前回からの続きで、長野県旅行の紹介です。
今日は、長野県茅野(ちの)市の、神長官守矢(もりや)史料館を紹介します。
旅行記
上のマップのように、守矢史料館は、諏訪(すわ)大社上社前宮と、諏訪大社上社本宮との間にあります。諏訪大社と関わりの深い資料館なので、併せて行くのをおススメします。
長野県道16号岡谷茅野(おかやちの)線を、諏訪大社上社前宮から上社本宮へ行く途中、左手側にこのような看板が出ているので、道に迷いません。
駐車場スペースは、車を5台くらい停められそうでした。駐車料金は無料です。
表札に「神長官 守矢(モリヤ)」。
守矢家は、中世より諏訪神社上社の神官の一つである「神長官(じんちょうかん)」を明治時代まで勤めてきた家柄です。
神長官とは、大祝(おおほうり。生き神)を補佐し、諏訪上社五官の筆頭で、代々祈祷と政務事務を掌握してきた職です。
「モリヤ」、「御柱祭」は古代イスラエルと関わりがあるという、昔のTV番組を貼っておきます(放送当時、私はまだ学生でした)。 今日紹介する、「守矢(もりや)資料館」の館長さんも出演なさっているので、ぜひご覧ください。
過去のTV番組から
- 古代イスラエルには「失われた十氏族」があり、シルクロードには彼らの痕跡がある。
- 過去、日本にも古代イスラエルの、失われた十氏族が来ていたかもしれない。
- 諏訪大社の御柱祭(おんばしらさい)と、御頭祭(おんとうさい)は聖書の記述とよく似ている。明治以前の御頭祭は、子供を柱に縛っていけにえにし、神官が子供に刃物をふるうが、別の神官が止めにきて子供を開放し、子供の代わりに鹿の頭75頭を捧げる。これとよく似た記述が、聖書「創世記第22章 アブラハムとイサクの伝承」で、アブラハムは息子のイサクをいけにえにささげようとしたが、神の使いがあらわれてアブラハムを止めたので、息子の代わりに羊を捧げた。
- 諏訪の地は、聖書の記述が数多く残る聖書の地。アブラハムとイサクの伝承も、諏訪大社の御頭祭も「モリヤ」で行われている。イスラエルのモリヤはエルサレムの中心地。諏訪の「モリヤ山」は諏訪大社上社のご神体山。
- 【諏訪大社上社前宮の十間廊(じゅっけんろう)】は、古代イスラエルの幕屋(霊拝所)と同じ造り。日本の長さの単位である一間(いっけん)は、古代イスラエルの単位と通じる。
資料館は有料ですが、敷地は無料で入れます。
左手すぐにあるのが、神長官守矢祈祷殿。市有形文化財です。
その隣に、守矢邸。昭和4年(1929年)に改築されましたが、1792年に建築時の部材を使って使者の間、大広間、勅使の間などが再現されました。
長い歴史のある守矢家ですが、明治維新の国家神道政策により神職の世襲が禁止されたことで、一子相伝の秘伝のほとんどが消滅し、神長官職は廃止となりました。現在は第78代当主・守矢早苗さんに、守矢家系譜と一部の伝承を伝えるのみ。守矢早苗さんは現在、東京にお住いのようです。
こちらが、有料施設の「茅野(ちの)市 神長官守矢史料館」です。
ずいぶん個性的な外観にびっくり。
開館したのは平成3年で、建物の基本設計は藤森照信教授(当時 東京大学生産技術研究所助教授・現 東京大学名誉教授)。諏訪の建造物の特徴や中世の信仰のイメージを取り入れたのだそうです。
鎌倉時代から守矢家で伝えてきた守矢文書を保管・公開しており、守矢文書は県宝155点・茅野市指定文化財50点を含む総点数1618点の古文書で、諏訪神社の祭礼に関する古文書がほとんどを占めているそうです。
別の角度から見た史料館。
入場料は、大人100円、高校生70円、小中学生50円です。見学時間は10分もあれば十分だと思います。
月曜日が休館日。開館時間は、9時半から16時半です。
壁の説明書き。
守矢家について
今から1500~1600年の昔、大和朝廷の力が諏訪の地におよぶ以前からいた土着部族の族長で、洩矢神とよばれ、現在の守屋山を神の山としていた。しかし出雲より進攻したタケミナカタノカミに天龍川の戦いに破れ、タケミナカタノカミを諏訪明神として祭り、自らは筆頭神官つまり神長となった。中央勢力に破れたものの祭祀の実権を握り、守屋山に座します神の声を聴いたり山から神を降ろしたりする力は、守矢氏のみが明治維新の時まで持ち続けた。この資料館はそうした守矢家が伝えてきた古文書などの歴史資料を78代守矢早苗氏より茅野市が寄託を受け地域の文化発展に資するため建設された。
諏訪の歴史は、土着のモレヤが住んでいたところに、出雲からタケミナカタがやってきてモレヤは破れ、その後、アマテラスオオカミが派遣したタケミカヅチノカミとタケミナカタノカミが戦い、タケミナカタは破れて諏訪の地から出ないことになった・・・・という、歴史のようです。
土着のモレヤは、古代イスラエルから渡って来た十氏族と関わりがある部族なのでしょうか。
諏訪大社上社本宮の記事でも書きましたが、タケミカヅチノカミ(天津神)とタケミナカタノカミ(国津神)の戦いは、相撲の起源になっています。
御頭祭の復元展示
諏訪大社の祭祀の中心をなすのが前宮(まえみや)で行われる御頭祭(現・酉の祭)で春先神前に75頭の鹿をはじめ、魚・鳥・獣の肉を山のように盛り上げ酒を献じ、かがり火に照らされながら神と人が一体となって饗宴を催した。この展示は、江戸時代中期の様子の一部で、1784年3月6日に御頭祭を見聞した菅江真澄のスケッチをもとに復元した。
諏訪大社の御頭祭(おんとうさい)の時に神にささげた神饌、鹿の頭などが、メインの展示です。
私はここに、小学生の娘と訪れたのですが、受付の方が、「子供さんにはちょっと怖いかな~??」と気をつかってくださいました。
串刺しのウサギ。
娘はこれは作りものだと思っていたようで(剥製ですが)、怖くなかったようです。
鹿の肉と脳を和えたものや、お肉を煮たもの。
諏訪の七不思議「耳裂け鹿」。
向かって左側の耳が欠けていますね。
壁にはたくさんの鹿とイノシシの剥製がかけられていました。
【諏訪大社 上社前宮】の十間廊に鹿の頭を75そなえるのが、御頭祭です。現在は剥製の首をそなえるのだそうです。
こちらが、諏訪大社上社前宮の十間廊。
太刀や弓の展示もありました。
サナギ鈴というミシャグジ神の鈴などの展示も興味深い・・・。
史料館の奥には、「守矢文書にみる鎌倉・南北朝時代」という企画展示がありましたが、写真撮影禁止でした。令和4年8月6日(土曜日)~10月10日(月曜日)までだそうです。
史料館を出て、敷地の奥にある「神長官邸のみさく神境内社叢 (ジンチョウカンテイノミサクジンケイダイシャソウ)」へ。
カジノキ、カヤ、クリ。カジノキは諏訪大社の神紋に由緒を持つ樹種です。
諏訪大社上社の神紋。カジノキ。
隣に、御頭御社宮司(おんとうミシャグチ)総社。みさく神は、諏訪社の原始信仰です。「御頭みさく神」とも呼ばれ、諏訪地方みさく神祭祀の中枢として重んぜられてきたのだそう。
この後ろには古墳があり、物部守屋(もののべもりや)の次男である武麿のものだと言い伝えられているのだそう。
敷地は広く、もっと奥に行くと、カフェの「空飛ぶ泥舟・高過庵・低過庵」があります。
道順。
カフェの空飛ぶ泥舟・高過庵・低過庵。
行きたかったのですが、娘が「もう歩けない~~。ソフトクリーム食べたーい」と言い、車へ戻りだしたので行けず・・・。また行けたら、写真を追加しようと思います。
史料館で、「神長官 守矢史料館のしおり」を買いました。一冊200円。
諏訪盆地には古事記に書かれた出雲の国の国譲り話とは別に、もう一つの国譲り神話がある。大和朝廷による日本統一以前の話、出雲系の稲作民族を率いたタケミナカタノミコトがこの盆地に侵入し、以前から暮らしていたモリヤノ神を長とする先住民族が、天竜川河口に陣取って迎え撃った。タケミナカタノミコトは手に藤の蔓を、モリヤノ神は手に鉄の輪を掲げて戦い、結局、モリヤノ神は負けてしまった。このモリヤノ神は、守矢家の祖先神と伝えられている。出雲から侵入したタケミナカタノカミは、諏訪大明神となり、ここに現在の諏訪大社の始まりがある。先住民であるモリヤの人々は出雲の人々に虐げられたわけではなく、タケミナカタノカミの子孫である諏訪氏が大祝(おおほうり)という生神の位につき、モリヤノ神の子孫の守矢氏が神長という筆頭神官の位についたのです。この地の信仰と政治の実権は、守矢が持ち続けたと考えられます。諏訪の地には、大祝と神長による新しい体制が固まり、中世へと続きました。
この冊子はとても勉強になるので、史料館へ訪れた際は、ぜひ買って読んでみてください。
守矢早苗さんの講演会がユーチューブにあったので、こちらもご覧ください。「国譲りの神話 洩矢神と建御名方神」。
諏訪地方に伝わる国譲りの民話では、「出雲の国を追われたタケミナカタが、モレヤ族の住む地にやってきて天龍川で戦い、モレヤ族は負けてしまい、モレヤ山に逃げてしまった」という伝説を残しているそうです。
私達は今、「日本人」という一つの家族のように平和に暮らしていますが、日本人のルーツは様々であり、長い年月をかけて、争いながらも融合していったのだと、知ることができます。
どうか、日本がこれからも一つの家族としてまとまり、平和で、豊かでありますように。
(この旅行記は2022年のものです)
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料金
大人100円、高校生70円、小中学生50円です。見学時間は10分もあれば十分。
月曜日が休館日。開館時間は、9時半から16時半です。