【大國魂神社】 武蔵国の総社。東京五社の一つ。1900年以上の歴史がある。樹齢1000年の銀杏と、武蔵国府跡について

前回、【府中市郷土の森博物館】を取り上げたので、その流れで同じく東京都府中市の大國魂(おおくにたま)神社を取り上げます。

ここは東京五社の一つで、毎年5月に行われる「くらやみ祭」と、11月に行われる酉の市(とりのいち)で有名です。

参拝記

東京五社と呼ばれる神社は、

  1. 【日枝神社】 ・・・東京都千代田区永田町
  2. 【明治神宮】・・・東京都渋谷区代々木
  3. 【東京大神宮】・・・東京都千代田区富士見
  4. 【靖国神社】・・・東京都千代田区九段北
  5. 【大國魂神社】・・・東京都府中市

です。(上の青文字は、それぞれ参拝記に繋がっているのでご覧ください)

大國魂神社以外、全て24区内です。

 

 

交通アクセスは、京王線 府中駅から徒歩5分。または、JR・南武線・武蔵野線 府中本町駅から徒歩5分。車で行く場合、境内に無料駐車場の他、タイムズの有料駐車場があります。

私は国の二番目の天然記念物に指定された欅(けやき)並木を見たくて、京王線の府中駅から行きました。

 

京王線府中駅前通りは、このような立派な並木道(表参道)で、源 義家像がありました。

 

 

源 義家(みなもとのよしいえ)像。

通称、八幡太郎(はちまんたろう)。後に鎌倉幕府を開いた源頼朝、室町幕府を開いた足利尊氏などの祖先にあたります。

父の頼義と共に、奥州で起きた乱を鎮めた帰りに、戦勝祈願成就の報賽として、1,000本ものケヤキの苗を大國魂神社に奉納したのが、けやき並木のはじまりと伝えられているので、像が建てられたようです。

 

源氏ファンは、小町通りと、鶴岡八幡宮の記事もご覧ください。

 

 

 

 

 

二柱の大きなケヤキが、まるで天然の鳥居のようでした。

樹齢900年とも言われている御神木だそうです。

 

 

 

大國魂神社の大鳥居。

 

 

 

大鳥居を超えた左側に、小さな神社「宮乃咩神社(みやのめじんじゃ)」があります。

創建は大國魂神社と同時期で、1182年に源頼朝が、妻である北条政子のために使者を送り、安産祈願した神社です。

御祭神は天鈿女命(あめのうづめのみこと)で、演芸の神、安産の神様。

 

 

宮乃咩神社(みやのめじんじゃ)では、底に穴の空いた柄杓(ひしゃく)を奉納します。

「底の穴から水が抜け出るように安産でありますように」、との願いを込めるそうです。
柄杓は、大國魂神社の授与所で授けているそうです。

 

 

 

 

大國魂神社の手水舎。龍神の彫刻が美しいです。

 

 

 

手水舎の天井にも、龍神。

 

 

 

立派な随神門。

 

 

随神門をくぐってすぐ、左右に、鶴石・亀石があります。
どこをどう見れば鶴と亀なのかさっぱりわからない石でした。


・・・んー、わからん。

どこが鶴で、どのあたりが亀?

形から来ているのではなさそうですね。

 

 

中雀門では、夏越の祓(なごしのはらえ)の「茅の輪くぐり」(ちのわくぐり)がありました。

 

 

 

拝殿。
大國魂神社の創建は、人皇第十二代景行天皇41年(111年)5月5日ですから、1,900年以上の歴史がある神社です。ちなみに景行天皇は日本武尊(ヤマトタケル)の父親で、息子に東国を平定してまいれと命じました。

→→【浦賀観光② 走水神社】の記事はこちら・・・神奈川県。日本武尊(ヤマトタケルノミコト)と弟橘媛(オトタチバナヒメ)を祀る。兄を殺してしまった罪で、九州や東国へ遣わされたヤマトタケル。

 

 

大國魂神社の主祭神は大國魂大神 (おおくにたまのおおかみ)。
素盞鳴尊(すさのおのみこと)の子孫である、出雲大社の大国主神(オオクニヌシ神)と同神とされています。

出雲臣の祖神である天穂日命の後裔が武蔵国造に任ぜられ社の奉仕を行ってから、代々の国造が奉仕してその祭務を行ったと伝承されている。
大化元年(645年)の 大化の改新時、武蔵国府が境内に置かれて社を国衙の斎場とし、国司が奉仕して国内の祭務を総轄する社となった。国司が国内社の奉幣巡拝・神事執行等の便により国内諸神を配祀し、武蔵総社の起源になった。

 

古代、国司は任国内の全ての神社を一宮から順に巡拝していた。この長い巡礼を簡単に行えるよう、各国の国府近くに国内の神を合祀した総社を設け、まとめて祭祀を行うようになった。当社は武蔵国の総社にあたる。

本殿の祭神は以下の通り。武蔵国の総社として、当社創建当時の武蔵国一之宮から六之宮まで(通称:武州六社明神)を祀っている。

中殿
大國魂大神 (おおくにたまのおおかみ) – 主祭神。大国主神と同神とされる。
御霊大神 (ごりょうおおかみ)
国内諸神

東殿
一之宮:小野大神 – 小野神社(東京都多摩市)
二之宮:小河大神 – 二宮神社(東京都あきる野市)
三之宮:氷川大神 – 氷川神社(埼玉県さいたま市大宮区)

西殿
四之宮:秩父大神 – 秩父神社(埼玉県秩父市番場町)
五之宮:金佐奈大神 – 金鑚神社(埼玉県児玉郡神川町)
六之宮:杉山大神 – 杉山神社(神奈川県横浜市緑区)

 

武蔵国の一之宮から六之宮までを合わせ祀るため、「六所宮」とも呼ばれる。

(ウィキペディアより抜粋)

 

ちなみに「武蔵国」とは上のマップの地域で、現在の東京・埼玉・神奈川県川崎市と横浜市あたりです。大國魂神社は武蔵国の中心地でした。

 

 

拝殿左側に「すもも祭り」のからすうちわがありました。
すもも祭りは、毎年7月20日に行われ、からすうちわ・からす扇子を買うことができ、これらで扇ぐと害虫は駆除され病気は平癒する、という深い信仰があるそうです。

 

 

水神社。創立年代不明。
深井戸からの地下水を竜頭口より流しており、御水取りに来る参拝者で賑わうそうです。
私が訪れた時は何か作業をしていたようだったので、遠くから写真を撮るだけになりました。

 

 

 

本殿の裏側にまわると、大イチョウの木があります。
樹齢千年といわれている御神木で、大國魂神社の七不思議の一つに数えられているそうです。

大イチョウの根元には、蜷貝(にながい)というものがおり、母乳が出ない時にこの蜷貝を煎じて飲むと出が良くなる、という言い伝えがあるそうです。

 

 

御朱印が欲しい方は社務所へ。

 

 

社務所のすぐ近くで、「人形流し」ができます。厄や穢れを人形に移して水に流すことにより取り除くための儀式。

 

 

こちら「高野まき」。

高野山(和歌山県)に多い木なので、コウヤマキと名付けられており、高野山では霊木。
秋篠宮家の悠仁親王のお印の木でもあります。

 

 

参拝を終えた私は、宝物殿に入りました。

拝観時間は午前10時から午後4時まで。拝観料金は大人200円、子ども100円。

宝物殿では、大國魂神社の例大祭「くらやみ祭り」で担がれる、八基の神輿と大太鼓が格納されており、日本一の大太鼓を見ることができます。

日本一の大太鼓(最大直径2.5m!)のバチが、野球のバットみたいで驚きました!

大太鼓の前では、くらやみ祭の映像が流されており、「いつか祭りを見てみたいなぁ~~」と思いました。

くらやみ祭は関東三大奇祭の一つと言われ、毎年5月3日〜6日に行われます。GW中のお祭りなので、大混雑するそうです。

 

(くらやみ祭り・ウィキペディアより抜粋)

祭りが暗闇に行われる理由は、貴いものを見る事は許されないという古来から存在する儀礼に起因し、神聖な御霊が神社から神輿に移り御旅所に渡御するのは人目に触れる事のない暗闇でなければならないという神事の伝統がそのまま現代まで引き継がれているためである。
徳川幕府(江戸時代)期には現在の様な神幸の形になった様で、神輿渡御は午後11時ごろ開始され、翌日午前3時〜4時頃に神社に戻ったというが、1959年(昭和34年)に午後4時渡御開始、翌日午前4時に還御開始と改められた。その後、2003年(平成15年)に午後6時渡御開始となるなど、時代背景に応じて柔軟に変化している。

 

人目に触れる事のない、暗闇でなければならない・・・。

 

そういえば、20年に一度行われる【伊勢神宮】の式年遷宮「遷御の儀」も、夜に行われますね。

さぞかし神秘的な光景でしょうね・・・。

 

 

宝物館での他の見所は、東大寺南大門の金剛力士像を快慶と共に作った運慶の作と言われている、木造狛犬(国指定重要文化財)です。

思ったほど大きくなかったのですが、力強くて曲線の美しい狛犬でした。

他に、徳川慶喜自筆の額や、徳川家の朱印状(6代・7代・15代将軍の分を除く十二通)、式年遷宮で伊勢神宮から下ろされた宝物を見ることができます。

 

 

 

 

 

境内にはほかに、東照宮と、住吉神社・大鷲神社がありました。

 

 

 

(2022年11月追記)

大國魂神社の酉の市(とりのいち)は、東京都浅草の鷲(おおとり)神社、東京都新宿の【花園神社(はなぞのじんじゃ)】とともに、「関東三大酉の市」で有名です。

11月の三日間だけ酉の市は行われます。2022年は4日(金)、16日(水)、28日(月)の3回でした。写真のように、たくさんの出店が出ていて賑やかでした。

 

参道を奥に進むと、商売繁盛の縁起物「熊手(くまで)」がたくさん並びます。

 

 

立派な熊手ですね!

 

 

菊花展も行われていました。

 

神楽殿で「能の舞」も催されていました。

 

 

 

(2023年2月追記)

節分祭も大変豪華でした! マイクを持ってしゃべっているのは俳優の内藤秀一郎さん。

 

稲城の山本頼信社中(やまもとよりのぶしゃちゅう)による「江戸の里神楽」の奉納。

 

 

 

一月、二月は梅が香り、

 

三月には枝垂れ桜・・・と、境内はとても気持ちが良いです。

 

 

大国魂神社の境内は以上で終わりなのですが、もう一つ見所を紹介をしておきます。

 

宮乃咩神社(みやのめじんじゃ)の後ろ側にタイムズ駐車場があり、道路を挟んだ向かい側に朱色の柱が何本か立っているところがあります。

そこが、国史跡「武蔵国府跡」です。

武蔵国とは、現在の東京都、埼玉県のほぼ全域と神奈川県の川崎市・横浜市の大部分を含む広大な国で、21もの郡を管轄する大国でした。

 

奈良時代から平安時代に、このあたりには武蔵の国の国府が置かれ、行政・文化の中心地となっていたそうです。

 

赤い柱の向こう側にあるガラス壁の建物は、小さな無人資料館になっていて、無料で入れます。

 

 

けれども正直に言うと、イマイチ迫力に欠けます。

 

 

武蔵国府の壮大さを感じたい方は、ぜひ、大国魂神社の手水舎の少し奥にある「ふるさと歴史館」に入ってください。


「国府百景バーチャルツーリング」というコーナーがあって、オンラインゲームみたいなバーチャルツアー映像で武蔵国府の大きさを感じることが出来ます。

無料で入れますし、あまり人がいないので楽しめます。

 

 

府中市郷土の森博物館では、常設展として「くらやみ祭り」の御輿などの展示があり、1階のミュージアムショップでは府中市に関係する資料が安い値段で売られているので、あわせて訪れてはいかがでしょうか。

 

 

 

(この参拝記は2016年、2022年のものです)

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→→【大國魂神社 例大祭 くらやみ祭 2023】 関東三大奇祭の一つで、四日間にわたって行われる。競馬式、萬燈大会、山車行列、神輿渡御・・・と、見どころたくさん!

→→府中市郷土の森博物館・・・常設展として「くらやみ祭り」の御輿などの展示があります。

→→【JRA 東京競馬場(府中市)】 競馬をしなくても楽しめる! 無料乗馬体験とJRA競馬博物館が楽しい!・・・すぐ近くです。

 

 

東京五社の記事はこちらからどうぞ。

→→明治神宮の記事はこちら
→→東京大神宮の記事はこちら
→→靖国神社の記事はこちら
→→日枝神社の記事はこちら

交通アクセス

京王線 府中駅から徒歩5分。または、JR・南武線・武蔵野線 府中本町駅から徒歩5分。
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車で行く場合、境内に無料駐車場の他、タイムズの有料駐車場があります。

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