暗いところ恐い)

夫の感想「ひんやりしているねぇ」

 

 

 

こちら、もっと小さな古墳。

入り口が小さすぎて、入りませんでした。(夫の身長175cm。子供ならすんなり入れるかも)

 

 

覆いがとられた石室もあります。

 

 

 

ちっちゃい穴!

 

 

 

右と左にこんもりとした丘がありますが、どちらも古墳です。

・・・ひょっとしたら、あなたの裏山の丘は、古墳かもしれないっ!

 

 

前山A46古墳。

直径27m、高さ8mで、岩橋千塚古墳群の中で最大の円墳だそうです。

資料館から徒歩15分くらいで行けます。

 

 

A46古墳の入り口は広めだし、中には蛍光灯があるので、比較的入りやすいです。

 

 

 

A46古墳の壁。紀州青石が綺麗に詰まれています。


(どんな人たちが、これを積み上げたんだろう・・・)と大昔に思いを馳せると、壮大なロマン、命のつながりを感じます。
A46古墳からは新羅(古代の朝鮮半島南東部にあった国家)系の土器が出土したそうです。

 

A46古墳入り口前にあった紀州青石。


綺麗な色してますよね。
和歌山城の石垣、石畳も、紀州青石です。

 

 

散策コースのいたるところに青石。西日本の中央構造線南側で見られるのだそうです。

 

 

将軍塚古墳入り口。


入り口の上部が波トタン(?)みたいなもので覆われていて、広いです・・・が、暗い!

「隊長! 先に行ってください!」
と夫にお願い。

夫は入り口の案内板を見て、
「入り口を入って右に電気のスイッチがあるらしいよ」
と、スイッチを入れてくれました。

 

 

 

電気がついて明るい将軍塚古墳。


将軍塚古墳は、1400年ほど前の6世紀に作られた長さ42.5mの前方後円墳で、前方と後方それぞれに入り口を持っているのだそうです。

玄室(墓室)は高さ4.3mで、岩橋千塚古墳群の中でも最も発達した石室の一つなのだそうです。

盗掘を受けていたそうですが、ガラス製の小玉や、土師器などが見つかったそうです。

 

 

 

右下にあるのが、将軍塚古墳。三国ヶ丘にある【仁徳天皇陵古墳(大仙古墳)】と同じ、前方後円墳。

 

 

 

次の目的地は、同じく前方後円墳の「大日山35号墳」。

将軍塚古墳からさらに30分くらい歩いたところで、紀伊風土記の丘の一番はずれにあります。

 

ちょっと遠いのですが、時間に余裕があったらぜひまわってください。貴重な土偶が多数出てきた古墳です。

 

 

テクテク歩いていると、なんだか野焼きのようなにおいがしてきました。

夫「野焼きの匂いしない?」
私「ん、確かに。だれか焼き芋でもしてるんかな」
夫「畑焼いてるんじゃない?」
私「どこに畑あるの」

 

 

大日山35号墳に到着。

和歌山県で最大級の前方後円墳で、約1500年前に造られました。

大日山古墳の目印は、外に出ている復元埴輪たち。

こんな形の埴輪が、大日山古墳から出てきたそうです。これらの展示は、資料館にあります。

資料館は有料ですが、ぜひ入ってください。珍しい両面人物埴輪の展示があります。不気味だと、ネットで騒がれた埴輪ですが、ここでしか見つかっていない唯一のもので、この古墳群の出土品として、初めて国の重要文化財に指定されたものです。

 

 

 

大日山35号墳近くで記念写真を撮っていると、後ろから作業車がブーンと来ました。

車から出てきたお兄さんはダダダッと丘の上に駆け上がり、私達に、
「すみませーん、ここらへんで、けむり見ませんでした?」
と、忙しそうに尋ねました。

 

「え? 見ませんでしたけど。でも、将軍塚古墳からここまでの道で、野焼きみたいな匂いがしました」

「あ、ホンマですかー! ボク、下におったんですよ。ほな、山のほうからモクモクけむりが出てるのが見えて、あっ、山燃えてる~~~! って思って」

「えーっ!?」

「山全体、火気厳禁やのにー」

 

お兄さんは、忙しそうに車に乗って、火元を探しに行きました。

 

・・・はい、紀伊風土記の丘は「火気厳禁」です。

 

 

 

だれかタバコのポイ捨てでもしたんかなー、と思いながら散策続行。

埴輪たちの向こう側に、大日山古墳の入り口があるのですが、鉄の扉で閉ざされていました。

 

 

中は、このようになっているようです。

石室の中には大日如来が祀られ、信仰の場となっていた時期もあるんですね。

この古墳からは、独特的で貴重な埴輪の他、百済から紀伊への渡来の実態を示す資料も見つかっているそうです。

 

 

 

大日山守護神と、お不動様。

 

 

大日山古墳からは資料館へ行くルートと、金龍大神へ行く道に分かれます。


金龍大神へお参りに行きたかったのですが、予約した勾玉・埴輪つくり時間が近づいていたので戻ることに。

 

 

資料館への道をテクテク歩いていると、先ほどの作業車が道端にとまっており、お兄さんが茂みをガサガサかきわけて車へ戻っているところでした。

「火元、見つかりました?」
と尋ねたら、
「見つかりましたー。金龍さんとこの守人のおじいさんが、集めた葉っぱを焼いてましたー。山は火気厳禁やで、って言うたら、”え? 五年前から葉っぱ焼いてるでー”言われましたぁ。ホンマ、山で、火はアカンって!」
と言うてました。

 

 

ということで、繰り返します。

 

 

山は、火気厳禁です

 

 

 

次は、資料館を紹介したいと思います。

 

次の記事はこちら

前回の続きで、和歌山県和歌山市の「紀伊風土記の丘(きいふどきのおか)」の紹介です。 見学記 紀伊風土記の丘(きいふどきのおか)は、国の特別史跡「岩橋(いわせ)千塚古墳群」の保全と公開を目的として1971年8月に開館した、考古資[…]

(この旅行記は2017年です)

 

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交通アクセス

公共交通機関で行く場合、和歌山駅東口から和歌山バス「紀伊風土記の丘」行、終点下車。
バスは本数が少ないのでご注意ください。和歌山駅西口・東口ともにタクシー乗り場がありますので、タクシー利用が便利かもしれません。
電車の乗り換えはヤフー路線などでお調べください。

車で行く場合、駐車場は80台停められ、無料。利用時間は午前8時~午後6時(それ以外は施錠)。

料金について

資料館は、大人190円、大学生90円、高校生以下無料。
園内の見学は無料です。
資料館は、午前9時から午後4時30分まで(入館は午後4時まで)。月曜休館。

近くの宿泊施設

和歌山アーバンホテル。和歌山駅でてすぐ。

お得で便利な、旅の予約サイト

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