【熊野本宮大社の旧社地 大斎原(おおゆのはら)】 世界遺産。明治22年まで、熊野本宮大社があったところ

前回の続きで、和歌山県の熊野詣(くまのもうで)の紹介です。

今日は、熊野本宮大社から徒歩10分くらい離れた「大斎原(おおゆのはら)」について取り上げます。

熊野三山、熊野詣(くまのもうで)とは

霊場「熊野三山(くまのさんざん)」は、和歌山県熊野地方にある「熊野本宮(ほんぐう)大社」「熊野速玉(はやたま)大社」「熊野那智(なち)大社」の三社と、那智大社と密接な関係を持った那智山青岸渡寺(せんがんとじ)、補陀洛山寺(ふだらくさんじ)の二寺を加えた総称で、世界遺産に登録されています。

また、これらに参詣することを「熊野詣(くまのもうで)」と言います。

上のマップの赤丸が、熊野三山。(黄色の補陀洛山寺は未訪問)

 

上のマップの青丸は、熊野三山と関わりのある神社です。

 

 

参拝記


交通アクセスは前回と同じなので、熊野本宮大社の記事をご覧ください。

熊野本宮大社前に、大斎原への案内図があるので、迷わないと思います。

 

大斎原(おおゆのはら)への途中、産田社(うぶたしゃ)という小さな神社があります。

伊邪那美命の荒御魂がお祀りされており、こちらのお守り「産守り(うぶまもり)」は熊野本宮大社の社務所で頂けます。

 

八百万の神々をはじめ、全てを生み出された産土(うぶすな)の神と仰がれるイザナミノミコトの荒御霊を受けられるお守りだそうですよ。

 

 

 

トンボが飛び交う田んぼの間の道を通り、大斎原(おおゆのはら)の大鳥居をくぐる。
幅約42m、高さ約34mで、八咫烏が掲げられていました。

 

 

私達が訪れた10月8日は、雨・曇りの予報だったのですが、大斎原あたりからガンガンに晴れてめちゃくちゃ暑かったです。(大斎原の参拝を終えて車へ戻る時、息子が暑くて動けないとゴネるくらい暑かった)

 

 

近くにあった看板には、

日本第一大鳥居建立の意義

「人心が神と自然から離れつつある今日、当社の最も危惧するところは「命脈の護持」であり次の世代への日本の心(精神・魂)の復活を祈願することであります」

と、ありました。

 

 

神代の時代、スサノオノミコトが大地の荒れ果てているのを嘆かれ、自ら木をお手植えになられて「木の国=紀の国」と名づけられました。

皇紀2661年を迎えた日本国にとって、大なる節目であることは無論のこと、この節目の始めにあたり「日本人の精神(心)の蘇り、日本経済の再生、熊野の山々より環境の大切さの再認識、国内はもとより世界人類平和」を確固たることを祈念し、今こそこの壮大なる熊野の山・川は申すまでもなく、大斎原を発信基地として熊野の大神の御神徳が発揚かつ千木高く厳然として鎮まりますよう、熊野本宮大社・熊野信仰の原点となる大斎原に、日本最大の第一鳥居を建立する運びとなった次第です。

八咫烏を掲げた天下一大鳥居であります。

竣工は平成12年5月11日です。

と、続けて看板に書いてありました。

 

「日本人の精神(心)の蘇り、日本経済の再生、熊野の山々より環境の大切さの再認識、国内はもとより世界人類平和」

 

・・・そうですよね。

神社で個人的なお願いごとをする方も大変多いと思いますが、世界人類の平和を願い、命を育んでくれる地球環境を大切にしないと、大切な方との幸せな生活も、学業の向上も、受験の成功も、事業の発展も、成り立たないと思います。

 

「神代の時代、スサノオノミコトが大地の荒れ果てているのを嘆かれ、自ら木をお手植えになられて 木の国=紀の国 と名づけられました」とありますが、和歌山市にある伊太祁曽神社(いたきそじんじゃ)は、スサノオノミコトの子であり、木の神として信仰される神イタケルノミコトが祀られており、こちらも「木の国=紀の国」と関わりの深い神社です。

 

 

参道。
熊野本宮大社よりも、ずっと人が少なかったです。

 

 

 

ここから中に入っての撮影禁止ペットも入れてはいけません

 

 

かつて一万坪を超える境内に、五棟十二社の社殿、楼門、神楽殿や能舞台などがありましたが、現在は二基の石祠が建てられ(写真左側に映っています)、左側に中四社下四社を、右側に境内摂末社の御神霊がお祀りされています。

中四社
・オシホミミノミコト
・ニニギノミコト
・ヒコホホデミノミコト
・ウガヤフキアエズノミコト
下四社
・カクツチノミコト(火の神)
・ハニヤマヒメノミコト(土の神)
・ミヅハノメノミコト(水の神)
・ワクムスビノミコト
元境内摂末社
・ヤタガラス神社
・音無天神社
・高倉下神社
・海神社    他

 

 

 

昔の境内図。

熊野川・岩田川・音無川の、三つの川が合流する中州に鎮座していました。

熊野の神々は、中州のイチイの巨木の梢に三体の月の姿で降臨したとも伝えられているそうです。

一番大きな川が熊野川、左から流れ込んでいるのが岩田川、大きく蛇行したあと街並みに平行して流れているのが音無川。

街並みから音無川を越えて境内へ入る場所には、太鼓橋がかかっていますが、江戸時代までは橋がなかったので、参詣者は川を渡り、足を濡らさなければ境内に入れませんでした

これを「濡れわらくつの入堂」といい、全ての参詣者が自然に身を清める禊をしたそうです。

また、新宮へと向かう船着場もあり、新宮へと向かう「川の参詣道」の出発地点となっていたそうですよ。

 

 

明治22年に熊野川の大洪水で押し流される前に撮られた写真。

辛うじて倒壊を免れた上四社(三棟)は、北西の丘陵に遷し、現在の熊野本宮大社となっています。

かつては森に囲まれた中州中央に、横一列に十二柱の神々を祀る社殿と上神楽所、おおきな礼殿があった・・・。

さぞかし立派だったでしょうね。

 

 

以前取り上げた闘鶏(とうけい)神社の6棟の社殿は、熊野本宮大社が川の増水で流失する以前の社殿の形を再現しており、世界遺産、県有形指定文化財に指定されています。

→→闘鶏神社の記事はこちら・・・熊野本宮大社からは、車で1時間13分ほどかかります。(南紀白浜の近く)

 

 

 

苔むした石積み。
明治22年の水害にも負けずに残ったのかな?

 

 

熊野川。

熊野本宮大社と熊野速玉大社間の流域は、「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されています。

エメラルドグリーン色の、綺麗な川でした。

 

瀞峡めぐりについて

熊野川を下ると、瀞峡(どろきょう)・瀞八丁のジェット船乗り場にいけます。(国道168号線を経由して、車で20分くらい)

瀞八丁は、峡谷の両岸に高さ50mにおよぶ断崖、巨石、奇岩、洞窟が1km以上続く日本屈指の景勝渓谷で、国の特別名勝、および天然記念物に指定されています。
公共交通機関で行く方は、バス停「志古」で下車です。

小学生の時、連れて行ってもらったのですが、けっこう良かったです。
船から下りた後は、アユの塩焼きを食べたような・・・。

ウォータージェット船は途中で休憩をはさみ、所要時間は二時間ほどです。

大変残念ですが、2021年1月から、瀞峡(どろきょう)ウォータージェット船は休止だそうです。

 

 

瀞峡めぐりは、もう一つ会社があります。

それが奈良県十津川村の「かわせみ」。先ほどの熊野観光の船より安いです。
乗船所要時間は30分。
最大7人しかのれない小型のボートなので、貸しきり気分を味わいたいなら、「かわせみ」がオススメです。(電話予約する必要があります)

熊野本宮大社からは、169号線+168号線を通り奥瀞道路を通って、車で37分かかります。(昔は奥瀞道路がなく、細い道を通らなくてはいけなかったようですが、現在は便利になっていると思います。けれどもたぶん、道の狭いところが若干あるんじゃないのかなぁ・・・?)

瀞ホテルの近くに、「かわせみ」の船乗り場があります。(ホテルと名前がついていますが、現在宿泊者は受付しておらず、飲食店となっています)

 

 

・料金が高い。乗船時間が長い。大勢で乗れる。熊野本宮大社から交通アクセスの良い「熊野観光ウォータージェット船」
・料金が割安。乗船時間が短い。最大7名の貸しきり気分で乗れる。熊野本宮大社からは交通アクセスがちょっと悪い十津川村の「かわせみ」
のどちらにするか、好みが分かれると思います。

 

川は綺麗ですし、奇岩は不思議で面白いので、オススメです。

 

 

次は、熊野三山の奥の宮「玉置(たまき)神社」を取り上げます。

熊野本宮大社からは車で55分くらいかかります。(道がですね~、わりと細いです。標高1,076メートルの玉置山の9合目にあります)

 

次の記事はこちら

なにげに、初・奈良県記事です。   まさか、秘境の神社、玉置神社が初・奈良記事になるとは・・・。   今回取り上げるのは、奈良県吉野郡十津川(とつがわ)村にある、玉置(たまき)神社。 私がお[…]

 

(この参拝記は2016年です)

 

関連記事

熊野三山の全ての祭神を祀る熊野の別宮的な存在。ここに参詣し、三山を遥拝して、山中の熊野まで行かずに引き返す人々もいたそうです。和歌山県田辺市。

闘鶏神社の記事はこちら

 

熊野三山の記事はこちら
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近くの宿泊施設

川湯温泉 冨士屋。熊野本宮大社から車で10分。川底から出る温泉に入れます。

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