前回からの続きで、和歌山県九度山(くどやま)町の観光を取り上げます。
今日取り上げる慈尊院(じそんいん)は、前回取り上げた【九度山・真田ミュージアム】の最寄駐車場となっている「道の駅柿の郷くどやま」から徒歩10分、800mほどです。
以前、【高野町の観光】を取り上げ、弘法大師空海についていろいろ書きましたが、慈尊院は空海の母(玉依御前)とかかわりの深いお寺です。
高野山の大門、伽藍、金剛峰寺、奥の院とともに、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部に指定されています。
参拝記
慈尊院(じそんいん)のある九度山(くどやま)町は、【高野山】で有名な高野町の北にある町です。
マップの赤ピンが 【高野山の伽藍(がらん)】などがあるあたりで、青ピンが慈尊院(じそんいん)、【丹生官省符神社(にうかんじょうぶじんじゃ)】、【丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)】です。
この青ピンの三つは、高野山の【壇上伽藍】や【奥の院】などともに、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産登録されています。
慈尊院正門。
門から境内の周囲3方約250mにわたり囲っている塀は「築地塀(ついじべい)」と言い、和歌山県一の古さ(室町期)と壁の厚さがあるそうです。築地塀は県指定有形文化財指定。
この正門の向かい側で、柿の路上販売がありました。
4玉300円で、とても美味しかったです。
和歌山県は日本で柿の生産量一位を誇るのですが、九度山町は和歌山県においても「ひと味違う」と言われるほどの富有柿の名産地です。
柿が美味しい時期に行けて良かった!
柿のCM。
何度見ても良いわ。 関東で放送してくれないかなー。
慈尊院参りは、まずは弥勒菩薩様へ参るそうです。
こちらが本堂(弥勒堂・廟堂)。重要文化財、世界遺産。
本尊の木造弥勒仏坐像は国宝です。
弘法大師空海は高野山参詣の要所にあたる九度山に、高野山の表玄関として伽藍を作りました。
高齢となった弘法大師空海の母「玉依御前」は、息子が開いた高野山を一目見ようとやってきましたが、当時の高野山は女人禁制であったため、麓にあるここに滞在し、本尊の弥勒仏坐像を信仰したそうです。
空海の母は835年に死去しましたが、そのとき空海は弥勒菩薩の霊夢を見たので、廟堂を建立し自作の弥勒菩薩像と母公の霊を祀りました。
空海の母が弥勒菩薩を熱心に信仰していたため、入滅(死去)して本尊に化身したという信仰が盛んになり、慈尊院は女人結縁の寺として知られるようになり、女人の高野山参りはここということで「女人高野」とも呼ばれているそうです。
国宝に指定されている本尊。(九度山町の観光パンフレットから写真を借りました)
堂内に安置されている御本尊の弥勒仏坐像を拝めるのは、21年に一度とされています。(空海の命日が21日であることにちなむ)。
弥勒堂は鎌倉時代のもので、弥勒菩薩像は平安時代のものだそうです。
本堂(弥勒堂・廟堂)前には、こんなふうに乳房型の絵馬がいっぱい奉納されていました。
こちらは、本堂の向かい側にある拝堂で、祈祷申込やお守り授与をしているところです。
弘法大師の母公と、弥勒菩薩を祀る霊廟に乳房型絵馬を捧げ、安産・授乳・育児、病気平癒を願う乳房の民間信仰だそうです。
なかなかオッパイ型の絵馬は見ないですよね。
珍しいと思います。(それにしても良い形してますね~)
こちらは先ほどのおっぱい型巨大絵馬と同じところにあったもの。
左側の女性は弘法大師空海の母公で、右が弘法大師空海。
「高野より母を尋ねて月に九度」
空海は一ヶ月に9度(正確に9度というわけではなく、それだけ頻繁にということの例え)、20数kmに及ぶ山道(高野山町石道)を下って母を訪ねてきたので、この辺りは「九度山」という地名になった、と言われているそうです。
こちらが本堂(拝堂)。
北側が祈祷申込所で、南側から入れます。
中は撮影禁止で、高野山案内犬のゴンの新聞記事がたくさん張られていました。
ゴンの話は、童話として出版されています。ゴンは2002年に亡くなりました。
弘法大師像。
門を入って右手側にある大師堂(護摩堂)。
大師堂(護摩堂)の奥には、大規模な三間多宝塔があります。
1624年に再建されたもので、県指定有形文化財指定。
御本尊は、胎蔵界大日如来。脇仏に、胎蔵界四仏。
室町時代後期の三重塔から、江戸時代前期に多宝塔に作り変えられたそうで、貴重な建造物だそうです。
拝堂の奥にあった蓮華の噴水。
噴水には「高野山曼荼羅」のプレートがありました。
高野山は、八葉の峰(今来峰・宝珠峰・鉢伏山・弁天岳・姑射山・転軸山・楊柳山・摩尼山)と呼ばれる峰々に囲まれた盆地状の平地で、「まるで蓮の花のような地形」をしていることで有名ですね。
慈尊院は左上で、葉っぱの形で表されています。
境内には他に、みろく石、みくじ石、弁財天と稲荷明神、空海の母が腰掛けたと言われる石椅子などがありますので、参拝に行かれる形は探してみてください。
私はこの後、慈尊院の南側にある丹生官省符神社(にうかんじょうぶじんじゃ)へ行きました。
この神社も、世界遺産の一つで、弘法大師創建の社と言われています。
前回からの続きで、和歌山県の観光紹介です。 弘法大師空海と関わりの深い慈尊院(じそんいん)の南側に、弘法大師空海が創建したといわれる丹生官省符神社(にうかんしょうぶじんじゃ)があります。 ここも慈尊院や、高野山の伽藍、奥の院、金[…]
(この旅行記は、2016年です)
関連記事
弘法大師空海に関係する記事です。
→→丹生都比売神社(世界遺産)。丹生都比売神を祀る神社の総本社で、水神・水銀鉱床の神
→→高野山の記事はこちらから・・・大門や奥の院など。
→→生石(おいし)高原の記事はこちらから・・・空海が修行した山。
→→【比叡山と高野山、最澄と空海】 比叡山延暦寺紹介の前に、簡単に説明
→→乳がん治療にかかった費用と、その間の体調について・・・私の乳がん治療。
交通アクセス
公共交通機関で行く場合、南海高野線九度山駅で下車し、徒歩25分(2km)です。
(和歌山駅から行く場合、橋本駅で南海高野線に乗り換え、九度山駅で下車。料金は1100円、一時間半の乗車時間)
遠方から行く場合、 新大阪駅で新幹線をおります。
電車の乗り換えはヤフー路線などでお調べください。
歩くのが不便な人は、九度山町を巡回するバスがあります。乗車料金は100円、子供50円。
平成28年1月24日(日)~平成29年1月7日(土)のうち土日祝および特定日(計123日間)の運行で、九度山駅前~九度山町役場~真田庵前~道の駅柿の郷くどやまを巡回します。
赤いバスで六文銭がついています。
→九度山駅巡回真田バスHP
道の駅柿の郷くどやまで巡回バスを下り、慈尊院まで徒歩10分、800mです。
車で行く場合、参拝者用の駐車場がありますが、台数が少ないです(10台未満くらい)。
近くの旧体育館跡地駐車場か、道の駅柿の郷くどやまに駐車するのをおすすめします。
→真田ミュージアム駐車場案内
近くの宿泊施設
中川旅館。九度山駅から徒歩数分。