【NHKスペシャル 2030 未来への分岐点】 第1回 「暴走する温暖化 “脱炭素”への挑戦」の放送内容

去年放送していたNHKスペシャル「2030 未来への分岐点」がすごく勉強になるので、紹介したいと思います。

 

  • 資源の大量消費
  • 人口爆発と食料問題
  • 加速する温暖化

飽くなき人間の活動は、地球の環境を左右し始めている。

危機を乗り越える道筋を探る2030。

 

第1回 暴走する温暖化 “脱炭素”への挑戦

地球の各地で異変がおきている。

 

 

 

【2019年 グリーンランド】

雪が数百メートル降り積もってできた氷床が解け、あちこちに湖が出来ている。海では、次々と氷河が崩落。

2019年度にグリーンランドで溶けた氷は観測史上最大となる5320億トン。

 

2019年にグリーンランドで溶けた水を東京23区にそそぎこむと、水位800m以上になり、スカイツリーは沈む。

 

また、オーストラリアでは、30億匹の動物が山火事で犠牲になり、アメリカ カリフォルニアでは、山火事で町が真っ赤に染まって健康被害も出た。

 

 

 

【2020年の世界の森林火災面積】

2020年、日本のおよそ1.7倍の面積である約63万㎢が森林火災で焼けた。

 

 

 

【温暖化の新たなリスク シベリア】
シベリアでは38度という観測史上最大の高温を記録。数万年にわたって溶けずにいた永久凍土が急速に溶けている。
その中から、新種のウィルスが見つかり、「モリウィルス」と名付けられた。

モリウィルスは、生物の細胞に入ると12時間で1,000倍に増殖し、細胞を死滅させて突き破る。

世界の研究者はWHOに対策を求める意見書を出した。

「古代の病原体が新たな感染症の流行をもたらす可能性は高い。永久凍土はまさにパンドラの箱である」

 

 

ポツダム気候影響研究所のロックストローム博士は、惑星の限界を研究している。
「長年私達は大きな地球の小さな世界に暮らしていると思っていました。地球は環境汚染を無限に受け止めてくれると。社会が代償を払わされ地球が不安定になる危険はないと。そう信じてきました。しかし最新の科学は、すでに地球が飽和状態に達していることを次々に示しているのです。」

 

 

もともと地球には人類の活動を受け止める十分な余裕があった。森や海は二酸化炭素を吸収してくれていた。

しかし、世界の自動車の保有台数が、60年で10倍以上の14億台にまでふくれあがった。さらに、化石燃料などで作られた電気の消費量は、70年で25倍以上に。

肉の生産量も増え、家畜を育てるために豊かな森を次々に開発していった。その結果、二酸化炭素を吸収する力が失われていった。

 

ロックストローム博士の言葉
「これが何を伝えているかと言うと、われわれ人類が地球を変えてしまう支配的な勢力になっているということです。この30年余りで私達が惑星全体を不安定にさせるほど危険な力を持ってしまったという驚くべき結論を化学は提示しているのです。科学界は何十年も前から警告を発してきましたが、まだ時間が残されていました。しかし今、私達は決定的な10年に入りました。人類の未来を左右する10年です。私達は壊滅的な危機に直面し、残り時間もわずかになっています。つまり緊急事態の真っただ中にいるのです

 

 

 

2019年台風19号では、日本全国各地の堤防が決壊し、90人以上が亡くなった。

温暖化で海水温が上昇し、台風が強力化。降水量が全体で10%増えた結果、川に流れ込む水の量が増え(例えば長野県の千曲川では1980年代に比べ20%増)、堤防が決壊。広範囲が床上浸水する危険度が増している。

 

 

2100年の未来人から、2021年の私達へのメッセージ
「君たちは今、未来を決める分岐点に立っている。これから10年の行動で、持続可能な未来か、暗黒な未来かに別れる。今の気温は+1.2度。このままいくと2030年には+1.5度になる。気温上昇がこれ以上になると、地球にとんでもないことがおこる」

 

 

ロックストローム博士は衝撃的な論文「ホットハウスアース理論」を発表しました。
限界点を超えると地球が暴走し止められなくなる危険がある。+1.5度が地球の限界だと示す科学的証拠がますます増えています」

 

 

北極を覆う氷は太陽の熱を反射してきたが、温暖化により溶けて急速に縮小。北極圏の気温上昇はシベリアに影響を与える。

シベリアの永久凍土には二酸化炭素の25倍の温室効果を持つメタンが大量に封じ込められているが、永久凍土が解けることでメタンが大地から爆発的に湧き出す。こうなると、もはや二酸化炭素の排出をすべて止めても、地球の暴走を止められない。

 

北半球の変化は、南半球のアマゾンへ波及。高温や乾燥により熱帯雨林がサバンナに変化。森が蓄えていた二酸化炭素が一気に放出されてしまう。

 

そして影響はついに南極へ。気温の上昇や温められた海水により南極の氷が解けて、海面が1m上昇。

 

このような流れで、2100年には気温が+4度にまで達する恐れがある。

 

 

未来の天気予報(2100年8月21日)では、札幌の気温が40.5度となり、外出の自粛を訴える。

「気温が40度を超えています。命にかかわる危険な暑さです。不要不急の外出は控え、厳重に注意してください。ステイホームとテレワークの徹底をしてください」

 

 

東京の猛暑日は2021年は12日間だったが、2100年には47日に増加。猛烈な暑さのため屋外で労働できる時間は、3割から4割減る。熱中症リスクは東京23区で13.5倍になり、救急搬送される人は24万人。

 

 

海水面が1m上昇すると、日本の砂浜の90%は消える。

海の温度が上がって漁業は大打撃を受ける。寿司の近海物は姿を消す。

 

夏場の運動はとんでもない。オリンピックが夏季に開かれる場所は2021年では300ヵ所以上あるけれども、2100年ではモンゴルのウランバートルとキルギスのビシケクの二か所しかない。

2100年の日本では、太陽の下で遊ぶ子供たちの姿は見なくなった。

この世界(気温が+4度の日本)では台風の脅威はさらに増大。降水量が30%増え、東京の荒川が氾濫すると東京の秋葉原ではビルの一階部分が水没する。浸水戸数は約61万戸、死者2300人、孤立者54万人の予想。

 

+4度の世界ではこんな現実が待ち受けている。

 

暗黒の未来に進みたくなければ、この10年の行動が大事。

 

危機を回避するために世界は動き出している。その先頭に立つのはヨーロッパ連合。2019年EU議会は経済成長と温暖化対策を両立するグリーンディールを発表。

グリーンディールの責任者ティメルマンス氏がインタビューに答えた。
「私達は既に1度の気温上昇による酷い現実を目にしている。干ばつ、山火事、嵐です。そのため一層の努力が必要だという結論に達しました。最近、私に孫ができ、初めて抱いた時こう思いました。この数年でやるべきことをやらなければ、孫は20年後にその影響を受けることになる。ですから今、社会で責任を持つ人に伝えています。この数年で正しい道に進まなければ状況を変えることは極めて難しくなる。これは次世代への私たちの責任なのです」

 

 

+1.2度を超えないためには、今から温室効果ガスを減らし、2030年に半減、2050年には森林分の吸収を差し引いて実質0にする必要がある。

しかしその道のりは難しい。

新型コロナウィルスによるロックダウンや経済活動の自粛により、削減できた温室効果ガスの量は推定7%にしかならない。今のシステムのままでは減らすのが難しい。

そのためEUは2020年石炭火力新設禁止にして、再生可能エネルギーへの転換を進めている。

温室効果ガス排出量の20%をしめる産業部門にも改革を求め、例えば古着は繊維を取り出して再利用させることなどを求め、循環型経済への大転換を図っている。

リサイクルは新しい製品を一から作るよりコストがかかるので、競争力で不利。そこで国境炭素税として、温暖化対策をとっていない国に対して税金を払わせる制度で、これを支払わない限りEUで製品を流通させないようにする。

また、2025年に電気自動車の普及のため100万基の充電設備を作ることや、エネルギー消費を抑えるために住宅・公共施設の断熱化を進める。

このように、EUでは2030年に温室効果ガス排出量55%削減を目指している。

「気候の破壊者」といわれた企業も変わろうとしている。

例えば、発電量ヨーロッパ2位のRWEは、収益の柱だった石炭火力と採掘場を閉鎖。2030年までに排出を75%削減する予定。さらに、6000億円を投資して、洋上風力発電を軸に世界市場へ出ようとしている。

エネルギーの転換に市民も大きな役割を果たしている。太陽光発電に移行する家も増えた。ドイツには巨大な発電ネットワークがある。再生可能エネルギーの発電は天候に左右されるので、全国1万の会社や家とネットワークを結び、それぞれの蓄電池から融通させる、仮想発電所をつくった。

 

「みんながエネルギーの消費者であり、生産者でもある。」

 

しかし、石炭火力発電の全廃を決めたヨーロッパでは、労働者たちの抗議が相次いだ。

 

 

グリーンディールの責任者ティメルマン氏の言葉。
「最も重要な課題は、誰も置き去りにすべきではないということ。公正な変革でないと実現できない。何もしなくても今の状態が守られるというのは錯覚。正しい方向に変えられるよう動くべきです。」

 

 

うねりはヨーロッパから、アメリカをも変えようとしている。

温暖化対策に否定的だったトランプ政権に変わり、バイデン政権へ。バイデンは2050年に温室効果ガス排出0を目指している。

マイボトル、マイストローを持ち、服装は古着というアメリカの若者は、「温暖化の未来を生きる若者たちの意見を聴いてほしい」と言う。近年、アメリカでは若者が社会の変革を担う時代が訪れている。

 

 

アインシュタインの言葉
「悪い行いをするものが世界を滅ぼすのではない。それを見ていながら何もしない者たちが滅ぼすのだ」

 

 

 

 

「2030 未来への分岐点」の再放送は未定です。

本はこちら。

 

 

次は、2030 未来への分岐点 二回目「飽食の悪夢。水・食料のクライシス」の放送内容を紹介します。

 

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