【諏訪大社② 上社本宮】 昔は諏訪湖畔の御宮だった。四社の中で一番大きい。相撲の起源は諏訪にあり

前回からの続きで、長野県の諏訪(すわ)大社4社巡りの紹介です。(全国の諏訪神社の総本社)

上諏訪温泉 しんゆ(親湯)の、諏訪大社4社めぐりツアーに参加した私達は、【諏訪大社上社前宮】の次に、2km離れた諏訪大社上社本宮に向かいました。

参拝記

この参拝記は2013年のものですが、2022年に再訪したので写真を追加しました。

 

全国にある諏訪神社の総本社は、長野県にある「諏訪大社」で、四社から成ります。

→→前回の記事【諏訪大社上社・前宮】の記事はこちら(古代イスラエルとの歴史ミステリーも交えて)

 

 

今日紹介する「諏訪大社 上社本宮」は、前回の「諏訪大社 上社前宮」から2kmしか離れていないので、車で数分で着きます。

諏訪大社上社本宮は、4つある諏訪大社の中で一番大きなお宮で、建築物も多く、徳川家康が造営した四脚門などの建造物のうち6棟が国の重要文化財に指定されています。

「上社」と言われれば、普通この本宮を指すそうです。

ご神体は、【諏訪大社 上社前宮】と同じく、守屋山(標高1650m)です。

「その占いの正確なこと、神占正に誤りなし」と言われた筒粥神事は、昔は上社で行われていましたが、現在は【諏訪大社 下社・春宮】で行われています。

→→筒粥神事について書いた記事はこちら・・・東日本大震災が起こった年は、神様からの三行半(みくだりはん)を意味する「三分五厘(さんぶごりん)」だった。

 

 

 

まず、北参道(正面)の鳥居をツアーの方々とくぐりました。
それにしても北参道の鳥居って珍しいですね。

【靖国神社の記事】でも触れましたが、神社の鳥居はたいてい南向きか東向きです。

諏訪大社上社本宮には東側にも鳥居があり、東鳥居は入口御門と線でつながっているので、東鳥居がメインの鳥居じゃないのかなぁと、調べてみたら、この北の大きな鳥居は昔は無かったらしく、本宮一之鳥居は、波除(なみよけ)鳥居だそうです。

諏訪大社と諏訪神社(from八ヶ岳原人さんのHP)・・・ こちらのページに波除鳥居のことが詳しく書かれています。

 

現在は波除鳥居から諏訪湖まで5kmほど離れているそうですが、昔はこの鳥居あたりまで諏訪湖があったと考えられているそうです。(昔は大きかったんだなぁ、諏訪湖)

→→【諏訪湖の記事はこちら】・・・諏訪湖間欠泉センター、無料の足湯を紹介しました。水草の「ヒシ」が大量発生!

 

 

一の鳥居である波除鳥居の場所ですが、現在メインとなっているこの正面鳥居の右手側の蓮池の向こう側にあるそうです。

一の鳥居に気づかない方、とっても多いんじゃないでしょうか。

ああ、この一の鳥居から入りたかった!!!

 

 

 

 

手水舎。

 

 

すぐ地下には明神湯。温泉なのでめちゃ熱いです。

 

 

では、奥へ進みましょう。

 

 

2013年に訪れた時の、本宮一之御柱(いちのおんばしら)。
【諏訪大社① 上社前宮】と同じように、やはり本宮でも4本の御柱があります。

 

 

こちらは、2022年の本宮一之御柱(いちのおんばしら)。御柱祭の2か月後に訪れたので、すごく奇麗な柱でした。

 

 

7年に一度行われる御柱祭(おんばしらさい)については、前回の記事で紹介したのでご覧ください。

→→【諏訪大社① 上社前宮】の記事はこちら・・・前回の記事。御柱祭の写真あり。

 

 

 

堀重門。

 

 

拝所と拝殿。

 

 

諏訪大社上社本宮と前宮は根が4本の「諏訪梶(かじ)の葉」で、諏訪大社下社春宮と秋宮は根が5本の「明神梶の葉」に、分かれています。

 

 

一之御柱の手前にある梶(かじ)の木。諏訪大社の神紋になっている原木です。

写真をよく見てください。二種類の葉っぱがあるのがわかるでしょうか。(丸みのある葉と、くびれた葉)

カジノキの樹高はあまり高くならず、10mほどで、葉は大きく、浅く三裂するか楕円形で毛が一面に生えるそうです。左右どちらかしか裂けない葉も存在し、同じ株でも葉の変異が多い不思議な木なのです。

古代から、神に捧げる神木として尊ばれた木です。

【諏訪大社 下社・秋宮】では、赤い実をつけたカジノキを見ることができました。

 

 

 

絵馬の模様は神紋の「梶の葉」。

 

 

おみくじは翡翠(ひすい)みくじと、黒曜石(こくようせき)みくじがありました。(どちらも300円)

諏訪大神の母神が祀られている新潟県糸魚川市から多く産出される翡翠(ひすい)は、日本の国石であり、古代から勾玉などのお守りとして身に着けていました。

おみくじを引いてみたところ小吉で、「常に心に迷いがある。腹立ちを押さえて利欲を捨て、おごりを戒めれば利益得る」とあり、病気の項目に「思うよりは軽い」と書いていたので、身体をいたわりたいと思います。

 

 

説明にあるように、幣殿・拝殿など、六棟は国の重要文化財に指定されています。

拝殿の後ろに幣殿、左右に片拝殿が続く「諏訪造」と呼ばれる独自配置で、本殿はありません。

本宮は昔、極彩色の建物だったそうですが、織田信長の軍勢に火を放たれて焼け落ちたそうです。(神輿だけ山中に逃がれて助かった)

現在の建物は1830年から8年の歳月をかけて建立されたものだそうです。

 

織田信長の名前が出てきましたね。
織田信長は諏訪大社本宮隣の法華寺に半年の間、陣をとっていたそうです。
この間に、明智光秀は信長の怒りに触れ(理由が知りたいですね)、諸将の前で折檻されました。
このことが、本能寺の変の発端の一つとなっているそうです。

何があったんでしょうね・・・。

→→【安土城跡】の記事はこちら・・・滋賀県。織田信長が天下統一を夢見た城。信長の死には謎がある。

 

 

諏訪大社本宮の御神体は守屋(モリヤ)山で、御祭神は建御名方神(タケミナカタノカミ)です。

 

タケミナカタノカミは、『古事記』では大国主神(オオクニヌシ・出雲大社の御祭神)の御子神となっているそうです。

鹿島神宮の建御雷神(タケミカヅチノカミ)と力比べをし殺されそうになり、「諏訪の地から出ない」と約束し、留まることになったそうです。

→→【鹿島神宮】の記事はこちら・・・茨城県。鹿島神社の総本宮。凹型の要石で地震ナマズを押さえている。

 

 

諏訪大社の『諏訪大明神絵詞』(中世成立)などに残された伝承では、タケミナカタは諏訪地方の外から来訪した神であり、土着の洩矢(モリヤ)神を降して諏訪の祭神になったとされているそうですよ。

諏訪大社は複雑ですね・・・。

 

 

ちなみに、鹿島(かしま)のタケミナカタ神(天津神)と、諏訪のタケミカヅチ神(国津神)の戦いは「相撲の起源」とされており、境内には雷電(らいでん)像があります。

雷電(らいでん)は、信州が生んだ江戸時代の大力士です。

江戸時代の力士ですから写真などなく、この像は横綱柏戸関がモデルとなっており、諏訪大社には多くの力士が参拝しているそうです。

 

 

雷電像のすぐ近くには土俵もあります。

 

 

こちらの建物には、

 

千代の富士と、

 

貴乃花の肖像画が飾られていました。

 

 

 

 

東参道の鳥居(二の鳥居)。

 

 

ニの鳥居は、東に面しています。

昔、大祝(おおほうり・諏訪明神の現人神。 【前回紹介した前宮のページ】を見てください)は、この二の鳥居から入って巡拝し、御柱祭(おんばしらさい)では御柱の侵入路として使われるそうです。この向こうに、入口御門と、樹齢千年の大けやきがあります。

 

 

入口御門。重要文化財。1829年建立。
竜神様の彫刻がカッコ良いですね。

 

先ほどの写真は2013年のもので、こちらが2022年の写真。屋根が新しくなっていました。

 

 

この入口御門の中の道が、布橋という重要文化財で、明治維新前までは大祝(おおほうり)だけが渡れ、布が敷かれていたようで、現在でも御柱祭の時は、神輿の通る道筋として布を敷くそうです。

中の道は、前宮経由で繋がる神体山の守屋山のエネルギーを引き込んで、拝殿に引き込む構造になっているそうですよ。

上社前宮と、上社本宮、守屋山山頂は、直角三角形で結ばれる位置にあり、ご神体である守屋山のエネルギーを受け取れる構造になっているのだそうです。

 

 

入口御門から布橋を進むと、左手側に、東宝殿、西宝殿があります。

宝殿(ほうでん)は一般の神社の本殿にあたり、御柱祭が行われる寅年と申年ごとに、一殿を新しく作り替える「遷座祭」を行うようです。

 

 

四脚門は、別名を勅使門とも言い、1608年に徳川家康が建立させたという重要文化財。

この門はかつて、大祝(おおほうり)という祭神の子孫であり神を顕現する者だけが通ったもの。

 

 

斎庭(ゆにわ)を突っ切った向こう側に硯石(すずりいし)があります。上の写真の赤丸が硯石です。

硯石は境内最上段に位置しており、上部の凹面に水を張っていることに由来し、神が降臨した磐座として信仰されたもの。先ほどの四脚門は、ここへ行くために大祝(おおほうり)だけが上った門です。

硯石は、江戸時代以前には現在の場所より奥にあって、人目に触れなかったのかもしれないそうです。

それにしても、石、石、石・・・と神社やパワースポットには石が多いですね。

 

 

 

布橋の右側には勅使殿(ちょくしでん)と五間廊(ごけんろう)があります。

写真は、五間廊。重要文化財。現在の建物は1773年の建造され、後に改築されました。
【諏訪大社① 上社前宮】は十間廊(じゅっけんろう)でしたね。

 

 

勅使殿。
大国主命社の向かい側、五間廊の隣にあります。
朝廷から来られた勅使が着座し、いろいろな神事がここで行われたそうです。
1620年頃に建造され、後に改築されました。

 

 

大国主社。

御祭神は大国主命で、諏訪大神の父神。古事記によれば諏訪大神の「タケミナカタノカミ」は、オオクニヌシノカミの第二子と記されているのだそう。

 

 

メドでこ。
メドでこは、御柱の前部と後部に穴をあけて差し込み、V字形に取り付ける木の柱です。
このメドデコにたくさんの氏子が乗るそうです。

御柱はモミの木ですが、メドデコは丈夫なナラの木でかつては10メートルを超え、1本に10人以上乗せた地区もあったそうですが、狭い道で着脱するなど祭りの進行の妨げとなる面もあり、御柱祭では6メートル以下になっているそうです。写真は平成22年に使われたものです。

 

 

天流水車(てんりゅうすいしゃ)。

俗に「お天水」と呼ばれ、どんな晴天の日でも雫が三滴は屋根上の穴から降り落ちると言われ、諏訪の七不思議のひとつに数えられているそうです。

このお水を青竹でいただいて持ち帰り、雨乞いの祭りをすると必ず雨が降ると言い伝えられているのだそう。

 

 

本宮四之御柱遥拝(ようはい)所。

 

 

千年杉。

 

 

すぐ近くには、本宮二之御柱。

 

 

高島(たかしま)神社。

こちらの神社では、高島藩の藩主を祀っています。諏訪氏は諏訪大神の子孫で、祭祀を行う大祝(おおほうり)でもあり高島藩主でもありました。

 

 

ちなみに、高島城へは諏訪大社上社本宮から、北へ車で15分ほどの所です。

 

 

こちらが高島城。中に入るのは有料。お時間のある方はまわってみてはいかがでしょうか。

 

 

諏訪大社上社本宮前は、売店でにぎわっています。諏訪大社四社の中で一番お店が多いので、お土産や食事など楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

 

TV番組「ブラタモリ」でも紹介された諏訪の黒曜石(こくようせき)や、土器のかけらが売られていました。

 

 

諏訪市公認キャラクターの諏訪姫(すわひめ)。

 

 

 

さて、この後「四社めぐりバスツアー」は、諏訪湖の北側へ向かって走り「諏訪大社下社春宮」へ向かいました。

上社に祀られている御祭神は建御名方神ですが、次に紹介する下社は八坂刀売神です。

この二神は夫婦です。

 

 

諏訪湖の御神渡(おみわたり)は建御名方神が、八坂刀売神に会いに行く時にできたとされる伝説があるようです。

 

 

御神渡の舞台となる諏訪湖。

ここ数年は凍らず、「明けの海」となり、御神渡はできませんでした。

 

 

しんゆツアーバスは諏訪湖を眺めながら、北へ向かいました。

次の記事はこちら

前回からの続きで、長野県の諏訪大社の紹介です。(全国の諏訪神社の総本社) 上諏訪温泉 しんゆ(親湯)の、諏訪大社4社めぐりツアーで、諏訪大社上社前宮と諏訪大社上社本宮を参拝した後、諏訪湖の北側にある下社春宮に向かいました。 参拝記 […]

 

 

(この参拝記は2013年と2022年です)

 

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交通アクセス

前ページの前宮へのバス(茅野駅→前宮・大熊行き)に乗車し、上社か神社前で下車します。
茅野駅発、上社前宮・大熊行きのバスは1日に5本しか出ていません。
上社前宮行きバスについて。茅野市HP
茅野駅から出るバスよりも便利なのが、上諏訪駅から出ている「かりんちゃんバス」という市内循環バスです。
かりんちゃんバスのHP
乗車料金は一回150円とリーズナブル。上社入り口か神社前で降ります。
もっと便利なのが、前頁でも紹介した「上諏訪温泉しんゆ」の宿泊者対象無料ツアー。
上諏訪温泉 しんゆ(親湯)の、諏訪大社4社めぐりツアー。

上社本宮へ車で行く場合、普通車100台の駐車場があります。

近くの宿泊施設

上諏訪温泉しんゆ。上諏訪駅徒歩10分。無料シャトルバスもあります。

お得で便利な、旅の予約サイト

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