前回の続きで、滋賀県の琵琶湖一周旅行の二日目の行程です。
全国の白髭神社の総本社である白髭神社へお参りした後、琵琶湖大橋米プラザで休憩し、日吉大社へ向かいました。
参拝記
滋賀県大津市にある「日吉大社(ひよしたいしゃ)」は、全国に約3,800ある日吉神社・日枝神社・山王神社の総本社です。
もともと、「日枝」「比叡」と書き「ヒエ」と呼んでいましたが、 「エ」の文字を縁起の良い「吉」にかえるようになり、「ヒヨシ」と呼ぶようになったそうです。
場所は比叡山のふもと。
比叡山と言えば天台宗の開祖である伝教大師(最澄)が開いた【比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)】が有名ですが、比叡山延暦寺ができる前から、日吉大社は比叡山のふもとに鎮座し、古くから信仰を集めていました。
創建は2,100年前の崇神天皇の頃とされています。
日吉大社参拝マップ。
マップ中央にある無料駐車場に車を停めました。境内の駐車場が満車の場合は、少し離れた大宮川観光駐車場に停めることになります。
日吉大社は「入苑協賛料」として、中学生以上の大人300円、小学生150円かかり(小学生未満無料)、車で行く方は東受付所で、徒歩で入る方は西受付所にて協賛料をおさめます。
境内はとても広く、東本宮~西本宮と一周まわるのに30分、距離にして700mです。
さらに標高381mの八王子山にある奥宮の金大巌(こがねのおおいわ)へは、奥宮登山口から片道約30分(往復1km)かかるので、東本宮、西本宮、奥宮へと全てまわると一時間半くらいかかります。
拝観時間は9:00 〜 16:30まで。16時半になると、東本宮と西本宮の門が閉められますので、ご注意ください。
全て書くと写真の枚数が増えるので、奥宮の金大巌(こがねのおおいわ)は次回の記事で書くとして、今回は西本宮と東本宮について書きたいと思います。
山王鳥居(さんのうとりい)。
神仏習合信仰を表す独特的な形で、別名「合掌鳥居」とも言われています。
ちなみにこちら、東京赤坂の日枝神社。この日枝神社も、日吉大社からの分祠なので、鳥居はやはり山王鳥居です。
もともと日吉大社は、日枝の山(比叡山)山頂が始まりですが、崇神天皇の御代に比叡山のふもとに移されました。
後に天台宗の開祖である最澄(さいちょう)が比叡山に【延暦寺(えんりゃくじ】を開き、比叡山の地主神である日吉大社を「天台宗の護法神」として崇敬し、神仏習合となりました。
神道に、仏教の胎臓界・金剛界を合一させたものが、独特的な「山王鳥居」です。
鳥居の上に三角形が乗っかっているので、覚えやすいですね。
広い参道を歩いて、西本宮へ向かう。
途中、神馬舎と神猿舎がありました。
神猿舎のニホンザル。
毛づくろい中で、左のお猿さんが、右のお猿さんの顎の毛を「ブチッ、ブチッ」と引っこ抜いていました。
かなりブチブチと音がしたので、「痛くないのかなー???」と思いました。
日吉大社は京都御所の鬼門(北東)にあり、「魔が去る」や「勝る(まさる)」で、「神猿(まさる)さん」が大切にされてきました。
神猿舎を過ぎると、地中に埋まった巨石が二つあります。
こちらは大威徳岩(だいいとくいわ)。
西方の守護神と言われる祇園岩と共に、日吉大社の霊石の一つ。
こちらは、もう一つの祇園石(ぎおんいわ)。
祇園の神様が降り立つ霊石で、岩の窪みにたまる水は目によく効くと言われているそうです。
近くには、顔出しパネル。
私は申年生まれなので猿の所から顔を出したかったのですが、あんまり可愛くないだろうなーと思い、娘(午年生まれ)に顔を出してもらいました。
申年生まれの方は、ぜひ、お守り授与所に行ってください。
申年生まれの方は、住所と名前を申込用紙に書いて授与所に出すと、神猿の記念品がもらえます。
お守り授与所は、神猿尽くしで、絵馬も神猿!
「見ず聞かず言わざる」
三つの猿よりも
思わざるこそ
まさるなりけり
日光東照宮には三猿(みざる、いわざる、きかざる)がありますが、これはもともと比叡山中興の祖といわれている良源の所施術から生まれたものだそうです。
→→【日光山観光①】日光東照宮の記事はこちら・・・ご祭神は徳川家康。→→【比叡山延暦寺 横川(よかわ)エリア②】 比叡山中興の祖「良源」はおみくじの創始者。
いかり、うらみ、ごまかし、なやみ、ねたみ、ものおしみ、だますこと、へつらい、傷つけること、おごり、といった心をそもそも持たない「おもわざる」ことが最も大切であると、良源は諭しました。
我が家の本棚には、スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)のアルボムッレ・スマナサーラ長老の本が何冊かあるのですが、「心がフッと軽くなるブッダの瞑想 」という本に、「すべての問題は、自分の心が作り出している」「心の外に何か原因を求めているけれども、原因があるとすれば、その人の心の問題だけである」と書いてあります。
「思わざるこそまさるなりけり」
内観、内省・・・、大事ですねぇ・・・。
精進せねばっ!
さてさて、サルと言えば風貌がサルにそっくりで「サル」と言われていた豊臣秀吉を思い出しますが、太閤記によると秀吉の幼名は「日吉丸」となっています。
なんでも、秀吉の母親が「男の子が生まれますように」と日吉神社に祈願したところ、男子が生まれたため、神社の名から「日吉丸」と名付けたのですが、これは作り話である可能性が高いそうです。
真偽はどうかわかりませんが、日吉大社は、秀吉の主君である織田信長の焼き討ちにあい、建造物が全て燃やされてしまいましたが、信長亡き後、秀吉は日吉大社の復興に尽力したようです。
かつては境内108社・境外108社と言われるほど広大な神社だったようで、現在は主に21社を「山王二十一社」と呼びます。
では、お参りへ。
重要文化財の、西本宮楼門(ろうもん)。
改修工事をしているのか、一部覆いがしてありました。
楼門の軒下の四隅には木彫りの猿があるので、ぜひ探してください。
西本宮鎮座1350年。
こちらが、国宝の西本宮本殿。
1586年(安土桃山時代)に復興、1597年に改造された「日吉造」という独特的な形で、床下には仏事に営んだ「下殿」という部屋があるそうです。
祭神は、大己貴神(おおなむちのかみ)。
もともと、ここの地主神は東本宮にお祀りされている神様「大山咋神(おおやまいくのかみ)」なのですが、奈良の三輪山の大己貴神(おおなむちのかみ)の方が上位とみなされるようになったため、この西本宮を「大宮」と呼んでいたそうです。
西本宮には、ご神木の桂の木があります。
西本宮の祭神である大己貴神(おおなむちのかみ)は、奈良の大神神社(おおみわじんじゃ)から比叡山のふもとにお越しになり、携えていた杖をこの地に刺したところ、桂の木に成長したことにちなむそうです。
毎年四月に行われる「山王祭」では、桂を冠に刺すそうです。
桂の木の足元には、「双葉葵(ふたばあおい)」。
桂と葵は、古来から縁起の良い組み合わせとして尊ばれてきたようです。
双葉葵は、京都の加茂社(かもしゃ)の神紋ですね。
西本宮の隣にある摂社の「宇佐宮(うさぐう)本殿」。重要文化財です。
御祭神は、田心姫神(たごりひめのかみ)で、西本宮の神様の妃神。
大分県の宇佐八幡宮の比売大神と同じ神とされているそうです。
こちらは、宇佐宮の右隣の摂社「白山宮(しらやまぐう)」。重要文化財。
御祭神は、白山姫神。別名、菊理姫神(くくりひめのかみ)。
境内の西側のお参りが済んだら、次は東側へ。
途中、このような石の階段があります。ここを上れば、奥宮です。
私たちは、西本宮お参りの後に奥宮へ行ったのですが、先に東本宮について書いておきます。
東本宮楼門。
写真奥が、国宝の東本宮。御祭神は、比叡山の地主神である大山咋神(オオヤマイクノカミ)。
左が「樹下宮(じゅげぐう)」で、御祭神は大山咋神の妃神である鴨玉依姫神(カモタマヨリヒメノカミ)。
東本宮には、日吉雌ナギ・雄ナギの木があり、雌ナギは男性が女性の幸せを祈り、雄ナギは女性が男性の幸せを祈る木とされているようです。
東本宮に祀られている大山咋神(オオヤマイクノカミ)は、奥宮にある牛尾宮に荒魂が祀られ、樹下宮(じゅげぐう)に祀られている鴨玉依姫神(カモタマヨリヒメノカミ)も、奥宮にある三宮宮に荒魂が祀られています。
では、次の記事で「奥宮」を取り上げたいと思います。
急な坂道を30分ほど上った先にある、巨大な磐座「金大巌(こがねのおおいわ)」は必見です!
前回の続きで、滋賀県の琵琶湖一周旅行二日目の行程。 全国に約3,800ある日吉神社・日枝神社・山王神社の総本社である「日吉大社(ひよしたいしゃ)」の西本宮と東本宮の次は、奥宮の紹介です。 →→2018年5泊6日滋賀県琵琶湖一周旅行記[…]
(この旅行記は2018年です)
関連記事
→→2018年・春 滋賀県琵琶湖一周 5泊6日旅行の行程・・・この旅行の行程まとめ。
→→日枝神社の記事はこちら・・・東京赤坂。皇居・江戸城の鎮守で、裏鬼門(南西)を守っている。巨大な山王鳥居があります。
→→【道の駅 琵琶湖大橋米プラザ】 琵琶湖大橋と記念撮影。琵琶湖大橋にはメロディロードがある・・・前回の記事
→→【白髭神社】 近江最古の大社で、全国の白髭神社の総本宮。湖中の鳥居と、山の磐座・・・日吉大社から車で30分ほど離れています。山上(奥宮)に磐座がある。
交通アクセス
公共交通機関で行く場合、JR湖西線 比叡山坂本駅(徒歩20分)。または、京阪石山坂本線 坂本駅(徒歩10分)。
車で行く場合、境内に無料駐車場があります。
料金
入苑協賛料:大人300円 小人150円
参拝時間:9:00 〜 16:30
近くの宿泊施設
天然源泉の宿 ことゆう(糸結)。日吉大社から車で10分。スパリゾートあがりゃんせが利用できるホテルです。