【金峯山寺(きんぷせんじ)】 御本尊は7mの青い巨大な蔵王大権現三体! 南朝とかかわりの深いお寺で、世界遺産

2023年、あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします。

 

今日は、奈良県吉野町の世界遺産「金峯山寺(きんぷせんじ)」を紹介します。

金峯山寺は、山岳修行の開祖である役行者(えんのぎょうじゃ)が7世紀ごろに開いた寺院。金峯山修験本宗(修験道)総本山で、青い7mの巨大な三体の蔵王大権現(ざおうだいごんげん)を祀っています。ご本尊は普段非公開のため、「日本最大の秘仏」とも言われています。

参拝記

金峯山寺(きんぷせんじ)に公共交通機関で行く場合、吉野ロープウェイ吉野山駅から徒歩10分。

 

 

車で行く場合、金峯山寺に専用駐車場はないので、吉野山下千本(しもせんぼん)駐車場に車を停めて、15分くらい歩きましょう。

 

下千本駐車場は、桜が見ごろの時期からゴールデンウィークの終わりにかけてと、紅葉の季節は駐車場料金が有料で、普通車1,500円~2,000円かかります。それ以外の季節は駐車料金無料です。

 

 

世界遺産吉野山観光マップ。北(吉野山の麓)から南(山頂)へ、下(しも)千本、中(なか)千本、上(かみ)千本、奥千本エリアに分けられており、金峯山寺は中千本です。

吉野山は桜の名所で有名ですが、大峯信仰登山の根拠地で修験道の霊場です。

霊場「吉野・大峯」と「【熊野三山】」を結ぶ修行の道は「大峯奥駈道(おおみねくがけみち)」と呼ばれ、今も修行が行われているそうです。

2004年7月、吉野山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が、ユネスコの世界遺産に認定されました。吉野山で世界遺産登録されているのは四か所です。

→→金峯山寺(きんぷせんじ)蔵王堂・・・この記事で紹介します。
→→【吉水神社】の記事はこちら
→→【金峯(きんぷ)神社】の記事はこちら
→→【吉野水分(よしのみくまり)神社】の記事はこちら

 

 

また、金峯山寺から南へ5分ほど歩くと、前回紹介した【吉水神社(世界遺産)】に行けるので、併せてお参りするのをおススメします。金峯山寺も吉水神社も、南朝とかかわりの深い所です。

 

 

下千本駐車場から金峯山寺へ向かう途中、写真の橋「大橋」を渡ります。

今から700年前、南朝初代天皇の後醍醐(ごだいご)天皇の皇子護良親王(もりながしんのう)が鎌倉幕府倒幕に向けて吉野で挙兵し、吉野山で幕府軍と立ち向かいました。6万人の幕府軍を相手に護良親王軍は三千人で、一時間ほど持ちこたえ、この辺りは激戦となりました。大橋の下にある窪みは敵の侵入を阻むための掘りなのだそうです。

 

 

 

黒門。金峯山寺の総門。

ここから先は、飲食店、みやげ物店、旅館が並ぶ参道で、上り坂です。

 

 

重要文化財の金峯山寺銅(きんぷせんじかねの)鳥居。銅製の鳥居としては現存最古のもので、俗界と浄域との結界。

宮島の木の鳥居(広島県)、天王寺の石の鳥居(大阪府)と並んで日本三鳥居の一つとされています。

 

 

 

私が訪れたのは2022年のゴールデンウィークで、金峯山寺仁王門は、保存修理工事中でした。

仁王門には阿形・吽形の2体の仁王像(重要文化財)が安置され、身丈は5.3m程で、奈良東大寺南大門の仁王像に次ぐ巨像なのだそうです。(見たかったなあ!)

 

 

工事前の写真を貼っておきます。仁王門は、金峯山寺で現存する最古の建造物であり、国宝です。2028年頃まで解体修理を行うそうです。

 

 

 

 

 

国宝の蔵王堂(ざおうどう)。金峯山寺の本堂です。

木造古建築としては東大寺大仏殿に次ぐ大きさで、現在の建物は天正20(1592)年に再建されたもの。

→→【東大寺大仏殿(奈良の大仏)】の記事はこちら・・・奈良県奈良市。奈良観光の定番スポット! 国宝で世界遺産。奈良の大仏が作られたワケとは・・・

 

本堂蔵王堂は、午前8時30分 ~ 午後4時。拝観料は通常時大人800円で、秘仏御本尊特別ご開帳時は大人1600円です。

私が訪れたのは2022年5月6日。ちょうど2022年3月27日から5月8日まで国宝仁王門大修理勧進で、秘仏御本尊特別ご開帳されていた時でした。拝観料は1600円で、ミニ木札と特製エコバッグが頂けました。

秘仏御本尊特別ご開帳は定期的に行われているので、訪れる前に公式HPでチェックしてください。

 

 

内部には、巨大なお厨子があり、秘仏のご本尊である金剛蔵王大権現(こんごうざおうだいごんげん)像が3体お祀りされています。

金剛蔵王大権現は、およそ1300年前に修験道の御開祖である役行者(えんのぎょうじゃ)によって感得された権現仏。権現とは、「神仏が姿を変じてお出ましになった仮のお姿」という意味です。

 

中は写真撮影禁止ですので、この後、食事をとった飲食店で飾られていた御本尊「金剛蔵王大権現」の写真を載せておきます。

木造蔵王権現立像は重要文化財で、像高は中尊が728センチ、向かって右の像が615センチ、左の像が592センチ。寺伝では中尊が釈迦如来、向かって右の像が千手観音、左の像が弥勒菩薩を本地とし、それぞれ過去・現世・来世を象徴するのだそうです。

 

すごく迫力ある姿で驚きました!

 

 

この姿は、インドや中国起源ではない、日本独自の尊像で、密教彫像などの影響を受けて日本で独自に創造されたものなのだそうです。

役行者は、全国の霊山を御開山になった後、熊野から大峯山脈の稜線伝いに吉野に修行されること33度を重ねられ、最後に金峯山(大峯山)山上ヶ岳の頂上で、一千日間の参籠修行をされました。苦しみの中に生きる人々をお救いいただける御本尊を賜りたいとの役行者の祈りに応えて、先ずお釈迦如来、千手千眼観世音菩薩、弥勒菩薩の三仏がお出ましに成られました。役行者は、その三仏の柔和なお姿をご覧になって、このお姿のままでは荒ぶ衆生を済度しがたいと思われて、さらに祈念を続けられました。すると、天地鳴動し、山上の大盤石が割れ裂けて、雷鳴と共に湧き出るが如く忿怒の形相荒々しいお姿の御仏がお出ましに成られたのです。この御仏が金剛蔵王大権現で、役行者はこれぞ末法の世を生きる人々の御本尊なりと、そのお姿を山桜の木にお刻みになってお祀りされたのでした。これが、金峯山寺の始まりであり、修験道の起こりと伝えられています。

(金峯山寺公式HPより抜粋)

 

私が蔵王堂に入堂したのは11時40分。秘仏でもあるご本尊の金剛蔵王大権現の足元でお参りさせていただき、御堂内の他の像を拝観していましたら、「とも祈り護摩供を行いますので皆さまもご一緒にお祈りください」とアナウンスがかかりました。御堂に管長猊下はじめ一山住職が入られ、拝観者はその後ろに座り、皆で「南無蔵王大権現」と唱和しました。

 

振り返れば、2020年1月から日本国内で新型コロナウィルス感染症が大々的に報道され、安倍元総理が2020年4月7日に東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言を行い、4月16日に対象を全国に拡大。学校も店も会社も閉まり、窮屈な自宅待機の日々と、マスク&消毒の生活。

2021年の春も相変わらず新型コロナウィルス騒動は続き、おまけに私は乳がん告知され、手術で左胸を失いました。さらに三か月後には左足を捻挫して、体がボロボロに。

2022年は穏やかになるかと思いきや、早春にロシアのウクライナ侵攻が起こり、世界の安全保障問題、食料問題、燃料費や肥料の高騰からくる物価高・・・と、世界はさらに混乱することになりました。

 

 

どうして私の内も外も、ボロボロなのだろう

どうしたらいいのだろうか

神様仏様、どうかお救い下さい・・・。

 

 

手を合わせて「南無蔵王大権現 南無蔵王大権現」と唱和していると、涙が・・・。

もう、涙がはらはらと零れ落ちて、止まりませんでした。

 

 

唱和が終わった後、管長猊下が「金峯山寺では毎日、高野山などと12時に合わせてお祈りをしています。南無阿弥陀仏でも南無蔵王大権現でも良いので、12時に世界の平和や、コロナ収束を祈ってください。ここや、高野山や比叡山の方に向かってでも良いので。みんなが平和を祈ることで、お願いすることで、世界が良くなっていくのだと思います」とおっしゃいました。

 

希望は確かにあるのだと、すごく勇気づけられ、とても癒された「とも祈り」でした。

皆様もどうか、毎日正午に手を合わせ、世界の平和とパンデミック収束を祈ってください。

祈りは、意乗り。

 

 

 


蔵王堂前、石柵で囲まれた中に、4本の桜の木が植えられています。ここは、元弘3年(1333年)、鎌倉幕府軍に攻められた後醍醐天皇の皇子【護良(もりなが)親王】が、陥落前に最後の酒宴を催したところ。

 

護良親王は金峯山寺の僧兵を味方にして、吉野山を要害化し吉野城として立てこもりました。北条幕府の圧倒的な兵力に「もはやこれまで」と覚悟を決め、別れの酒宴を開いたのがここなのだそうです。

 

 

後醍醐天皇の皇子・護良(もりなが)親王。幼少の頃から一を聞いて十を知るように利発聡明な頭脳の持ち主だったそうです。

 

 

鎌倉幕府側が6万もの兵を率いて攻め寄せた時、護良親王の忠臣である村上義光(むらかみよしてる)は瀕死の身で、吉野落城に際して自刃を覚悟した親王をいさめ、親王の鎧直垂を着用して身代わりとなり、上の写真の場所(二天門跡)で腹十文字に掻き切って壮烈な最期を遂げました。その間に、護良親王は【高野山】へ落ち延びることが出来たそうです。

この後、護良親王の令旨を受け、新田義貞が鎌倉(北条)幕府を攻めたてて幕府は陥落。

護良親王は「足利高氏(後に尊氏に改名)が武家として台頭することで戦乱の世が来る」と主張しましたが、後に的中。尊氏と護良親王の仲は険悪なものになり、護良親王は皇位を奪おうとしているとの疑いまでかけられて征夷大将軍を解任され、鎌倉将軍府にあった尊氏の弟・足利直義の監視下に置かれ、28歳(数え年)という若さで、神奈川県鎌倉市で殺害されました。

 

 

 

護良親王の父である後醍醐天皇は、京都の北朝に対して、吉野に南朝を興し、60年にわたる南北朝時代が到来。

 

 

お腹が空いたので、二天門跡のすぐ近くにあるお食事処はるかぜで、葛うどんと柿の葉寿司を食べました。デザートのミニ葛餅も美味しかったです。

 

 

吉野の名物、吉野葛(くず)。写真の木(葛)の根に含まれる澱粉です。写真は、葛屋 中井春風堂にて。

 

 

 

次は、金峯山寺本堂の西側へ。

吉野朝宮跡。南朝の皇居跡。

 

 

妙法院 南朝妙法殿。

 

 

役行者像。

 

 

つつじが美しく咲いていました。

 

 


聖仏舎利宝殿(せいぶっしゃりほうでん)。仏舎利(お釈迦様の御真骨)を安置するために建立されました。仏舎利は昭和42年(1967)11月24日、インド政府から贈呈されたもの。

 

 

南朝地蔵尊。

 

 

修験道の開祖役行者像。

 

 

 

 

長い階段を下りて、

 

 

滝。

 

 

さらに階段を降りて、

 

 

脳天大神龍王院(のうてんおおかみりゅうおういん)に到着。

 

 

脳天大神龍王院は、昭和26年(1951)、当時の管領五條覚澄(かくちょう)が創祀。「脳天さん」と呼ばれ、「オン ソラソバテイ ソワカ」と真言を唱えます。首から上の守り神だそうです。
脳天大神龍王院は行きはひたすら下りなので楽ですが、帰りは上りなのでけっこうな運動になります。けれどもとても雰囲気の良い所でしたので、ぜひお参りをしてください。

 

 

また、金峯山寺から徒歩5分の所に世界遺産の吉水神社があるのであわせてお参りしましょう。

次の記事はこちら

前回からの続きで、奈良県の吉野(よしの)観光の紹介です。 今日は、世界遺産の吉水(よしみず)神社を紹介します。 参拝記   世界遺産吉野山観光マップ。写真のように北(吉野山のふもと)から南(山頂)へ[…]

 

 

 

 

次は、金峯山寺(きんぷせんじ)と名前が少し似ている金峯(きんぷ)神社を紹介します。こちらも世界遺産です。

金峯山寺から金峯神社へ、車で16分。吉野山最奥にある神社です。

 

 

次の記事はこちら

前回からの続きで、奈良県吉野町の観光紹介です。 世界遺産の【金峯山寺(きんぷせんじ)】の次は、同じく世界遺産の金峯(きんぷ)神社を紹介します。この神社は、吉野山最奥の青根ヶ峰のそばにあり、吉野山の地主神を祭ります。源義経の隠れ堂や、西[…]

 

 

(この参拝記は2022年のものです)

 

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交通アクセス

公共交通機関で行く場合、吉野ロープウェイ吉野山駅から黒門、銅鳥居を経て蔵王堂まで徒歩10分。

金峯山寺に専用駐車場はありません。吉野山下千本駐車場に車を停めて、15分くらい歩きましょう。

下千本駐車場は、桜が見ごろの時期からゴールデンウィークの終わりにかけてと、紅葉の季節は駐車場料金が有料で、普通車1,500~2,000円かかります。それ以外の季節は駐車料金無料です。

料金

本堂蔵王堂は、午前8時30分 ~ 午後4時。拝観料は通常時大人800円で、秘仏御本尊特別ご開帳時は大人1600円です。

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