今日は、東京都目黒区の「目黒寄生虫館(めぐろきせいちゅうかん)」を紹介します。
見学記
目黒寄生虫館は、目黒駅から西へ1kmほど離れたところにあり、徒歩で向かう場合10~15分くらいです。バス通りをそのまままっすぐ進むと左手に見えてくるので、道に迷うことはありません。
駐車場が無いので、車で行く方は付近の有料駐車場を使いましょう。
目黒寄生虫館の開館時間は10時から17時。
休館日は、毎週月曜日・火曜日/年末年始(月曜日・火曜日が祝日の場合は開館し、直近の平日に休館)。
ありがたいことに、入場料は無料です。
見学マナー。
飲食物の持ち込み禁止、展示ケースは叩くな触るな、館内は静かに、ベビーカー使用禁止、大きな荷物はロッカーへ、携帯電話の通話は控えましょう。
写真撮影はOKです。
目黒寄生虫館は、寄生虫学専門の私立博物館。(私立なのに無料なのがスゴイ)
2017年12月に韓国ソウルの江西区にて寄生虫博物館が開館するまでは、寄生虫専門の博物館として長らく「世界で唯一」の存在だったそうです。
開館したのは亀谷了(かめがいさとる)博士。南満洲鉄道株式会社の衛生研究所に勤務していた医学博士の亀谷了さんは、1947年(昭和22年)7月に中国から日本への引き揚げを果たすと、1948年(昭和23年)4月、目黒区に診療所を開設。亀谷さんはその頃から寄生虫を専門とする研究所を設立したいと考えており、1953年に建物が建てられました。
現在の建物は1992年に改修されたもので、地上6階・地下1階になっています。
初代館長の亀谷了博士は、平成9年に目黒区の名誉区民の表彰を受けたようです。(紫綬褒章、勲三等瑞宝章も受けた)
私がここに訪れたのは2019年。私の誕生日を祝おうと有給休暇をとってくれた夫と某レジャー施設に遊びに行く予定が急遽中止になり、ヒマになった私が一人でまわったのが、
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と、こちらの目黒寄生虫館でした。(マニアックな妻でごめんよ)
オカルト分野の2スポット(祟りと神隠し)の後で、なぜこちらを訪れたかといいますと、私は結婚前に病院で検査をする仕事(臨床検査技師)をしており、学生時代に寄生虫学を学んでいたため。教科書にはいろんな寄生虫が載っていて「うーわ、グロい~。宇宙生物~。こんなのが体の中で増えるなんてありえん~~」と、ドン引きしながらも妙な魅力にひかれて、教科書をよく読んでいました。
妙な魅力を持つ寄生虫の博物館が東京にあると知ったのが、ここを訪れる一年前。いつか行きたいと思っていたので、行ってきました。
ちなみに私がゾッとする寄生虫は、有鉤条虫(ゆうこうじょうちゅう)でございます。
↑
う~~わ、宇宙生物~~。
こんなのがお腹に寄生するなんて、ほんとにありえない・・・ ( ;´Д`)
ちなみに、有鉤条虫(ゆうこうじょうちゅう)の卵が腸内で孵化して、体内の各部に幼虫が移動すると、このような状態になるのだそう。皮膚の下にはおびただしい幼虫(嚢虫)がいて、脳に寄生すると命にかかわるそうです。
有鉤条虫(ゆうこうじょうちゅう)は豚肉に寄生しているので、しっかりと過熱してから食べましょう!!! また、外国で肉料理を食べる時は、ちゃんと火が通っているか確認しましょう。
↑
興味ある方は、ビジュアル図鑑をどうぞ。あなたもきっとハマる!
さてさて、前置きはこのくらいにしておきまして、一人でブラブラと散策。
訪れたのは平日の夕方で、お客さんは10人未満といったところでした。(2019年)
シーラカンスの寄生虫。シーラカンスの冷凍標本を見たい方は、静岡県沼津市へ行きましょう!
マダイの口の中に寄生する生き物。こんなのが口の中にくっついて離れないだなんて、マダイがかわいそうだわ。
展示されている寄生虫は全て本物、ホルマリン漬け。
パネル展示も面白かったです。
人間への寄生虫でよく聞くのは、ギョウチュウと回虫でしょうか。
昭和55年生まれの私も、三歳年下の夫も、小学生の頃はギョウチュウ検査をやったのですが(おしりぺったん、という名前だった)、現在小学生の娘は学校から一度も「おしりぺったん」をもらってきません。もう検査していないんでしょうね。
猫の回虫、犬の回虫の卵が公園の砂場から発見されるので、遊んだ後は手洗いうがいをしっかりしましょう!
犬のフィラリアは有名ですね。人に感染すると肺に腫瘤を作るのだそう。
バンクロフト糸状虫(しじょうちゅう)の幼虫のミクロフィラリアに寄生され、リンパ系フィラリア症を発症すると、左の写真のように陰嚢水腫(男性のいわゆる金たまが超巨大化)になる。
西郷隆盛さんが陰嚢水腫であったことは有名なのだそうです。
アニサキスは御存じの方も多いはず。
冷凍するか、加熱するか、除去するかで、防げます。
目黒寄生虫館は無料なのですが、施設維持費がかかるため、募金をお願いしています。
私が訪れたのは2019年。目標金額は430万円で、8月末までで41%達成したようでした。
2018年の寄付金額は411万438円だとのことで、けっこう募金集まるんだなーと感心。なんでも、目黒寄生虫館は年間5万人以上が、来場するのだとか。(さすが東京都心!)
そんな目黒寄生虫館を襲ったのが新型コロナウィルス。外出自粛などで来場者は半分に減り、経営のピンチに!
インフルエンサーが目黒寄生虫館への支援を呼びかけた他、2022年8月に旭日大綬章の受章のため来日したビル・ゲイツ氏が寄生虫館に立ち寄り、サナダムシ(世界一長い寄生虫)とのツーショット写真をツイッターにあげたことで、注目されることになったのだそうです。
全長8.8メートルの日本海裂頭条虫(サナダムシの一種)は、この博物館の目玉展示物です。
サナダムシは、平たい体節部の形状が真田紐(さなだひも)に似ていることから名付けられました。
真田紐。 徳川家康が「真田は虫になってまでも、なお、この家康を苦しめる」と言ったのだとか。
真田紐みたいなサナダムシも「ウエッ、こんなのいるのか・・・」とショッキングですが、寄生虫の中でも怖いのが、目に見えないサイズの「マラリア原虫」。
マラリア原虫は、人の赤血球に寄生し破壊・増殖する原虫で、熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリアの四種類があります。年間2.2億人が発病、66万人が死亡するのだそうです。(2010年のデータ)
WHOのデータなどからビル・ゲイツ氏らがまとめた結果、人間を一番殺しているのは蚊(から媒介される病気)なのだとわかったそうです。
蚊はマラリアだけでなく、デング熱やジカウイルスなども媒介します。
・・・といっても、蚊は他の昆虫や動物の食物連鎖に組み込まれているので、いなくなると困る生き物も出てくるのですが。中でも大量にわくボウフラは魚の餌になっていますしね。
先ほどのビル・ゲイツ氏は、「ビル&メリンダゲイツ財団」の活動もしており、マラリアと闘うために20億米ドルの助成金を提供し、バイオテクノロジー企業のOxitec社と協力して遺伝子操作された蚊を生産・放出する取り組みを行い、2022年3月に米環境保護庁(EPA)はOxitec社が「遺伝子組み換え蚊」20億匹を実験的に放出することを承認。
フロリダ州やカリフォルニア州で野に放たれることになるのは、遺伝子操作を加えたネッタイシマカの雄。野生の雌と交配して誕生する幼虫が、成長する前に死ぬように細工が施されているという。人間の血を吸うのは産卵前の雌に限られるため、ネッタイシマカが数を減らすことで噛まれる機会が減少し、デング熱、ジカ熱、チクングニア熱などの感染症も減ることが期待されている。しかし、この実験についてさまざまな懸念の声も上がっている。2012年にOxitecのCEOが「放出する蚊の3000匹に1匹は雌である」と明かしており、この遺伝子組み換えを施した雌に噛まれた時の影響が未知数である点。さらに、2011年に学術誌「Nature Biotechnology」に発表された論文で、野生の蚊との交配で生まれた幼虫のうち3.5%が成虫になるまで生き残っていることが判明しており、環境と生態系への長期的な影響も不明である点など、この実験についてはまだまだ謎も多い。
→トカナ
う~~~~ん・・・・・。
生物の遺伝子と進化の過程は神の領域なので、私は人間が遺伝子を改造する事にはすごく反対です。(何か悪い影響が出た場合、リセットボタンを押すように簡単に元に戻せないですからね)
多くの寄生虫感染症は経口感染なので、「衛生的に管理して食物を生産する」「しっかり火を通して食べる」ことで寄生虫の感染は防げるのですが、蚊を防ぐのは結構厳しいのではないかなぁと思います。
蚊は「空飛ぶ注射器」のような構造で、いろんなものを人に媒介するので、変に遺伝子改変しないでもらいたいのですが・・・。
さらにビル・ゲイツはWHOへ資金提供をたくさんしていることでも有名ですね。WHOの問題は、こちらの記事に書きましたのでご覧ください。
いろいろありますが、皆様はどのように思われたでしょうか。
(寄生虫の話なのに脱線してゴメンナサイ)
皆様もぜひ目黒寄生虫館へ行って、「え、こんな生物いるの!?」と驚き、珍しい博物館維持のためにぜひとも募金の協力をお願いいたします。
(この見学記は2019年です)
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交通アクセス
目黒駅から徒歩10~15分。車で行く場合、周辺の有料駐車場利用。
料金
無料。ぜひ募金の協力を! 珍しいグッズや寄生虫関連本もいろいろあります。
目黒寄生虫館の開館時間は10時から17時。
休館日は、毎週月曜日・火曜日/年末年始(月曜日・火曜日が祝日の場合は開館し、直近の平日に休館)