【箱根旧街道 杉並木道と石畳道】 徳川家茂と和宮の物語を絡めて紹介

前回からの続きです。

一泊二日の、箱根フリーパス2日間券での旅行記もこれが最後の記事です。

散策記

箱根関所のページにも貼りましたが、周辺マップはこんな感じです。

箱根関所→恩賜箱根公園と歩き、元箱根港方面へ行く途中に、箱根旧街道「杉並木」があります。

 

 

 

箱根旧街道杉並木。

 

江戸と京都を結ぶ東海道五十三次は、江戸時代の元和四年(1619)頃に、それまでの湯坂道を廃し、湯本、畑宿、箱根をまわる街道に改められました。
この杉並木は、徳川幕府が、旅人に木陰を与えようと道の両側に植えたもので、東海道では唯一のものです。
第二次世界大戦中、伐採されそうになったこともありましたが、現在では国指定史跡として保護され、約420本の杉が残されています。
残された杉には、人々の愛護の心がこめられています。
杉並木を大切にしてください。

と、看板に書いてありました。

 

東海道唯一の杉並木とは、貴重ですね。

 

杉並木は東海道(国道1号線)に沿った道なので、車のエンジン音が聞こえ、あまり静かな散策にはなりませんでした。

 

昔の人は、ここを歩いたり、馬に乗ったりして移動していたんだなぁ・・・。

 

と、隣の1号線のエンジン音を聞きながら散策すると、時代の移り変わりが面白く思えます。

 

 

 

杉並木をテクテク歩いて、元箱根に到着。

鳥居は、箱根神社の第一鳥居です。(この鳥居の近くに、元箱根バス停があります)

この時、箱根神社に参拝しませんでしたが、後日、箱根三社参りをしました。

 

 

箱根旧街道石畳道へは、鳥居をくぐらずに右手側の道(1号線・けっこう細い道)を進みます。

お店のほとんどない道を6分ほど歩くと、道が三つ又に分かれますが、左の道が箱根旧街道です。(マップの黄色い道)

 

 

箱根旧街道。

「畑宿・湯本を経て小田原に至る」と看板に書いてありました。

 

箱根旧街道は、徒歩でのみ散策可能です。

階段もあるので、ベビーカーと車椅子は無理です。

この時、時刻は14:33。

 

 

3分後に撮った写真。

道なりにテクテク進むと、だんだんこのような石畳道になっていきます。

 

 

 

スタートから約10分経った写真。

 

 

 

箱根旧街道石畳道の元箱根側から入った時は綺麗な石畳でしたが、子供の歩調に合わせてスタート地点から30分歩くと、このようなボコボコの石畳道になりました。

 

 

(石畳についての説明書き)

江戸時代の初め、それまで尾根伝いを通っていた湯坂路に替わり、須雲川に沿った谷間の道が東海道として整備されました。

整備した当初は箱根に群生するハコネダケという細竹を毎年敷き詰めていたようです。

しかし、大変な費用と労力がかかることから、延宝八年(1680)、石をしいた石畳の道になりました。

その後、江戸時代末期の文久二年(1863)、十四代将軍徳川家茂(いえもち)が京都に上洛する彩、全面的に改修されました。

なお、この箱根旧街道は昭和35年(1960)、国の史跡に指定されています。

 

石畳道の全面改修されるきっかけになった十四代将軍徳川家茂(いえもち)・・・、21歳の若さで亡くなった、幕末のお殿様です。

徳川吉宗と同じ、徳川御三家紀州藩の方です。

→→和歌山城の記事はこちら・・・(吉宗の故郷。家茂はずっと江戸住まいで、和歌山に行ったことがない)

 

奥様が、孔明天皇の妹「和宮親子内親王(かずのみや ちかこないしんのう)」だったことからも、有名なお殿様ですね。

 

お二人の墓所は、東京タワーのすぐ近くにある増上寺境内の徳川将軍家墓所にあります。

先日行って来たのですが、お二方、仲良く隣同士のお墓でした。

→→増上寺。徳川将軍家とゆかりの深いお寺。徳川将軍家墓所と、宝物館。

 

 

和宮親子内親王(かずのみや ちかこないしんのう)は、明治天皇の叔母に当たる方です。

明治神宮の記事はこちら・・・明治天皇がご祭神。初詣客、日本一の神社です。

 

 

和宮は、有栖川宮熾仁親王(ありすがわのみや たるひとしんのう)と婚約していたのですが、兄の孝明天皇による説得で、朝廷と幕府との橋渡しとして政略結婚をさせられます(この時、15、6歳)。

 

初めは嫌がっていたそうですが、将軍家茂(いえもち)が大変優しい方だったそうで、仲睦まじい結婚生活だったそうです。

 

けれども時は幕末。

ペリーが来航して忙しかったため、二人が江戸で一緒に暮らせたのは、結婚生活4年のうち、2年間分くらいしかなかったそうです。

家茂は第2次長州征伐の途上、大坂城で病のため(?)亡くなりました。

和宮からリクエストされていたお土産の西陣織は、家茂の遺品と共に江戸に帰り、和宮に渡されました。

 

 

その時、和宮は詩を詠みました。

 

「空蝉の 唐織ごろも なにかせむ 綾も錦も 君ありてこそ」
(西陣織の衣も、もはやなんの役に立つというのでしょう。綾や錦の美しい織模様も、あなたが生きておられればこそのものでしたのに・・・)

 

「三瀬川 世にしがらみの なかりせば 君諸共に 渡たらしものを」
(世のしがらみがなければ、あなたのお供をして、三途の川を渡りたい・・・)

 

 

泣けますね・・・。

 

 

和宮は家茂亡き後は落飾し(髪をそり落として仏門に入る)、号を静寛院宮(せいかんいんのみや)と改めました。

その後は、兄の孝明天皇(天然痘で亡くなった説と、毒殺説がある。落合莞爾さんは著書で、孝明天皇は死亡したのではなく、新しい時代の到来を読んで京都に隠れたと書いてある)と、母も失いました。

 

江戸の無血開城後は、朝廷に「徳川家への寛大な処分に対する御礼文」を書き、京都へ帰りましたが、再び東京へ帰ります。

 

けれども脚気衝心のため療養先の塔ノ沢で、32歳という若さで亡くなりました。

 

「家茂の側に葬って欲しい」との遺言の通り、お墓は故郷の京都ではなく、東京の増上寺にある家茂の墓の隣で眠っています。

 

後に和宮の墓地が発掘調査されましたが、「烏帽子に直垂姿をした若い男性の写真乾板」が副葬品として見つかったそうです。

保存処理が悪かったため、翌日には見れなくなってしまったようですが、その若い男性が家茂だったのか、婚約者だった有栖川宮熾仁親王だったのか・・・。(やっぱり家茂かな?)

 

 

・・・と、幕末の悲劇のプリンセス和宮と、その夫・14代将軍徳川家茂の話を大まかにしましたが、私達が歩いたこの箱根旧街道石畳道は、家茂が和宮と結婚した翌年の文久3年(1863年)に、将軍としては229年振りとなる上洛のために全面的に改修された路なのです。

 

 

つまり、この路を徳川家茂が通った!

 

 

家茂は3千人を率いて京都へ行き、義兄(和宮の兄)にあたる孝明天皇に攘夷を誓います。

 

家茂は大坂城で、脚気衝心のため(暗殺説もあり)21歳で死去します。

勝海舟は、この訃報に接て、日記に「徳川家、今日滅ぶ」と書き記すほど悲しんだそうです。

 

 

昔の人に思いを馳せながら、この道を歩き、皆様も歴史ロマンに浸ってください。

 

 

箱根神社は大人気で訪れる人が多いですが、箱根旧街道石畳道を歩く人は、ほとんどいません。

静かな散策を楽しめます。

 

 

 

私達は、元箱根のほうからずーっと箱根旧街道を2kmほど歩き、甘酒茶屋へ抜けました。

大人の足なら30分くらいで歩ける距離です。

 

 

茶屋の甘酒は一杯400円で、力餅、抹茶、しそジュース、ところてんなども食べられます。

 

 

この後、甘酒茶屋から箱根登山バスに乗り、箱根湯本駅へ戻りました。

 

 

以上で、箱根フリー切符を使った我が家の一泊二日旅行は終わりです。

 

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交通アクセス

私達は大涌谷、桃源台、芦ノ湖、箱根関所をまわったので、箱根町から徒歩で向かいましたが、箱根湯本駅から箱根旧街道石畳道へ行く方は、箱根湯本駅から箱根登山バスに乗り、旧街道石畳道バス停で下車します。(その1個手前の甘酒茶屋でも良い)
箱根登山バス路線図

石畳道を歩くと元箱根へ抜けられますが、面倒な方は石畳道を散策した後、バス停へ戻り、元箱根へ行くと良いと思います。
杉並木は、バス停でいうと「箱根支所前」「恩賜公園前」あたりが近いです。
箱根登山バス 時刻表・運賃検索

遠方から行く場合、小田原駅で新幹線こだまを降りて箱根町・元箱根行きバスに乗ります。バスの乗車時間50~60分。
新宿方面からは小田急ロマンスカーに乗り、箱根湯本駅で下車して箱根町・元箱根行きバスに乗車。
電車の乗り換えはヤフー路線などでお調べください。

 

車で行く場合、箱根支所下駐車場があり、45台無料で停められます。
停められなかった場合、恩賜箱根公園があり、123台停められます。駐車料金は普通車・一時間ごとに310円。
他にも有料駐車場があります。
箱根町・元箱根周辺駐車場

フリー切符

公共交通機関で行く場合、箱根フリーパスがお得です。(小田急線の他、西武線、相鉄線からも買えます)

小田急線の発駅~小田原駅まで二日間(または三日間)の往復と、箱根の乗り物乗り降り自由(箱根登山電車、箱根登山ケーブルカー、海賊船、箱根ロープウェイ、箱根登山バス、小田急箱根高速バスと東海バスの指定区間)と、施設割引特典がついたもので、とてもお得です。

新宿から利用するならば、2日間有効で大人5140円、三日間有効で5640円です。
詳細は箱根ナビ 箱根フリーパスでご覧ください。
目的別のお得な切符もあります。

近くの宿泊施設

芦ノ湖温泉 ホテルむさしや。芦ノ湖 箱根海賊船・元箱根港から徒歩3分。「元箱根」バス停下車、徒歩1分。

お得で便利な、旅の予約サイト