【紀伊風土記の丘② 資料館】 岩橋千塚古墳群から発掘された珍しい発掘物! ここでしか見られない「両面人物埴輪」の不思議!

前回の続きで、和歌山県和歌山市の「紀伊風土記の丘(きいふどきのおか)」の紹介です。

見学記

紀伊風土記の丘(きいふどきのおか)は、国の特別史跡「岩橋(いわせ)千塚古墳群」の保全と公開を目的として1971年8月に開館した、考古資料・民俗資料を中心とした県立の博物館です。

 

岩橋(いわせ)千塚古墳群は、日本一古墳が密集したところであり、古代豪族である紀氏(きし)と関わりの深い古墳群です。

2600年以上、紀氏が守り続けている御宮が、古墳から西へ2kmにある日前宮(にちぜんぐう)です。

 

 

前回、日本一の古墳密集地帯である「岩瀬千塚古墳群(いわせせんつかこふんぐん)」で見られる古墳をいくつか取り上げました。

 

 

今日は、資料館について書きます。

紀伊風土記の丘駐車場と古墳散策は無料ですが、資料館は大人190円です。高校生以下は無料。

中は撮影可能ですが、一部撮影禁止がありますので、ご注意ください。

 

 

 

こちら、資料館。

弥生時代の高床倉庫を模した造りになっており、外壁には古墳石室材に使用される「青石」が張られています。

松下幸之助さん(現・パナソニックの創業者)の寄付により、建てられました。

有料は二階のみで、一階の資料展示は無料。通り抜けると竪穴住宅や、古墳散策道へ行けます。

 

 

 

資料館入ってすぐに迎えてくれるのが、「両面人物埴輪」。

私がこの奇妙な埴輪を知ったのは去年か一昨年だったと思うのですが、実は10年前の2007年に見つかっていたのだそうです。

全国初で、その後も類例はないという珍しい埴輪で、重要文化財です。

前回の記事で、大日山35号墳にもふれましたが、そこで見つかったそうです。

 

 

 

こちら、右側の顔。

 

 

 

こちら左側の顔。

う~ん、不思議ですねぇ。

 

左側の顔は口元が特徴的で、口唇裂みたいですね。

 

口唇口蓋裂は、日本人では約500人の出産に1人の割合で、日本人に多い先天異常なのだそうです。

昔から500人に1人の割合で生まれたのかどうかわかりませんが、私はたぶん、口唇裂の人がモデルになっているんじゃないのかなぁと思いました。

 

 

小学生のころ、氷室冴子さん(なんて素敵にジャパネスクや、ヤマトタケルの他、ジブリ映画の「海がきこえる」の原作を書いた方です)の、大和時代(古墳時代)をテーマにした古代転生ファンタジー「銀の海 金の大地」という小説を愛読していたのですが、障がい者を「神々の愛児」として、みんなで大切にしていたとの、物語上での世界観があります。

 

実際に今でも一部の国で、奇形や障がいを「神のつかい」とする文化があるようですし(キリストは弟子から障がい者についてきかれた際「神のわざがこの人に現れるためです」と説いた)、日本もきっとそうだったのではないかなぁと思います。

 

ある一定の割合で生まれてくる口唇口蓋裂児に、何かしら神秘的、不思議なものを感じて、制作されたのかなぁ・・・と思うのですが、皆さんはどのように思われるでしょうか。

 

不思議な作品を見ると、製作者と話したくなりますね。

ちなみに、顔の横に垂れているのは耳ではなく、美豆良(ミズラ)と呼ばれる髪型です。

 

 

翼を広げた鳥型埴輪。重要文化財。

翼を広げた鳥の埴輪は、全国初なのだそうです。
こちらも大日山35号墳で見つかったもので、けっこう大きな作品でした。

 

 

 

家形埴輪。重要文化財。


こちらも、大日山35号墳から出てきました。
この埴輪で復元できたのは130cmですが、本当は140~150cm程度であったと推測されているそうです。
国内最大の家形埴輪は、高槻市から発掘されたもので170cmなのだそうです。
ずいぶん大きいものを作りましたね~。
1人で作ったのか、複数人で作ったのか・・・。

 

 

 

馬形埴輪。重要文化財。

こちらも大日山35号墳で見つかったものです。小さな子どもがまたがれそうなサイズでした。

 

 

武人埴輪。重要文化財。同じく大日山35号墳から出てきたもの。

 

 

人物埴輪。前山A58号墳から出てきました。

イレズミをヘラ書きで表現しているのでは・・・と推測されているそうです。

頭の凹みが何なのか気になる~~~。
帽子? 髪型? 大泉門の陥没? デザイン?

ああ~、製作者にきいてみたい~~。

 

 

 

 

横穴式石室模型。

石棚、石はりをもつ岩橋(いわせ)型横穴式石室は、岩橋千塚古墳群のなかでも、最も大きな特徴なのだそうです。

 

やっぱり紀州青石。

 

 

二神二獣鏡。古墳時代中期のものだそうです。

 

 

 

2017年5月14日まで、古代のアクセサリー展を開催しています。
碧玉製勾玉・管玉 ガラス製小玉。

4世紀に作られたものだそうです。
どんな方が身につけていたんでしょうね~。

 

 

 

重要文化財。5世紀初頭のもの。めっちゃくちゃ小さいです。


こういうのを見ると、手先が器用だなぁと思いますね。

 

 

 

 

 

 

これは、東京の【多摩六都(たまろくと)科学館】にあったパネルからのものですが、日本鉱物科学会が鉱物に興味を持ってもらおうと、2016年九月に「国石」を定める決選投票をした結果、「日本の石(国石)」は、ヒスイに決まったそうです。

縄文時代からアクセサリーに使われていたのですし、納得です。

「県の石」なんてものもあるんですねぇ。

 

紀伊風土記の丘では、「HANI-1選手権」という、ハニワ王を決定するイベントを時々開催していますが、これに参加するのにも入館料と材料費(350円)がかかります。

 

ハニワン選手権に興味がある方、ぜひイベント日に紀伊風土記の丘へ訪れて、あなただけの素敵なハニワを作ってください。

 

みんなの投票で、ハニワ王が決定するようです。

 

 

私と夫は、ゴールデンウィークイベントでハニワを作り、ハニワンに出品したかったのですが、「ハニワン選手権の日に作られた埴輪だけ応募できるんです~。また来てくださいね」と言われ、断念。

おおおおおお、ハニワ王になりたかった!

(子供の部、一般の部とかに分かれているので、大人も応募できます)

 

 

左が私が作った埴輪で、右が夫が作った土偶。
 

 

 

かわりに勾玉ネックレス作りを紹介しておきます。
これは、「勾玉作りイベント」のほか、資料館の売店で300~400円くらいで買えます。

 

勾玉キット。


石はあらかじめカットしてくれてあり、付属の紙やすりでゴシゴシして角を削ります。
最後は勾玉と紙やすりを水で浸してショリショリ磨いて、新聞紙でキュッキュするとピカピカに。

 

 

 

石は2種類あります。
左の白いのが子供でも作りやすい素材で、右のがちょっと硬いほうです。


勾玉作りイベントでは材料を選べず、左の白い石だけでした。
右のは売店で買って、神奈川へ帰ってきてから私がジョリジョリしたやつで、中国では印鑑としてでも使われている石だそうです。
どっちの石が良いかは、好みかなぁと思います。

 

なんとなく好きな形にジョリジョリしたのですが、勾玉の尻の部分が丸いのは、出雲型勾玉なのだそうです。

 

 

 

やすりで爪が傷だらけになった。


それにしても、無心になって物を作るのは気持ちが良いですねぇ~。

 

 

 

作った勾玉ネックレスは、娘のお気に入りアクセサリーとなりました♪

勾玉は魔除けや、幸運をもたらすお守りとしての効果があるらしいので、娘にあげます♪

 

 

 

ネットでも買えます。こちら、削りやすい石。ほんのりピンク色。

 

 

こちらは、印鑑としても使われている石。私が作った勾玉はこちらの材質。

 

「古墳」というと、大阪府堺市の仁徳天皇陵(正式名称は大仙陵古墳)が有名ですね。上空からの写真を見たら、鍵穴みたいに見えます。

堺市は、クフ王ピラミッド及び秦の始皇帝墓陵に並ぶ「世界三大墳墓」と言っているそうです。

→→【仁徳天皇陵古墳(大仙古墳)】の記事はこちら・・・大阪府。日本一巨大な古墳。世界遺産登録されました。

 

紀伊風土記の丘からは、新羅(しんら)とのつながりを示す遺物が発掘されたそうですが、仁徳天皇陵からも新羅の古墳から発掘されたものと似たものが出てきたようです。

 

 

東京に住んでいる方は、東京タワーの近くに都内最大級の古墳があるのをご存知でしょうか。

 

 

関東最大の前方後円墳はどこなのか・・・と調べますと、群馬県太田市の太田天神山古墳(おおたてんじんやまこふん)なのだそうです。別名、男体山古墳ともいうそうです。

群馬と言えば、夫のお父さんの出身地だなぁ。

まだ一度も行ったことがない県なので、またいつか訪れてみたいと思います。

 

 

 

もともと日本列島に古くから住んでいた縄文人と、大陸から来た渡来人

 

 

日本人の多くは、この混血であるそうです。

 

 

 

紀伊風土記の丘の展望台から、生まれ育った和歌山市を見て、ここに大昔から住んでいた縄文人と、後からやってきた渡来人が、どのように融合していったのかなぁ・・・と。

 

きっと、武力衝突もあったんでしょうね。

 

そして、受け継がれ続けてきた、命のバトン。

 

私も、あなたも、あの人も、今、ここに在る。

 

この命は、遠い遠い昔から繋がってきたもので、たくさんの血と涙が流されたことでしょう。

 

・・・毎日大切にしないといけませんね。

 

人も自然も大切にして、良い未来を作っていかないといけませんね。

 

 

・・・そう思ったのでした。

 

 

次は、日前宮(にちぜんぐう)を紹介します。紀伊風土記の丘に葬られているのは紀氏だそうで、代々日前宮を守ってきたのも紀氏です。

次の記事はこちら

和歌山県和歌山市の「日前宮(にちぜんぐう)」について書くのは二回目です。 前回の記事はこちら。 →→紀伊国一宮「日前神宮・國懸神宮」 参拝記 JR和歌山駅9番ホームから、和歌山電鉄貴志川線に乗り、2駅先の日前宮駅で下車、徒[…]

(この旅行記は2017年です)

 

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→→三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき)。日本最大級の縄文集落跡。縄文時代は一万年も続いた。・・・最大級の縄文集落跡。青森にあります。

交通アクセス

公共交通機関で行く場合、和歌山駅東口から和歌山バス「紀伊風土記の丘」行、終点下車。
バスは本数が少ないのでご注意ください。和歌山駅西口・東口ともにタクシー乗り場がありますので、タクシー利用が便利かもしれません。
電車の乗り換えはヤフー路線などでお調べください。

車で行く場合、駐車場は80台停められ、無料。利用時間は午前8時~午後6時(それ以外は施錠)。

料金について

資料館は、大人190円、大学生90円、高校生以下無料。
園内の見学は無料です。

資料館は、午前9時から午後4時30分まで(入館は午後4時まで)。月曜休館。

近くの宿泊施設

和歌山アーバンホテル。和歌山駅でてすぐ。

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