今日は以前見に行った、第22回 岡本太郎現代芸術賞を紹介しようと思います。(こちらの会期は2019年2月15日~2019年4月14日までで、すでに終了しています)
岡本太郎現代芸術賞(通称TARO賞)は、今年で22年目。416点の応募の中から25名(組)が選ばれ、神奈川県川崎市の岡本太郎美術館にて展示されます。
時期が来たら「気になるなぁ~」と思いつつも、なかなかタイミングが合わず、最後に岡本太郎現代芸術賞展を見たのが2016年だったので、三年ぶりでした。
今年(第22回)の岡本太郎現代芸術賞は、こちらの部屋の中。
檜皮一彦さんの作品、「hiwadrome: type ZERO spec3」。
音楽がかけられた狭い部屋の中、積み上げられた車いすの間から、赤や青のスポットライトがウィーンウィーンと回転して、怪しく部屋を照らす・・・。
部屋に入った瞬間、「うわぁ、なんだここ!」と鳥肌が立ちました。
作品のエネルギーが脳みそに突き刺さるような圧倒的な迫力で、会場の中でもひと際独特的で目立つ作品でした。
作者の檜皮一彦さんは、生まれつき四肢に障害がある方で、壁には檜皮さんと別の男性の体が入れ替わる映像が流れていました。
私が訪れたのは、最終日の昼過ぎで、会場には檜皮さんをはじめ、受賞された10組の作家さんがいらっしゃいました。(ひょっとしたら他にもいらっしゃったかもしれません。このうち5名の方はギャラリートークが設けられていました)
この日、檜皮さんのギャラリートークイベントは無かったのですが、最終日のためかご本人が会場におられました。
檜皮さんはスケートボードに乗って会場内を移動し、スケートボードとソファをアクロバティックに移り、その軽やかな身のこなしに目が釘付け。
ご本人がインタビューに答えている映像があるので、ご覧ください。
スポットライトがグルグル回転して、迫力がある作品を見られます。
作品には「愛も憎しみも入っている」と答えられているのが、印象的でした。
こちらの作品は、岡本敏子賞を受賞した風間天心さんの「Funetasia」。
なんと、風間天心さんは、曹洞宗の僧侶(おぼうさん)なのです!
中央にあるのは、2019年4月末でおわる元号「平成」のお葬式を行う祭壇で、壁には歴代のすべての元号が記された額がかけられていました。
祭壇の両側の箱は、平成が終わるとともに別れを告げたいものを入れます。
展覧会最終日の夕方4時から供養儀式「平成のむすび式」が行われ、私は横から見ていたのですが、みんなで般若心経をとなえ、祭壇に水引で作られた花をそなえる・・・というものでした。
来館者が箱に入れたものは、最終的に「おたきあげ」がされるそうです。
お坊様とアーティストの両立・・・、すごいですね。
私が訪れたのとは違う日に行われた映像があるので、ご覧ください。
法華宗、浄土真宗、曹洞宗の3人の僧侶によって(曹洞宗の僧侶は作者の風間さん)、平成年号(時代)を弔うための儀式が行われました。
ちなみに、隣の部屋でピカピカしている怪しい部屋は、「革命アイドル暴走ちゃん」のコンサート会場です。(またあとで紹介します)
特別賞を受賞した、國久真有さんの作品「BPM」。
腕を伸ばしてグインと書いた曲線の集合で、中央が白くぬけているのは、手が届かないため。
写真右端に映っているのは、ご本人が実際に使っていた道具です。
特別賞を受賞した、武内カズノリさんの作品「こちふかば(ボッチ・川崎にて)」。
「ボッチ」は収穫した落花生を稲わらのように積み上げた物を言い、自然の憤る面として表現しているそうです。
怒っているような…、笑っているような…。
あなたには、どう見えますか???
武内カズノリさんの作品は、入り口に近く、迫力があったので、多くの方が記念写真を撮っていました。
こちらも特別賞を受賞した、田島大介さんの作品「無限之超大國」。これともう一枚の、合計2枚からなる巨大な作品です。
平面なのに、空高くから落下するような「クラクラ感」のある方を撮りました。
パソコン画面を見てるだけで、目まいが・・・。アートってすごいですね。
機械を使って描いたような精密な絵画ですが、定規を使って一本一本丁寧に手で書かれています。
制作の様子がユーチューブにあったので、貼っておきます。
すごいですねぇ・・・。
どれくらいの時間がかかったのでしょうか。途中で間違わなかったのでしょうか。もともと下絵があって、大きなキャンバスに拡大して書いているのでしょうか? 書いていて頭がクラクラしないのでしょうか?・・・と、いろいろ質問したかったです。
宮田彩加さんの作品「MRI SM20110908」。
作品のモデルは、検査のために撮った自分の脳のMRI画像。
それを、意図的にプログラムにバグを組み込んだミシンで作ったそうです。
宮田さんは刺繍作家なのですが、実はミシンが嫌いなのだそうです。
めちゃくちゃなミシンの使い方で作品を作っているので、何本もミシン針を駄目にしたとおっしゃっていました。完成した後でも、やっぱりミシンは好きではないそうです。
作品も素敵なのですが、作者の宮田さんは若くて魅力的な笑顔をした面白い方でした。(ギャラリートークイベント、いいですね!)
佐野友紀さんの作品「つぎの時代にゆくまえに」。
ファンタジーな世界観の、迫力ある作品でした。
この日は佐野さんのギャラリートークイベントでした。
佐野さんは眼鏡をかけたハンサムな青年で、司会の方が「佐野さんの実家は信州安曇野にあり、普段はおいしい蜂蜜をとってらっしゃいます」と紹介し、会場がざわめきました。
養蜂家で画家!!!
衝撃的でした・・・。
佐野さんは多摩美術大学大学院を卒業され、2015年の第18回岡本太郎現代美術大賞では特別賞を受賞されたのだそうです。
革命アイドル暴走ちゃん。
お部屋の中には顔出しパネルがあり、最終日の夕方にライブパフォーマンスをしてくれました。
ライブの様子がユーチューブにアップされていたので、貼っておきます。
私もこれを見ていたのですが・・・、「うひゃー、ぶっとんでるなー! バ・ク・ハ・ツ~~!」と、ちょっとおでこに汗がにじむような感じがしました(汗)。
ライブ終了後、革命アイドル暴走ちゃんは、お客さんとハイタッチしながら会場を走り抜けていきました。(一人だけラッキーなお客さんがいて、メンバーさんの一人からペンライトをもらっていた! 良い記念になるだろうなぁ)
最後は、本堀雄二さんの作品「捨てる紙あれば、拾う神あり」。
薬師三尊像と十二神将です。
なんと、この作品、横から見ると・・・、
段ボールなのです!
作品名「捨てる紙あれば、拾う神あり」。
ダジャレかいな(笑)
段ボールを何枚も奇麗にカットして、立体的にしている技術は神業ですね。
どの仏様にも、心臓のように真ん中に玉をうめているとおっしゃっていました。
ちなみに、本堀さんの作品は、来館者が一人一票ずつ投票する「お気に入り作品を選ぼう」で、来館者からの人気ナンバーワンとなったそうです。
25組の中から9作品を抜き出して載せましたが、どれも個性的で、美しくて、面白くて、爆発していました。
最終日に訪れて、ギャラリートークイベントで作者の話を直に聞けたのは、本当に良い体験でした。
作品がバラエティに富み、素晴らしく刺激的であったことに感動したのはもちろんですが、それを生み出す「ヒト」がおもしろいし、想像・創造の力は素晴らしいなぁと思いました。
「美術館」や「芸術賞」というと、「よくわからないし、難しそうだから」と、なかなか足が向かない方もいると思うのですが、岡本太郎現代芸術賞は写真撮影OKですし、作者さんが解説&質問に答えてくれる「ギャラリートークイベント」があるので、興味を持った方は、ぜひ訪れていただきたいです。
人間のパワーってスゴイ! おもしろい!
そう感じた、第22回 岡本太郎現代芸術賞でした。
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