【伊太祁曽(いたきそ)神社】 日本中に樹種をまいた「五十猛命」を祀る総社。紀伊国一宮で、西国三社参りの一つ。チェーンソーカービングがスゴイ!

前回の続きで、和歌山県の貴志川線一日フリー切符を使った観光・お参りを取り上げます。

今回取り上げるのは、伊太祁曽神社(いたきそじんじゃ)。

スサノオの子で、日本中に樹を植えた神様「五十猛命(いたけるのみこと)」を祀る神社の総社です。

参拝記

JR和歌山駅9番ホームから、和歌山電鉄貴志川線に乗り、8駅先の伊太祁曽駅で下車、徒歩3分です。
電車の乗り換えはヤフー路線などでお調べください。

車で行く場合、無料駐車場があります。

 

 

伊太祁曽(いたきそ)神社は【日前宮(にちぜんぐう)】【丹生都比売(にうつひめ)神社】と並び、紀伊国一宮です。

 

 

では、伊太祁曽神社へお参りしましょう。

 

伊太祁曽神社はスサノオノミコトの子どもである五十猛命(イソタケルノミコト)を祀る、総社です。

現在の大鳥居は、今までの鳥居の木材を再利用し、上部には伊勢神宮から譲渡された古材をつなぎ合わせ、伊勢神宮と伊太祁曽神社を融合した形で完成したのだそうです。

 

 

広く、緑が多く、気持ちの良い境内です。

 

 

金色の鯉発見!

 

 

 

拝殿を抜けて、本殿前へ。

 

 

横から見た本殿。

中央に主祭神である五十猛命(いたけるのみこと)、右側にその妹神である大屋津姫命(おおやつひめのみこと)、左側に都麻津姫命(つまつひめのみこと)をお祀りしています。

 

五十猛命(いたけるのみこと)は、日本の国に樹種をまいたといわれている木の神様で、スサノオノミコトの子です。

 

私の父は大工さんで、木の恩恵を受けた仕事をしているため、会社の方々と毎年こちらの神社へお参りしています。

 

木材業、山林業など木に関係する生業の方の他、スサノオとイタケルノミコトは浮船を作ったことから、漁師にも崇敬されているそうです。

 

 

 

左隣に、氣生神社。
本殿に和御魂(にぎみたま)が祀られているのに対し、隣のこちらでは五十猛命の荒御霊(あらみたま)をお祀りしています。

 

 

近くには、霊石おさる石がありました。

古くより、この石を撫でると首より上の病に霊験あらたかだと伝えられる霊石だそうです。

 

 

拝殿に、厄除け木の俣くぐり。
大屋比毘古神が大国主神の災難を救ったという古事記神話にちなむ。

 

古事記神話の実体験とあります。

「この木の俣をくぐると難を逃れることが出来る」という信仰が生まれた、とあります。

 

 

「古事記には興味があるけれども、難しそうだわ・・・」という方にオススメなのがこちらの本。平易な言葉で書かれており、とても分かりやすく、面白いです。

イザナミから「見ないでね」と言われたのに見ちゃったので追いかけられたイザナギ、トヨタマヒメから「見ないでね」と言われたのに見ちゃってお別れになってしまった山幸彦の話など、面白いです。

伊太祁曽神社の祭神、イタケルの話も載っています。

 

 

 


マンガが好きな方は、こちらをどうぞ。

 

 

 

 

木俣くぐりの近くには、チェーンソーカービング(チェーンソーで作られたアート)の干支がありました。

息子の干支、丑。

ヴィーンヴィーン! ヴィ~~~~~~~ンヴィヴィヴィイ~~ン! とチェーンソーで削って作ったとは思えない繊細な仕上がり。

 

娘の干支、午。

この躍動感! 疾風のように駆ける天馬。

 

 

私は申年生まれ。球を抱いている申だそうです。(なんだかボス感がありますねぇ)

 

 

夫の干支、猪がまるで生きているかのようで驚きました!

神戸の南京町(なんきんまち)の干支石像にガッカリしていた夫も、これには大満足でしょう!

→→神戸南京町の記事はこちら・・・兵庫県神戸市。猪と間違えてパンダが作られ、十二支像に加わっている(笑)。

 

 

こちらもチェーンソーで作られたもの。

龍神、迫力ある~~!

 

 


これらは、チェーンソーアート・ジャパンのケイジさんが造っているそうです。

ユーチューブに、製作と奉納の様子がありましたので、貼っておきます。

ヴィ~~~ンヴィ~~~ン、ズィズィーーーン!

すっごいな~~~!

 

 

動画の最後にメッセージ。

「森林・地球を大切に」

 

 

 

拝殿の隣に、伊勢神宮遥拝所がありました。

→→伊勢神宮の記事はこちらから(三重県。皇室の祖先神を祀る)

 

 

その隣には、神木ナギの木。

 

 

 

次は、境内の祇園神社へ。

 

 

伊太祁曽神社の祭神であるイタケルノミコトの父神であるスサノオノミコトを祀っている、と書かれてあります。

 

 

いわくら。

奥出雲の船通山のいわくらを持ってきて、ここに祀っているようです。

 

 

イタケルノミコトは、高天原を追放されたスサノオノミコトとともに新羅曽尸茂梨に天降りましたが、スサノオが「この地吾居ること欲さず(乃興言曰 此地吾不欲居)」と言ったので、一緒に埴土船で渡って出雲斐伊川上の鳥上峯に至りました。

五十猛神が天降る際に多くの樹木の種を持っていましたが、新羅には植えずに全てを持ってきて、九州からはじめて大八洲国に植えたので、青山に被われる国となったのだそうです。

 

 

伊太祁曽神社の神様は、新羅から日本に入ってきて、全国に木を植えた神様なのですね。

ナグサトベ伝承を伝える【宇賀部神社(おこべさん)】の宮司家は、終戦後30年間もルバング島で戦いを続けていた小野田 寛郎(おのだひろお)さんの実家ですが、小野田さんは「紀州の山の植林後、その技術を木曽へ持って行った。木を増やしたから木曽という。植林技術を移転するのに、相当、技術屋さんが紀州から移住している。これは昭和13年当時、伊太祁曽神社の宮司さんが説明してくれたから間違いない」
とおっしゃったそうです。

 

神様が日本中に木を植えたと言われていますが、植林の技術者集団がいたのですね。

 

詳しくは、名草戸畔 古代紀国の女王伝説をお読み下さい。神武天皇が東征してくる前後の、この地域の話が載ってあります。スサノオ、イタケルについての説明もわかりやすく書かれており、小野田さんのインタビューもたくさん載っています。

 

 

 

御井社で、「いのちの水」を頂けます。
ご祭神は、ミヅハノメノカミと、ミイノカミ。

 

 

調べて初めて知ったのですが、伊太祁曽神社は粥占いをしているのですね。

粥占いと言えば、諏訪大社下社春宮の粥占いが有名でしょうか。

→→諏訪大社 下社・春宮の記事はこちら・・・長野県諏訪市。全国の諏訪大社の総本社。「その占いの正確なこと、神占正に誤りなし」と、諏訪大社七不思議の一つになっています。

 

 

 

広大な伊太祁曽神社ですが、古くは現在の日前宮の地に祀られていました。

垂仁天皇16年に日前神・国懸神が祀られることになったので、その地を明け渡し、現在地の近くの「亥の杜」に移り、713年(和銅6年)に現在地に遷座したのだそうです。

→→日前宮(にちぜんぐう)の記事はこちら・・・和歌山市。伊太祁曽神社がもともとあった場所に建つお宮で、2600年以上の歴史を持つ。伊勢神宮のご神体である八咫鏡の前に造られた二つの鏡がご神体で、紀氏が代々守ってきました。

 

 

もともと神社があった地(現在の【日前宮(にちぜんぐう)】)と、現在の伊太祁曽神社は電車で30分、車なら約7kmで25分ほど離れています。

けっこう遠くに移されたのですね。

移転された理由は、「名草戸畔 古代紀国の女王伝説」をお読みください。伊太祁曽神社の移転は、「紀の国の国譲り」なのだそうです。

 

 

 

また、【日前宮(にちぜんぐう)】【竈山神社(かまやまじんじゃ)】、 伊太祁曽神社を詣でることを「西国三社参り」と言います。

これらは神話に関わりの深いお宮なので、ぜひお参りしてください。

 

 

 

私はパワースポットに行っても何も感じないタイプなのですが、伊太祁曽神社はとても温かい感じがしました。

 

日前宮は凛とした厳かな雰囲気があるのですが、伊太祁曽神社はとても居心地が良いのです。

 

神恩を感謝し、「今年もお父さん(大工)が、怪我することなくお勤めできますように」と祈願して帰りました。

 

大工を生業とする父に育てられたのだから、樹木は私にとって「大自然の親」のようなものです。子供の頃は、近所の神社のクスノキによく遊んでもらいました・・・。

 

 

本州一の巨木(クスノキ)がある神社が、静岡県にあります。

→→来宮神社(きのみやじんじゃ)   樹齢二千年、本州一の巨樹があるパワースポット ・・・伐採されそうになった時、白髪の翁(木の精?)が現れて、鋸を真っ二つに折ったらしい。木にも意思があるのでは・・・と思う。

 

 

 

 

さて、次は最終駅「貴志(きし)駅」を取り上げたいと思います。

ネコの駅長「たま」がいた駅(現在はニタマが活躍中)で、伊太祁曽駅から5駅離れています。

 

和歌山市ではなく、隣の紀の川市になります。

 

次の記事はこちら

ずっと和歌山県の「貴志川(きしがわ)線沿線一日フリー切符」を使った観光・お参りを取り上げてきましたが、今回が最後の記事。終点の14番目の駅、貴志(きし)駅を紹介します。 11番目の大池遊園駅から先は、和歌山市ではなく「紀の川市」になり[…]

 

(この参拝記は2013年と、2018年です)

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伊太祁曽神社と同じく、紀伊一宮です。

→→【日前宮(にちぜんぐう)】 日前(ひのくま)神宮と、國懸(くにかかす)神宮からなる、2,600年以上の歴史ある御宮

→→【丹生都比売神社】 丹生都比売神を祀る神社の総本社で、水神・水銀鉱床の神

 

 

→→【竈山神社(かまやまじんじゃ)】 西国三社参りの一つ。戦死した神武天皇の兄「五瀬命(イツセノミコト)」の墓がある・・・伊太祁曽神社、日前宮、竈山神社は、西国三社参りと呼ばれています。

 

→→和歌山電鉄貴志川線の一日乗車券で、いちご電車、おもちゃ電車、たま電車に乗ろう!・・・伊太祁曽神社のある貴志川線は、一日乗り放題のフリー切符があり、面白い電車がたくさんあります

 

 

和歌山市の観光記事です。

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交通アクセス

JR和歌山駅9番ホームから、和歌山電鉄貴志川線に乗り、8駅先の伊太祁曽駅で下車、徒歩3分です。
電車の乗り換えはヤフー路線などでお調べください。

車で行く場合、無料駐車場があります。

フリー切符

和歌山電鉄貴志川線一日フリー切符がお得です。
大人780円、子ども390円。
和歌山駅9番ホーム、伊太祁曽駅、貴志駅売店、たまカフェ、和歌山駅前和歌山バス営業所で買えます。
貴志川線一日フリー切符
(グルメがお得になる特典つき)

近くの宿泊施設

ホテルグランヴィア和歌山。JR和歌山駅のすぐ隣にあります。

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