「フード・インク」ご飯が危ない。買物は選択である。一噛みで社会が変わる。

今日取り上げるのは、「フード・インク」という2008年のアメリカ映画です。

アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネート作品。

ご存知の方、いるでしょうか。

 

この映画はアメリカの食品業界の話ですが、日本に住む私達に関係の無い話ではありません。

現在輸入食材がスーパーに溢れていますし、TPPで外国産の食品がもっと私達の食卓に上るようになるでしょう。

食に関心のある方、家族の健康を考えているお母さん・お父さん、学校給食関係者に、ぜひ見てもらいたい映画です。

特に「安い商品が大好き」という方、その安さはどこから来ているのかを知る良いきっかけになるでしょう。

 

安さにはワケがある。

さて、スーパーで買物をする時、商品を選ぶ基準は何でしょうか。

どこの産地か、旬のものか、色艶がいいか、値段は安いか・・・と判断基準はいろいろありますね。

 

食肉について取り上げれば、国産のものもあれば、米国産・カナダ産・オーストラリア産・ブラジル産などあります。

牛肉・豚肉はアメリカ産、鶏肉はブラジル産が安いですね。

 

なぜ安く提供できるのか・・・コストを徹底的に削減して効率性を上げた企業努力ももちろんあるでしょうが、消費者にあまり知られたくない「裏事情」もあります。

それをこの映画は教えてくれます。

 

 

アメリカの牛肉市場をとりあげると80パーセント以上を、タイソン、カーギルなどの大手4社が占拠しています。

そこには牧場なんてありませんし、カウボーイもいません。牛は牧草を食べません。餌には安価なコーンが与えられています。

鳥、豚、牛、魚・・・と、なんにでも安価なコーンが餌になりますが、牛は本来草を食べる生き物なので、コーンを食べるようにはできていません。

けれども安く育てられるので、食べさせるのです。

コーンは安い上に、栄養価が高いので、牛はすぐに太ります。コーンの多い飼料を与え続けられた牛の体内で、普通の大腸菌が耐酸性を持つようになり、危険な大腸菌「O-157」に突然変異を起こすそうです。

牛は狭い飼育場の中でギュウギュウに入れられているので、一日中自分達の糞尿の中に立っています。

処理場についた頃には、体は糞まみれ。

流れ作業ですばやく解体される牛肉は大腸菌類で汚染され、消費者の口に入ることになります。

アメリカではハンバーガーのパテに混入した有害な大腸菌で男の子が死亡する事件が起こりました。

ハンバーガーのパテには、何千頭もの牛のひき肉が使われます。

生産場、加工工場ともに大きくなり過ぎたため、たった一頭の感染でも汚染が拡大するのです。

男児の死亡事件の後、食肉業者は牛の飼育方法を改めたり環境を改善するのではなく、肉をアンモニアで殺菌する方法を選びました。

 


アンモニアで殺菌され、色が変わりボロボロに崩れた食肉。

 

 


アンモニア殺菌された何千頭もの牛のひき肉が、ハンバーガーのパテになります。

こうやって、安価で殺菌された安全(?)な肉で、安いハンバーガーが作られます。

でも消費者は知らないのです。糞尿まみれの不衛生な環境で、本来食べない餌を食べさせられて育ち、食肉解体後にアンモニアで肉が殺菌されていること、数千頭もの牛の肉がミックスされていることを。

おいしそうなハンバーガーの写真と、手ごろな安い値段と、「みんな食べているから大丈夫」「こどもの頃からあるから大丈夫」「世界中に店舗があるから大丈夫」・・・と、信頼して買い、食べ、子供にも食べさせます。

 

 

次に鶏肉。普通70日で出荷するところ、48日で出荷、よく太り大きさは二倍。胸肉が好まれるので、胸の大きな鶏を作ります。

雛から食肉になる日まで、鶏の所有者は農家ではなく、タイソンなどの大企業です。

鶏は太陽に当たらず、いつも薄暗がりにいて、外に出されることはありません。

病気を防ぐために飼料の中に抗生物質を入れるので、それを食べて育った鶏の肉にも当然抗生物質は含まれています。粗悪な環境で育った鶏は48日経つと病気であろうが、全て食肉業者に回収されます。

育った鶏を回収する作業員は、昔はアフリカ系アメリカ人の仕事だったけれども、現在は南米の不法就労者が行うことが増えているそうです。

不法就労者は何の権利も無いので、安く使えるし、不平も言わないので、大企業には使いやすいのです。

農家は大企業に借金をして設備を整えているので、大企業に逆らえません。逆らうと契約解除を言い渡されるからです。

そうやって大企業は農家を牛耳り、お金を吸い上げ粗悪な環境で育った食肉を安く売るのです。

もちろん育った環境や使用された薬品については公開しません。

アメリカの平均的な養鶏農家の借入金は50万ドル以上、年収はおよそ1万8000ドル。

・・・これじゃ借金は返済できません。一度初期投資をすれば、後は企業の言いなりになるしかないのです。

 

 

コーン畑でも不法就労者が雇われています。

摘発される時は雇っている企業ではなく、労働者が取り締まられます。企業は罪に問われませんし、逮捕される従業員を守りません。

こんなに大手企業は問題だらけなのに、野放し状態です。

なぜかというと、食品を監視する立場の人間や裁判官が、大企業から来た人間で、それらの人間は時には政権にまで影響力を持つため、管理すべき企業に管理されるという不思議な構図になっているからです。

だから、企業は正されないのです。

 

 

アメリカの「病巣」はまだあります。

 

アメリカでは小麦・コーン・大豆などには助成金があるので、それらでできている高カロリーなスナックや清涼飲料水、ジャンクフードは生野菜を買うより安く手に入ります。

そのため、低所得者ほど肥満という不思議な現象が起こり、彼らはだいたい糖尿病を患っています。

2000年以降の、米国人の3人に1人は糖尿病予備軍だそうです。

安く手に入るスナックなどを食べて肥満になり、病気になり、薬代金の支払いに困るという悪いサイクル。

医食同源」とは、まさにその通りですね。

健康的な生の野菜が手に入りやすいシステムを作らなくてはいけません。

 

 


農家が決めることを、遠い都市の重役室で決められているのが問題

これらの利益優先大企業とは全く違うやり方で、農場を経営している人がいます。

ポリフェイス農家のJ・サラティンです。

彼は「大企業はより速く、より大きく、より安くばかり考えていて、大腸菌や糖尿病、生態系全体の健康のことを考えていない」と言います。

本来、農家が決めることを、遠い都市の重役室で決められているのが問題。牛には草が基本で、コーンも死んだ牛も鶏糞も食べない。コーンを餌にすると収穫と輸送の手順が要るし肥やしの始末も必要だけれど、草原で育てれば牛の糞で草が育ってその草を牛が食べ、無駄なく循環する、と。

 

開放型の農場で育てられた肉の細菌は平均して133CFU/mlだったのに対し、店で買ってきた肉は平均3600もあったそうです。

ポリフェイス農家の卵は1ダース3ドル。

スーパーで買うよりも高い卵。

それを、75セントのソーダを飲みながら「うそだろ」と値段の高さに驚く客。

 

 

健康的に育てられた鶏からとれた卵は買わないのに、砂糖だらけの安いソーダにはお金を払う。

 

私達消費者は、買うことで、選択しているのです。
買うことで、会社を支えているのです。

 

粗悪な環境で育てられ作られた粗悪な食品がスーパーに出回り、企業が大きくなるのは、消費者が安いものを求めた結果なのでしょう。

 

 


遺伝子組み換え大豆

映画は続けて化学薬品会社モンサントの遺伝子組み換え大豆についても取り上げます。

モンサントはDDTや除草剤、ベトナムの枯葉剤を作った会社です。

除草剤ラウンドアップの耐性を持つのが遺伝子組み換え大豆で、これにより大豆の生産があがりました。

1996年にモンサントが耐性大豆を売り出した頃、特許遺伝子を持つ大豆は全米の2%にしか過ぎなかったのが、2008年には90%を占めるほどにまでなったそうです。

収穫した種を、農家が保存することはできません。

モンサントに特許があるからです。

偵察チームを全米に放ち、種子の保存をしないように農家を監視しています。

モンサントには、農家の調査と訴訟に専従する75人のスタッフがいるそうです。

調査員は体格が大きくて威圧的で、元軍人か警官かもしれないそうです。

モンサントの支配は強大で、種子からスーパーまで彼らが大豆を握っています。いまやアメリカのスーパーで扱われている加工食品の70%に組み替え素材が入っています。

企業は成分を隠すだけでなく、製品を批判することさえ違法行為にしてしまいました。

「風評被害法」です。

日本でも良く聞きますよね、「風評被害」。

放射能汚染の食べ物もそうだし、火山の噴火が起これば風評被害で観光客が来なくなる・・・とか。 ニュースで耳にした方は多いはずです。

金儲けの邪魔になるので、悪い噂をいやがるのです。

 

アメリカのハンバーガーのパテ汚染で、テレビ司会者のオプラが「バーガーが食べられなくなったわ」と発言したことで、テキサスの牧畜業者が風評被害でオプラを告訴しました。(6年の歳月と100万ドルの費用をかけて、オプラ側が勝訴)

 

大企業は弁護士軍団を抱えており力もお金もあるので、「製品の粗悪さを訴える消費者を逆に訴える」のです。

一般の消費者は提訴されることを恐れて、何も言えなくなります。

社会で力を持つものは、お金をたくさん持っているもの、ですからね。

汚い儲け方であろうが、お金持ちには勝てません。

それが私達が身を置く哀れな社会システムです。

 

最後に映画はこう締めくくります。

 

消費者は自分に影響力があると思っていない。

企業から差し出されたものを消費するだけだと思っている。

これは全く正反対だ。

商品をレジに通す時、それが地産か有機か選んでいる。

システムを変えるチャンスが1日に三回ある

労働者や動物に優しく、環境を大事にする企業から買う。

スーパーに行ったら、旬の物を買う。有機食品を買う。成分を知る。ラベルを読む。地産食品を買う。農家の直販で買う。

家庭菜園を楽しむ。

家族みんなで料理を作り、家族そろって食べる。

健康な食品は私達の権利。

健康な給食を教育委員会に要求する。

食前の祈りなら、食べ物にささげよう。私達とそしてこの惑星の健康をお守りくださいと。

世界は変えられる。

一口ずつ。

 

 

 

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