【生田長者穴横穴墳群(いくたちょうじゃあなよこあなぼぐん)】 生田緑地に、およそ1400年前に造られた横穴墓群があった

今日は、神奈川県川崎市多摩区にある、生田長者穴横穴墓群(いくたちょうじゃあなよこあなぼぐん)について紹介しようと思います。

散策記

 

 

川崎市多摩区にある生田緑地(いくたりょくち)は大好きな公園で、【日本民家園】【岡本太郎美術館】【枡形山(ますがたやま)】【宙(そら)と緑の科学館】【川崎市伝統工芸館】 と、公園内を一通り、何度か訪れているのですが、横穴墓群(よこあなぼぐん)があるなんて知りませんでした。

 

・・・というよりも、あまり意識していなかったのかもしれません。

 

意識していなかったのに急に気になったのは、この三か月前に訪れた埼玉の吉見百穴(よしみひゃくあな)のインパクト。

吉見百穴は「埼玉のカッパドキア」とも呼ばれており横穴墓が200基以上密集しています。

吉見百穴はまた今度紹介しますが、写真のようにものすごい数の横穴墓(よこあなぼ)が並びます。

 

「横穴墓」・・・なんて不思議なんだろう。昔、どんな人が、ここに埋葬されたんだろう・・・?

 

と、少しの間タイムスリップさせてくれる横穴墓に魅力を感じ、生田緑地の横穴墓にも訪れることにしました。

 

 

最寄り駅は、向ヶ丘遊園駅。駅からテクテクと南へ進み、1km(徒歩で10分)ほど離れたところにあります。

 

 

タイムズの駐車場の向かい側あたりに階段があり、横穴墓への散策路に入れます。

 

 

横穴墓への階段。

生田長者穴横穴墓群は、飯室(いいむろ)山にあります。横穴墓を見るだけなら、階段を少し上る程度。山頂へは5分から8分ほど上れば着きます。

 

 

付近のマップ。
江戸時代の書物でも紹介されていたことから、横穴墓は古くから知られていたようです。
昭和42年(1967)に宅地が造成されることになったため、川崎市教育委員会は3度にわたる発掘調査を実施し、3つの小さな開析谷に合計32基にも及ぶ横穴墓が群集していることがわかりました。

 

では、横穴墓へ・・・。

埼玉の吉見百穴は穴の中に入れましたが、生田長者穴横穴墓群は木の階段から見るだけです。

 

 

横穴墓。

山の斜面にぽっかりと開いた穴で、中は真っ暗で見えません。

 

反対側にも三つの横穴墓。

 

 

植物が茂っていて、よく見えない横穴墓もありました。

 

 

現地の説明パネル。

横穴墓は、比較的固い泥岩の地層に彫り込まれており、横穴墓の大きさは奥行き3~6m、幅約1~3mほどの規模で、平面形には四角形・台形・羽子板形などがあるようです。

四角形が時代的に古いようです。

 

 

出土した副葬品。

金環、勾玉、管玉などの装飾品の他、鉄のやじりなどが見つかったそうです。

造られたのは7世紀ごろ(飛鳥時代、古墳時代終末期)で、この地域を治めていた豪族の一族の墓と推測されているようです。

 

 

横穴墓は5世紀後半の九州北部の豊前地域に淵源を持つと考えられている。おもに6世紀中葉に山陰・山陽近畿・東海まで盛行した。7世紀初頭までには北陸・関東・東北南部まで分布した。薄葬令前後から爆発的に増加した。一部では8世紀中頃までに終焉。

九州から山陰、近畿をはじめとし、北陸、東海をへて、特に南関東が多い。北限は宮城県北部といわれている。静岡県内では約3,000基を数える。
(ウィキペディア 横穴墓より抜粋)

 

 

古墳時代になると、王族や貴族の大型古墳、地方豪族の古墳、横穴墓などの集合墓、あるいは円筒埴輪棺など死者を埋葬する墓における階層化が目を見張るようになり、それに伴い被葬者の間で身体特徴の違いが見られるようになる。一番わかりやすい身長で比較すると、大型古墳の被葬者は一般に高身長でときに170センチ近くにも及ぶ被葬者がいた。各地豪族墓の男性被葬者の平均は160センチぐらいであり、横穴墓に埋葬された者はそれを下回り、158センチほどである。古墳時代の人骨の一番の特徴は縄文人や弥生人の骨格で見られた骨太さ・頑丈さが目立たなくなったことである。この傾向は、大型古墳の被葬者などで非常に顕著であり、横穴墓や円筒埴輪棺などの常民墓の埋葬者ではさほどでもなく、縄文人、弥生人と大型古墳の被葬者との中間である。
(ウィキペディア 古墳時代より抜粋)

 

 

生田長者穴横穴墓群が造られた七世紀は、「倭国」から「日本国」へ国名をかえた時代なのだそうです。

古くから住んでいた人と、外からやってきた人が争いながらも融合し、ひとつの国にまとまり「日本国」となった・・・、そんな時代だったのでしょう。

 

 

生田長者穴横穴墓群の見学はここで終了なのですが、私はこのまま飯室山(いいむろやま)を越えて枡形山(ますがたやま)へ抜けました。

 

枡形山は以前紹介しましたが、鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の妻である北条政子の妹を、妻に迎えた稲毛三郎重成(いなげさぶろうしげなり)の城があったところです。

 

飯室山をテクテク上って、生田長者穴横穴墓群とお別れ。

飯室山の散策路は木の階段がついているので、上りやすいです。

 

 

ゆ~~くりと8分くらいかけて上り、飯室山の山頂に到着。展望台があったので上ってみました。

 

 

展望台からの眺め。

「隣の枡形山からの展望台の方が、良く見えるなぁ」といった感想。

 

 

飯室山山頂は訪れる人も少なく、とても静かです。

先ほどの横穴墓に葬られた人たちも、この山に登ったのでしょうか。

 

 

山頂まで来たら下って隣の枡形山(ますがたやま)へ。

 

 

野鳥がさえずり、蝶々が飛んで、気持ちの良い遊歩道です。

 

 

枡形山(ますがたやま)山頂に到着。

 

 

こちらが、枡形山展望台。無料で上れます。

さきほどの飯室山展望台よりも見晴らしがよく、スカイツリー、東京タワー、横浜のランドマークタワーの他、天気の良い日は茨城県の筑波山(つくばさん)、富士山も見えます。

 

以前、記事にしたのでご覧ください。

→→枡形山の記事はこちら・・・お城のような展望台があり、無料で上れます。

 

(この散策記は2019年です)

 

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交通アクセス

公共交通機関で行く場合、向ヶ丘遊園駅から徒歩10分。

車で行く場合、生田緑地の有料駐車場の他、生田長者穴横穴墓群のすぐ近くに、タイムズの駐車場があります。

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