前回の記事【夫の入院で、改めて日常生活のありがたさを学ぶ。「病気のトリガーを引くのは、私達の心なのかもしれない」】では、病気に対する別の見方について、リンクをたくさん張りました。
なんか新しい情報だなぁと思ったのですが、新しいのではなく、もともとの見方なのかもしれませんね。
昔の人は、体調を悪くしたらすぐにお医者さんに診てもらったわけではないし、こんなに合成された薬品を、たくさん処方されて飲んでいたわけではないので。
一月の下旬に「9割の病気は病気ではない!」という本がパッと目に付いたので読みました。
タイトルがけっこうショッキングなのですが、岡本裕さんという、eクリニックのお医者さんが書いた本です。
お医者さんが「9割の病気は病気ではない!」というのですから、どんな内容なのかなぁと読むと、とっても面白い。
興味のある子は、中学生くらいからスイスイ読んじゃうんじゃないかと思うような、読みやすさです。
本に興味を持ってもらいたいので、内容をちょっと抜き出します。
・2010年4月のロイター通信が「良質で手ごろな医療の受けやすさ」のランキングを発表していて、日本は先進22カ国中、最下位であると報じている。
・うその病気が蔓延していて、忙しすぎる医療現場のあおりを受けて、医療の質が落ちている。
・うその病気とほんとの病気の仕分けをしっかりと行い、もともともっている医療の潜在能力を活用することで、健康寿命を最大限に引き伸ばせる。
・「医療仕分け」「病気仕分け」は、政府に任せるのではなく、私達国民一人一人が自分自身のためにやる。
・うその病気が多すぎて、自分のやりたい本当の医療が出来ない医師がいる。
・医者が増えると、医療費は高騰し、国民の負担が増える。増えた医者の分だけ「分け前」を増やす必要があるので、病人を増やさないといけない。皆さんの誰かが「人身御供」よろしく、病人(犠牲者)に仕立て上げられる悪循環が繰り返されている。
・誤解を恐れずにいうと、外来患者10人に9人は、押しなべて来なくてもよい人。来なくてもいいというのは、来ないほうが得をするという意味。
・医師法第19条に「診療に従事する医師は、診療治療の求があった場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない」と明記されているので、病院に来た患者を医者が帰すことは出来ないので、嘘の病気の患者を診なくてはならない。
・診療報酬制度があるので、医者も稼ぐ必要がある。医療が薄利多売の構造になっている。
本への興味がわいてきたでしょうか?
医者にとってありがたい嘘の病気は、
・高血圧
・2型糖尿病
・脂質異常症(高脂血症)
・メタボリックシンドローム
・不眠症
だそうです。
これらは40歳をすぎれば、ほとんどの人が検診で指摘され、「たいそうな病名」をつけられて病人に仕立て上げられ、病名が付いたからには、お薬の処方と検査を、定期的に何度でも行って稼げるのだそうです。
岡本医師は、このことについて、こう書きます。
「こういったありがたい、元気でなかなか死にそうにもない患者さんを数多く確保しておくだけで、病院やクリニックの経営は非常に安定します。したがって、元気で死にそうにないありがたい患者さんは、どこの病院やクリニックでも引っ張りだこになります。いっぽう反対に、明日の命はどうなるかわからないホントの病気は敬遠されることになります。」
医師はこのような悪循環に陥って、時間に余裕がなくなり、心が余裕になくなり、新しい発想も出来にくくなり、頑迷になっていくそうです。
岡本医師の言う「ウソの病気」とは、「医者がかかわってもかからわなくても自分で治せる病気。命になんらかかわらない病気」のこと。
対して「ホントの病気」とは、「医者が関わらなくてはならないか、医者が関わると格段に治る確率が高まる病気。ややもすれば命に直結してしまう病気」のことだそうです。
この仕分けを、患者一人一人が自分でやるべし、と言っておられるのです。
「風邪を引いたら病院へ・・・」「なんだか具合が悪かったらとりあえず病院へ・・・」と、習慣化させてしまっている人は、かなり多いのではないかとおもいます。
私の母親もそんなタイプで、子どものころに風邪を引くと決まって病院に連れて行かれました。
熱があってダルイのに移動しなきゃいけないのは、とってもしんどかったし、待ち時間が長いのもイヤだったし、痛いことされるんじゃないかと恐かったし、お決まりのように貰う薬は苦くてイヤでした。
もう、ストレス。
ただ、ゆっくり、家で寝ていたかった・・・。
というわけで、大人になってからカゼで病院に行ったことはありません。
子供達に熱があっても、御飯を普通に食べて機嫌良くしていたら、病院に連れて行きません。
40度近くの熱でも、一晩様子を見ます。
病院に連れて行くのは、40度を超えてからか、激しい嘔吐や血まじりの排泄物が出ているか、意識がはっきりしてなくてヘンな時、と決めています。(注意:私は、の話です。人に押し付けているわけじゃないので、自分で判断を。)
というのも、私自身子どものころ、41度の熱を夜中に出して、熱痙攣でブルブル震え、白目になったことがあるそうですが、母親が父親に「高熱があるから今すぐ夜間診療に連れて行って」とお願いしたのに起きてくれなかったそうで、私は一晩氷嚢で過ごしました。
翌朝には、ケロッと治っていたそうです。
この経験から「一晩の41度くらいまでの高熱は、大丈夫なんじゃない?」と思いましたし、ノロのような急性胃腸炎の時も、激しい頭痛のする風邪(息子がインフルエンザと診断されていたので、私もインフルエンザだったと思う)も、腎臓の痛み&膀胱炎&高熱の時も(後に勤務先の泌尿器科医に見てもらったところ、「腎盂腎炎だったんじゃない? 免疫で治したんだね」と言われた)もあり、「しんどい時は、動かない。家でじっと寝てる。御飯もあんまり食べない」という、野生動物みたいな過ごし方をしています。
だいたい、これで良くなっています。
このあたりが、岡本医師の言う「ウソの病気。病院に来なくていい9割の人」なんでしょうね。
我が家の毎年の医療費は、1万円未満です。(自己負担金額)
夫の花粉症治療と、息子の登校許可証のいる病気(インフルエンザ、水ぼうそうなど)くらいで、私自身の医療費は妊娠出産の時くらい。
岡本医師は、ホントの病気の原因は、
・食生活の乱れ
・過労
・心労
・たばこ
・アルコール
・薬の飲みすぎ などなど
である、としています。
「おいしい患者は、医者と薬に頼る。自分が主治医だという自覚を持ち、いたずらに主治医に依存することなく、もちろん自助努力も怠らないことがサバイバルを果たす一つの大きな条件である」
と、岡本医師は言います。
ガン患者の特徴についても語っておられ、後悔と自責の深みにはまった、打たれ弱いデリケートな人に、多いそうです。
「おもしろきなき世をおもしろく」生きることの大切さを説き、ストレスが病気のもとになるので、心のあり方、心の持ちようが健康に生きるポイントであるとし、心を軽くするお話へと続いていきます。
以前TVのニュース番組で、「現代人は、死ぬことに対して、異常に悲しむ人が増えた」と、お医者さんが語っていたのを思い出しました。
病になるのは誰にでもあることですし、生まれたからには遅かれ早かれ当然死にます。
現代社会は、病気の治療と生き死にを、医者に委ねすぎてしまっているのではないか・・・、と思います。
前回の記事で、「病気のトリガーを引くのは私達の心なのかもしれない」とIn Deepさんの記事を紹介しましたが、かなり精神修行が必要になるなぁ・・・と、思います。
なので、まずは、
・食事、運動、睡眠など、自分の生活を健康的に変える。
・困ったことは、上手に乗りこえて、ストレスを溜めない。
ことから意識を変えて、自分の体と対話する習慣を身に着けていけば良いのではないかな・・・と思います。
小児科の先生は、母親に「お子さんの様子は、いつもと違いますか?」と質問しますね。
あれはたぶん、「母親のカン」を信じているのだと思います。
もともと、人間には「カン」が備わっているのだと思います。けれども、他人に依存することで、鈍るのではないのかな・・・と思うのです。
ですから、自分と家族の「いつもの調子」に意識を向けて、バランスをとることが大切になってくると思います。
とても、読みやすい本なので、興味をもった方はぜひお読みください。