【モエレ沼公園】 入場無料。世界的な芸術家イサム・ノグチ氏が、ゴミ処理場跡地を美しい公園に変えた!

前回の【日本銀行旧小樽支店金融資料館】の続きで、五泊六日北海道旅行 四日目の紹介です。

午前中に小樽観光を終え、車で一時間ほど離れた札幌へ移動し、モエレ沼公園へ向かいました。

→→2018年5泊6日北海道旅行記の行程はこちら・・・5泊6日で36か所を巡りました。

旅行記

前回の札幌旅行(サッポロビール園など)が結婚前だったので、11年ぶりの札幌でした。

11年前の札幌旅行は、【サッポロビール園】【札幌市時計台、さっぽろTV塔】をまわりましたが、今回の旅行はモエレ沼公園、【北海道開拓の村】、すすきのへ行きました。順番に紹介したいと思います。

 

まず最初に「モエレ沼公園」の紹介ですが、札幌駅から車で30分ほどとそんなに遠くない立地で、入場無料、駐車場も無料という、うれしい施設!

 

しかもただの公園ではございません!

 

世界的な芸術家であるイサム・ノグチさんが設計した公園なのです!

 

(ちなみにイサム・ノグチさんの元妻は、李香蘭で有名な山口淑子さん。→→劇団四季のミュージカル「李香蘭」がわかりやすい

 

モエレ沼とは変わった名前ですが、これはアイヌ語の「モイレ・ペッ」(流れの遅い川)から来ており、この辺りはもともと低湿地帯でした。

沼と周辺の土地を有効活用するため、大正時代に沼の水を抜く水路を造り、周辺を水田として利用しましたが、減反政策で水田は消え、この一帯は札幌市から出る大量のゴミの埋め立て場として利用されることになります。

形を変えられ、ごみの埋め立て場となってしまったかわいそうなモエレ沼ですが、1978年(昭和53年)に札幌市が、モエレ沼を保全するために水郷公園とすることを決定。桜の木を植えたりするなど整備をし、後にイサム・ノグチさんが公園設計を手掛けることになります。

 

ノグチさんは、「人間が傷つけた土地をアートで再生する。それは僕の仕事です。」とコメントしたそうです。

 

 

ウィキペディアから拝借した、1985年に撮影されたモエレ沼。

1988年11月、イサム・ノグチさんは、モエレ沼公園の2000分の1の模型(マスタープラン)を披露しましたが、翌月に心不全で急死。

しかし、マスタープランが完成していたことや、イサム・ノグチ財団の協力で、翌年から着工。

プレイマウンテン、モエレ山、ガラスのピラミッドなどができ、最後に下のマップ赤い風船マークの噴水が出来たことにより、2005年に公園完成。

 

1985年の航空写真に比べ、ずいぶん奇麗になりましたね。

ノグチさんは完成を目にすることができませんでしたが、天国で「人間が傷つけた土地を、アートで再生できた!」と満足していらっしゃることでしょう。

 

 

折りたたんでポケットに入れ、公園を回ったので、ヘロヘロになった案内図。しわが多くて見にくいですが、公園内は山登りコース、遊具コースの2つに分かれています。

 

園内は広大で、徒歩でまわると一周2時間かかるため、有料自転車を借りるのをオススメします!

 

モエレ沼公園は7時から開いていますが、レンタサイクルの営業は9時からですのでご注意を。

 

 

駐車場近くに、レンタサイクルセンターがあります。

20インチの自転車は、2時間200円、1時間延長ごとに100円かかります。

自分で自転車をこげない乳幼児を連れた方は、26インチの後部チャイルドシートつき自転車を借りましょう。2時間300円、1時間延長ごとに150円かかります。

私達は、2時間レンタルで自転車を3台借りました。(そのうち一台は娘を乗せるためチャイルドシート付き)

子供にはヘルメットを貸してくれますので、ご安心を。

 

 

写真奥に見えるのが硝子のピラミッド、右に映っているのがモエレ沼です。

 

 

モエレ沼。

洪水時に水を溜め込む治水施設「遊水地」としての役割もあるそうです。

奥に見える山は、モエレ山。モエレ沼公園最大の造形物で、不燃ゴミと公共残土を積み上げて作られた人工の山です。

 

公園入口の橋から、右にガラスのピラミッド、左にモエレ山が見え、どちらから先に行こうかなーと悩み、ガラスのピラミッドからまわることに決定。

 

 

自転車をキーコーキーコーこぎまして、到着。

デッカイなー!

これは完全なピラミッド型ではなく、一面だけが△で、残りの三面は□です。

駐輪場に自転車を止めて、中に入りました。

 

オッシャレ!

すっきりとした造りは、美術館みたい。

 

 

日当たりがよく、ベンチがいくつかあるので、中でお昼ご飯を食べている方が多かったです。

硝子のピラミッドは「ひだまり」と名前が付けられており、のんびりとお日様を受けてくつろげる癒しスポット。冷房は「雪冷房」を導入しているそうです。

隣には、フランス料理店「ランファン・キ・レーヴ(フランス語で、夢見る少年)」もあり、夜間にピラミッドはライトアップされますので、かなり雰囲気の良い食事ができるのではないでしょうか。

 

 

イサム・ノグチさんの作品「オンファロス」。ギリシア語で「へそ」、「中心」を意味する言葉で、ガラスのピラミッドの頂点の真下に置かれています。

ピラミッドの心臓、といったところでしょうか。

もともと完成当時から置かれていたのではなく、B.U.G社の前社長服部裕之氏から、イサム・ノグチ氏の109才の誕生日である2013年11月17日に寄贈されたのだそうです。

石の中心から水があふれて静かに垂れる、不思議な作品でした。

 

硝子のピラミッドでは、美術の展示会の他、週末には音楽やダンスイベントがあるそうです。(ちなみにサカナクションの山口一郎さんは、イサム・ノグチの大ファン)

 

 

次は、モエレ山へ。

先ほども説明しましたが、モエレ山はモエレ沼公園最大の造形物で、不燃ゴミと公共残土を積み上げて作られた人工の山です。

 

私と娘は下で待っていましたが、夫と息子はモエレ山のてっぺんまで上りました。

登り口は3方向5ルートあり、10分ほどで上れます。

家族で競争して上るのも、楽しいでしょうね。

冬季は、スキーやソリ遊びも楽しめるそうです。

モエレ山のふもとから、もう一つの山「プレイマウンテン」が見えます。モエレ山よりも8年前に完成したもので、てっぺんに上れます。

 

 

プレイマウンテンてっぺんに人影。

 

 

拡大写真。

プレイマウンテンの一面は、瀬戸内海の犬島から運んできた花崗岩を積み上げた99段の石段になっています。

ピラミッドに上るみたいで楽しいのですが、草がボーボーに生えて上りにくいので、石段の隣の斜面を登る方が簡単。

ゆっくり上りたい方は、麓をぐる~っと歩いて、石段の反対側へまわりましょう。石段側は急斜面ですが、反対側は緩やかで上りやすいです。

 

 

プレイマウンテン頂上からの眺め。モエレ沼が良く見えます。

 

 

プライマウンテンから見たモエレ山。

プレイマウンテンは高さ30mで、モエレ山は高さ52m。

二つの山の間には、水と石の広場があります。

 

 

プレイマウンテンの頂上から見下ろした石段。

写真左に見える白いオブジェは、ミュージックシェルといってパフォーマンスの舞台になっています。ただの舞台ではなく、白い貝殻のような部分は控室やトイレとなっています。

お客さんは石段に腰かけて、舞台を観賞できるように配置されているというから、シンプルだけれども機能的な舞台ですね。

写真右の△は、テトラマウンド。直径2mのステンレスの円柱を三角にしたもので、表面に光線があたると輝きが多彩に変化するのだそうです。

芝生に寝転んで空を仰ぎ見ると、いろんな色が見えるでしょうね。お天気の良い日は寝転びましょう!

 

 

こちらは、プレイマウンテン山頂から見た、石段の反対側にある緩やかな斜面。

写真中央左に見える灰色の窪みは、モエレビーチ。海の無い札幌の子供たちに、イサム・ノグチさんが造った人工ビーチです。

その右奥には、2300本の木が植えられた桜の森があり、イサム・ノグチさんがデザインした七つの遊具エリアがあります。

 

 

ゴミ処理場跡地というと、なんだかマイナスなイメージを持ってしまいますが、イサム・ノグチさんによる設計で、人が集まり、喜ぶ公園に大変身。

 

 

人が傷つけ汚した土地を、こんなふうに激変させるなんて、人の創作エネルギーは、なんて力強いのだろう。

 

 

イサム・ノグチさんは、こんな名言を残されています。

「彫刻は不完全でいい。完成させるのは遊ぶ子どもたちや、季節、自然である」

 

 

うーん・・・、良い言葉だぁ。

 

 

プレイマウンテンから公園を見渡した後は再び自転車にまたがり、七つの遊具エリアのある桜の森を目指しました。

 

 

 

「遊具で子供たちを遊ばせて、私達もこの芸術の一部分になろう! それは今、この時しかない芸術なのだー!」

と、はり切ってシャーコーシャーコー自転車をこいでいたら、、、

 

雨が降ってきた。

 

それもけっこう急に、ボツ、ボツ、ボツ、ボツ、ザーーーーっと。

 

「いやぁぁぁぁ、濡れるぅぅぅ! 早く自転車返して車に戻ろう!」

と、シャーシャーシャーシャー!とお尻を振って必死に立ちこぎをし、スタート地点まで戻ったのでした。

 

(公園後半の写真が無くてゴメンネ)

 

・・・というわけで、お天気が怪しい時に、モエレ沼公園へ遊びに行く方は、レインコートや折り畳み傘を持って行きましょう。

開けた公園で、屋根のある施設がほとんどありません。

 

 

理想を言うなら(言うだけなら簡単)、「ゴミをできるだけ出さない社会こそが目指すところだよなぁ」と、毎週ゴミを出しながら思うのですが、不燃ゴミの埋め立て地を、世界的な芸術家が手掛けて憩いの場に変えた所はあまりないと思うので、ぜひ訪れてください。

 

そして、イサム・ノグチ氏が遺した芸術作品に寝転がり、空を見上げ、刻々と移ろう雲のアート、空のグラデーション、繊細なリズムで頬を撫ぜる風、葉脈の一本一本といった自然美(宇宙の芸術)も、ゆっくりと体感してみてはいかがでしょうか。

 

人間が生み出す芸術と、宇宙が生み出す芸術の、二つを同時に体感できる良いスポットだと思います。

 

 

次は、モエレ沼公園から車で一時間ほど離れた「北海道開拓の村」を紹介します。

 

 

次の記事はこちら

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(この旅行記は2018年です)

 

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交通アクセス

公共交通機関で行く場合、地下鉄東豊線「環状通東駅」から「東69 あいの里教育大駅」行きか、「東79 中沼小学校通」行きに乗車し、「モエレ沼公園東口」にて下車。

その他交通アクセスは、モエレ沼公園公式HPをご覧ください

車で行く場合、駐車場は無料です。

料金

入場無料、駐車場無料。開園時間は7時。閉園時間は、東入口ゲートは22時。その他ゲートは19時。

 

レンタサイクルは有料で、レンタル開始は9時からです。4月末から10月中旬は17時まで。10月中旬から11月初旬は16時まで。必ず公式サイトを確認してください。

20インチの自転車レンタル料金は、2時間200円、1時間延長ごとに100円かかります。
乳幼児を連れた方は、26インチの後部チャイルドシートつき自転車を借りましょう。2時間300円、1時間延長ごとに150円かかります。

近くの宿泊施設

ホテルマイステイズ札幌アスペン。札幌駅出てすぐ。

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