【築地本願寺】 築地の由来となったお寺で、インドの古代仏教建築を模している

今日取り上げるのは、東京都中央区の築地本願寺(つきじほんがんじ)です。

築地市場が今年(2018年)の10月中旬に、豊洲市場へ移転するので、前から行こうと思っていました。

築地散策をする前にお参りしました。

参拝記

築地本願寺は、メトロ築地駅出てすぐです。

築地観光とあわせて訪れているのか、外国人の姿がたくさんありました。

築地本願寺は、浄土真宗本願寺派の寺院で、京都にある西本願寺の直轄寺院。
本尊は聖徳太子手彫と伝わる阿弥陀如来立像です。

 

 

築地本願寺の始まりは、1617年に建てられた「浅草御堂」。名前からもわかる通り、もともと築地ではなく浅草あたりにありました。

浅草御堂は諸堂が整い、1625年には本願寺の別院として江戸幕府から公認を受けるものの、1657年には「明暦の大火」で焼失。

幕府の区画整備で浅草に再建することができず、八丁堀の海上を埋め立てて土地を築き、1679年に再建されました。

この時に土地を築いたのが「築地(つきじ)」の由来となっているそうです。

しかし、大正の関東大震災でまたしても焼失。

現在の建物は、東京帝国大学名誉教授で建築史家の伊東忠太博士によるもので、仏教の発祥地であるインドの古代仏教建築を模した外観となっています。

 

 

 

狛犬が翼の生えたライオンで、「日本のお寺っぽくないなー」という雰囲気。

 

 

こちら、築地本願寺本堂の説明書き。本堂・石塀・三門門柱(正門・北門・南門)は、重要文化財に指定されています。

 

 

では、本堂へ入りましょう。

本堂の入り口には、牛・馬・獅子・象・孔雀の像があり、他にも、猿、鳳凰、グロテスクと呼ばれる珍獣、青龍・朱雀・白虎・玄武の像があるので、ぜひ探してみてください。

 

本堂入口の黒い扉の上には、蓮のステンドグラス。

(・・・ん? 古代インドにステンドグラスってあったっけ?)と頭の中に疑問符が浮かびましたが、築地本願寺は、古代インドの他、西洋、イスラム、日本など、いろんな文化を合わせて作られたそうです。

中は、伝統的な真宗寺院の造りとなっているそうですが、お参りのみで、写真撮影はしませんでした。

 

内部はかなり広く、外国の方もその雰囲気を楽しんでおられるようでした。

驚いたのが、パイプオルガンがあること!

法要行事、結婚式、ランチタイムコンサートで、弾かれているそうです。

ランチタイムコンサートは、毎月最終金曜日の12時20分~12時50分に行われ、無料で聞けるそうですよ。

 

お寺でパイプオルガンを聞く機会はほとんどないと思うので、興味を持たれた方は、毎月最終金曜日のお昼頃、お参りに行かれてはいかがでしょうか。

 

お参りの仕方は本堂内にあるので、「普段、お寺に行かないんだけどなぁ」という方でも、困りません。

 

 

本堂隣の「聞法ホール」では、無料で法話が聞けるようでした。

訪れた時は、ちょうど法話の真っ最中で、「途中から入るのは失礼だろうな」とやめておきました。もう少し早く訪れたら良かった・・・。

 

築地本願寺は、人生や暮らしに寄り添うことを目指した取り組みを多数行っており、法話会や、人生サポート、僧侶紹介、コールセンター、各種セミナー、カフェ、ショップ、お墓、ラジオ放送、インターネット3分法話、英語法座・・・と様々な分野に展開し、開けたお寺を目指しているようです。

 

 

「米寿も二十歳も一度だけ 人生 初事ばかりなり」

 

 

 

近くには、椿が美しく花を咲かせていました。

 

 

境内の端には、浄土真宗の宗祖である親鸞(しんらん)聖人の像がありました。

 

親鸞が生きた鎌倉時代初期は、平安時代末から続いた社会不安のため、民衆が極楽浄土へのあこがれを強めていた時代でした。

法然(ほうねん)は浄土宗を開いて、「ひたすら念仏(阿弥陀仏)を唱え、阿弥陀仏にすがればだれもが浄土に行ける」と説きました。

その弟子の親鸞(しんらん)は、その教えをさらに徹底させ「罪深い悪人(現世への欲望や執着にとりつかれた私達)こそ、阿弥陀仏が救おうとしている人々である」として、浄土真宗を開きました。

 

他に、一遍(いっぺん)が時宗(じしゅう)、日蓮(にちれん)が日蓮宗、栄西(えいさい)は臨済宗、道元(どうげん)は曹洞宗を開きました。

 

仏教がわかりやすく実行しやすく説かれたため、貴族だけではなく武士や民衆にも、仏の教えが広まったのが、親鸞聖人が生きた鎌倉時代だそうです。

 

 

親鸞は、藤原氏の家系に生まれたものの(貴族)、両親が早くに亡くなり、9歳で出家。

比叡山で20年間、修行と学業に専念するものの、29歳で比叡山を出る。

浄土宗の開祖である、法然の弟子になり、特別の信頼を得る。

僧侶が公然と妻帯することは禁じられていた中で、結婚し、子をもうける(禁じられていた肉食もする)。

親鸞の「専修念仏の教え」に対して、延暦寺や奈良の興福寺から激しい非難が寄せられて、後鳥羽上皇の女官が無断で髪を下ろしてしまったこと等により怒りをかい(承元の法難(じょうげんのほうなん))、新潟県に流罪。

「非僧非俗(僧でもないし俗人でもない)」の道を生きる。

 

 

 

・・・波乱万丈ですね・・・。

禁じられているのに、僧侶として初めて公式に、肉を食べて、妻をめとり、子をもうけるあたりがすごいなぁと思いました。

 

親鸞は師匠である法然の「一般の僧侶(出家して修行する人々)という概念や、世間内で生活する仏教徒(在家信者)としての規範からはみ出さざるを得ない人々を救済するのが本願念仏である」を継承し、それを実践するために、公式に妻帯したのだそうです。

 

親鸞が唱えたもので有名なのは「悪人正機説」です。(悪人とは仏の目から見たもので、浄土真宗ではすべての人は、常に現世への欲望や執着にとりつかれた哀れな存在であり悪人。阿弥陀仏は、そんな私たちこそ、まず救おうとしてくださっているのだ、としている)

 

 

私は宗教には詳しくないので、ぜひ本を読んでください。

 

 

 

ウィキペディアにもいろいろ載っています。

法然(ほうねん)・・・浄土宗の開祖。
親鸞(しんらん)・・・法然の弟子。浄土真宗の宗祖。

 

 

法然と親鸞が修行した地が、滋賀県と京都にまたがる「比叡山延暦寺」の西塔エリアです。

 

 

境内には、他に、供養塔や碑がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は、築地の場外市場へ行きました。

場外市場のあたりは、もともと「築地本願寺の門前町」として栄えたところです。

 

次の記事はこちら

前回の続きで、東京都中央区の築地(つきじ)の紹介です。 築地本願寺にお参りした後、築地を散歩しました。 今年の秋に築地市場(場内)は豊洲市場へ移転するので、ずいぶん雰囲気が変わることでしょう。 追記・・・2018年10月、築地[…]

 

(この旅行記は2018年です)

 

関連記事

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→→【比叡山延暦寺 西塔(さいとう)エリア】の記事はこちら・・・親鸞が修行した地。

交通アクセス

東京メトロ 日比谷線「築地」駅より徒歩約1分。または、有楽町線「新富町」駅より徒歩約5分。
都営地下鉄 浅草線「東銀座」駅より徒歩約5分
都営地下鉄 大江戸線「築地市場」駅より徒歩約5分

近くの宿泊施設

東急ステイ築地(旧:東急ステイ東銀座)。築地本願寺から240m、徒歩3分。

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