【アドラー心理学】 自分の人生の決定権は自分にある。勇気を持つことと、他者との愛の結びつきと、共同体感覚が幸せにつながる

世界情勢がだんだん荒れてきている中、一人一人が心の平穏を維持するのは大切なことです。

今日紹介するのは「アドラー心理学」。

アルフレッド・アドラーは、オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家で、フロイトやユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した一人です。

 

これからいくつか紹介する中で、貴方に必要な格言が一つでも入っていると幸いです。

 

 

最も優れた人、われわれの文化に大いに貢献をした人の多くが、人生を始める時に器官的な劣等性を持っていた。身体的にも環境的にも困難と必死で戦った人が、もっぱら進歩と発明をもたらしてきた。闘いが彼らを強くしたのであり、それによって彼らも世の中も進歩したのだ。劣等感には、それを正しく補償すれば、人を進歩させる力がある。

 

人は、あらゆることを自分で考え、判断し、決定する。この自己決定性が、結果に対する責任感を強め、人の心を育て、安定させるのである。自分の人生を自分でコントロールしなければ、誰かにコントロールされてしまうことになるだろう。

 

私達は、自分の人生を自分で作っていかなければならない。自分で行ったことの結果は、自分で責任を持たなければならない。なぜなら私達は、自分の行動の主人だからである。自分自身により厳しくあること、自分自身で責任を取るという自覚をもつこと、これが自己決定性に求められる要点である。

 

他者に促されて行った判断も最終的には自分が受け入れ同意したものであり、それは自分が判断して行ったものである。自分で決断したことは自分で責任を持つべきであり、他者のせいにしてはいけない。

 

私達一人ひとりが持つ自己決定性は、人としての自由に支えられたものである。だから、いつでも自分の意思で自分を変えることができる。責任は伴うが、できないことはない。人は、どんなことでもできるのだ。

 

健全な人は、相手を変えようとせず、自分を変える。不健全な人は、相手を操作して変えようとする。私達は、他人の心は簡単に操作できないとういうことを悟らなければならない。そうでなければ、自分自身が疲弊し壊れてしまう。

 

自分だけでなく自分が所属している共同体の人たちが、また共同体そのものが、より良くなるような判断や行動をしようとする価値観を、共同体感覚という。私達の課題は、正しい共同体感覚を身につけることである。それができれば、私達の抱える問題の多くは、解決の糸口を見つけることができるだろう。

 

共同体感覚を身につけていない人は、自分の利益のみを考えて行動する。彼らは、他者から信頼を得ることが出来ず、孤立してしまうだろう。

 

その人が変えたいという意思を持ち、変えようと努力すれば、ライフスタイルは死ぬ1、2日前まで変えることができる。人は、自分を変えようとする意志を持っていれば、それはいつでも可能なのだ。人生は新しい自分を発見し、日々生まれ変わるところに意味がある。

 

三つの課題が、私たち一人一人の前に立ちふさがっている。それらは、仕事、交友、そして愛についての課題である。これらは避けることのできない人生の課題。人生の幸せは、充実した仕事、親密な交友関係、そして愛に支えられた家族関係をいかに実現するかにかかっている。

 

人生の意味は、貢献、すなわち他者や社会への関心と協力にあることは疑いない。あなたの責任のある貢献が、家族を動かし、組織を動かし、そして社会を動かしていくのだ。そして、それは同時に自分自身の改善、つまり自己変革を伴うものであることを忘れてはならない。

 

仕事は、自分の生活を維持するだけのものとしてではなく、社会とつながり、社会に何らかの貢献をするものとして存在する。私たちの社会は、誠実に働く一人一人の日々の仕事の積み重ねによって動いていることを理解すべきなのだ。

 

私達は、常に他者と関わり、調和し、そして関心を持って生活しなければならない。そうすることで、私達は社会の構成員となり、社会に貢献する存在になることができる。あなたが、もし真の友人を一人でも得れば、あなたはその友人と共に自分の人生を高めあうことができるだろう。

 

あなたのために他者がいるのではない。他者が何かをしてくれないという悩みは、自分のことしか考えていない何よりの証拠である。自分だけが特別な存在なのではないということも肝に銘じておくことだ。

 

愛の課題とは、個人同士の付き合いや家族関係のことである。愛の証は、相互の深い信頼にある。ゆえに、愛の課題は人生で最も困難な課題であるが、解決できれば深い安らぎが訪れるだろう。

 

甘やかされた子どもは、自分の願いが法律になることを期待するように育つ。このような子どもが大人になると、共同体の中では危険な種類の人になってしまう。彼らは、常に自分にのみ関心があり、他者や社会に貢献することを学んでこなかったからである。困難な問題に直面した時に彼らがとる方法はただ一つ、その解決を自分ではなく他の人に求めるのだ。

 

無視された子どもは、愛と協力が何かを知らない。このような子どもが大人になると、他者を疑い、自分を信頼できない人になってしまう。彼らは、他者は自分に冷たく友好的ではないと見てきたし、自分が他者から愛され尊敬されるとは思ってもいないからである。彼らには、信頼に値する他者や仲間と交流する経験を持つことが何よりも大切なのだ。

 

ライフスタスクを正しく達成するには、そこにおける人間関係をどう作り上げ、維持し、そして作り替えていくかが重要である。人と共にあり、人と共に働き、人と共に生活することの中にこそ、人生の幸せがある。

 

人生の課題に取り組むためには、その人の勇気を高めることが必要だ。勇気づけとは、一言でいえば、嬉しいという喜びの気持ちと、ありがとうと言う感謝の気持ちを相手に伝える援助法である。それは、深く人を思いやる心をもって、人の心の奥底に届く言葉として伝えなければならない。

 

勇気とは、困難を克服する努力、リスクを引き受ける気力、他者と力を合わせる協力、この三つの力によって支えられている。これらの力から成る勇気を持つことで、人は人生の課題に正面から立ち向かうことができる。

 

勇気づけでは、相手が自分のライフタスクを解決できるよう、対等な横の関係に基づいて援助する。自分と相手との関係を縦の関係ではなく、横の関係としてとらえる。ここに勇気づけが効力を発揮する秘訣がある。

 

褒めてはいけない。褒めることは、あなたは私よりも下の存在だと相手に伝えることに等しいからだ。褒めるのではなく、勇気づけるのだ。勇気づけには、人の能力と意欲を育てる力がある。

 

人が精神的な健康を損なう最も大きな理由は、縦の人間関係にあり、従って横の人間関係を築くことこそが精神的な健康には欠かせないということを、しっかり記憶しておいてほしい。縦の関係は自尊感情を脅かし、横の関係はそれを育てるからである。

 

勇気があり、自信があり、リラックスしている人だけが、人生の有利な面からだけでなく、困難な面からも利益を受けることができる。そのような人は、どのような局面にあっても決して、恐れたり逃げたりしない。勇気づけは、人生の有利な面と共に、困難な面からも利益を受けられる。人を勇気づけるには、自分自身が勇気ある状態にいなければならないのだ。

 

あなたを主語にすることをやめて、私を主語として伝えると、それだけで人を勇気づける効果が表れる。前者は相手の態度や行動の評価を表すものであり、後者は相手の立場に立って共感していることを伝えるものなのだ。ユー・メッセージではなく、アイ・メッセージで勇気づけると良い。

 

視線を合わせない、厳しい口調で話す、足や腕を組んで聞く、そんなことはしない事である。

 

自分だけでなく、仲間の利益を大切にすること。受けるよりも多く、相手に与えること。それが幸福になる唯一の道である。与えよ、そうすれば与えられるだろう。

 

あなたが悩んでいる課題は、本当にあなたの課題なのだろうか。その課題を放置した場合に困るのはだれか。冷静に考えてみることだ。自分に責任のない課題、あるいは責任を持てない課題をあえて引き受ける必要はない。もし引き受けてしまえば、自分のためにも、また相手の為にもならないからだ。

 

他人の評価に左右されてはいけない。ありのままの自分を受け止め、不完全さを認める勇気を持つことだ。それができれば、自分も変わり、幸せに一歩近づくことができるだろう。

 

人間に求めることは、優れた仕事仲間であり、素晴らしい友人であり、愛と結婚における真のパートナーであってほしいということ。仕事、交友、愛の三つのライフタスクに関わる人間関係が、人生の幸せを決めているからだ。

 

人生を幸せに生きる条件とは、一つは自分の持っている能力を発揮できることであり、もう一つはそれが他の人のためになっていることである。人生の幸せは、人に与えたものが自分のもとに返ってくるようにしてもたらされるものなのだ。

 

自分自身の幸福と人類の幸福のために最も貢献するのは、共同体感覚である。それゆえ、人生の問題のすべての答えは、この結びつきを考慮に入れなければならない。自分のことばかり考えてはいないだろうか。奪う人、支配する人、逃げる人、これらの人は幸せになることができないだろう。