前回(妊娠と出産 ソフロロジー式分娩、陣痛促進剤で息子を出産 初めての出産と、過強陣痛について)の続きです。
私が無痛分娩を選んだ理由
2年ごとに子供を産む予定だったのが、息子の出産が長時間で大変苦痛であったため、出産が恐くなり、第二子は伸ばし伸ばし・・・になってしまいました。
そんな私達ですが、5年後に第二子(次は女の子)を授かることができました。
妊娠中の検診と出産は、自宅から徒歩でいける距離にあった神奈川県 大和市 南林間の愛育病院でした。
少し離れたところに市民病院があり、そちらのほうが検診費用・出産費用が安かったので迷ったのですが、車の無い私達は、徒歩で通える病院のほうが便利でしたし、愛育病院には、診察中に無料で子供を見てくれるキッズルームがあったため選びました。
しかもこちらの病院、無痛分娩を推奨しているところで、先生のお話では日本で一番無痛分娩を扱っているとのこと。
静岡県から高速道路を利用して来る方や、在日米軍兵の奥さんが出産医院として利用するんだとか。
南林間愛育病院での出産のうち、約8割が硬膜外麻酔による無痛分娩だそうです。
出産は痛みが少なくラクなほうが良い・・・そう思って、無痛分娩の説明を聞きましたが、迷いました。
無痛分娩は、基本的に計画出産となり、陣痛促進剤とセットだったからです。
息子出産時に陣痛促進剤を使用し、予定量の半分くらいで過強陣痛になってしまった私にとって、できれば使用したくない薬剤でした。
けれども、その不安を取り去ってくれたのは、担当医師の丁寧な説明でした。
カルテに、前回の出産で陣痛促進剤を使用して辛い目にあったことを記載し、量を調節しながら投与するので大丈夫ですよ、と安心させてくださいました。
付け加えて、分娩日を決められる計画出産は、幼稚園児がいる我が家にとってメリットが多い方法でした。
計画無痛分娩。私の体験。
妊娠36週以降の毎週の検診結果から、お産に適した時期を計算してもらいます。
だいたい1週間ほどの幅があり、いつ分娩するかは病院のベッドの空きと自分達家族の都合で調節します。
私は月曜日に分娩することになったので、前日のお昼過ぎに入院しました。
できれば陣痛促進剤を使いたくなかったので、分娩予定日一週間前から「月曜日にスルンって生まれてきてねー。お願いよ~~。できれば陣痛促進剤使う前に、陣痛来てくれないかなーー・・・」
と、お腹をさすりながらお願いしていました。(本当に出産が恐かったです)
息子を出産したクリニックは個室入院でしたが、愛育病院は入院費用がちょっと割高な上、計画無痛分娩は追加料金が10万円くらいするので、部屋使用料金がかからない5~6人部屋に入院しました。
南林間愛育病院の個室は一泊2万円です。5日入院すると、部屋代だけで10万円。結構な出費ですが大人気で、個室に空きはほぼありません。
分娩前日の処置は、分娩監視装置で胎児の心拍パターンと子宮の収縮状態を確かめます。
その後、内診で子宮口の開きを見てもらいます。(膣に指を入れて子宮口の開きを見る)
結果は「うーん・・・微妙だなぁ。ミニメトロがいらないような、いるような・・・。一応、入れておきましょうかね」とのことでした。
ミニメトロとは、生理食塩水が入った小さなゴム風船で、子宮口を広げる役割を持っています。
挿入する時は全く何も感じなかったのですが、1時間ほど経つとジワジワと生理痛のような痛みがやってきました。
お腹ちょっと痛いなーと思いながら、食堂で出産予定の方達・すでに出産した方達と一緒に御飯を食べました。
愛育病院の御飯、とても美味しいんです。
お腹痛いなぁ・・・と時々箸が止まるものの完食。(個室入院の場合、部屋で食べれますが、相部屋・大部屋は食堂です)
食後、トイレに行って小用をすると、膣にヌヌヌヌと妙な圧迫感を感じました。
それから、
ツポン・・・
と、トイレに何かが落ちた音。
ナニ、コワイ・・・。
腰を上げて便器を見ると、うっすらと血のついたピンク色の水風船(ミニメトロ)が浮かんでいました。
わ、抜けちゃった、いいのかな? と、動揺。
まるで、卵を産んだような感覚でした。(赤ちゃんもこんなふうにツポンと生まれてくれたらラクなんですけどね)
トイレには電話がついていたので、ミニメトロが抜けたことを連絡すると、汚物入れに捨てておいてくださいとのことでした。
ミニメトロ挿入後、三時間で抜けました。
先生が「微妙」と表現したように、結構良い具合にお産に向けて子宮口が開いているもよう。
あーー・・・明日陣痛促進剤かぁ・・・。恐いなぁ・・・。でもやっと赤ちゃんにあえる・・・。長男、家で寂しがってないかなぁ・・・。
その夜は、下腹部の鈍痛に時々目が覚めながらも、十分寝ることができました。
(息子の時は眠れなかったので、とても疲れました)
翌朝、月曜日。
朝御飯なしで、6時ごろから出産準備開始です。
分娩室に行くと、まず浣腸をされます。その後、分娩監視装置を着けて、ベッドに横になります。
同日分娩する方が他に4人いて、カーテンで仕切られた両隣のベッドにいるようでした。
助産婦さんとの会話から、どちらも私と同じ経産婦だということが分かりました。
二つ離れたベッドでは、その日の朝に陣痛が来て急遽来院した人の出産が始まっていました。
すぐに麻酔が効くわけではないので、「痛い、痛い!」と苦しむ声が室内に響き、私も思わず「ガンバレッ!安産でありますように」、と祈りました。
陣痛促進剤の投与は、8時半に先生に診てもらってから開始する予定でしたが、7時半ごろ、私の体に異変が起こりました。
ジワーーーーとなんだか温かい水が膣から出て来たのです。
ん・・・・?
ひょっとして破水した?????
助産婦さんに知らせると、
「たぶん、おしっこだと思います。もうすぐ先生が来ますから、見てもらいましょうね」
とのこと。
おしっこ?
いやいや、たぶん破水だな・・・。(だとすると、陣痛促進剤打つ前に、もう私のお産が始まっちゃったのかな??)
頭の中に?マークがたくさん浮かびましたが、とりあえず分娩台にいるし、助産婦さんも忙しそうだったので先生を待つことに。
(その間も、キューッ・・・とゆるい陣痛が来てました)
8時半を過ぎた頃、先生が来て私の股を見て、
「あら、破水してる?」
と一言。
そう、やっぱり破水だったのです。
通常は人工的に破水させてから、陣痛促進剤を投与するそうですが、一足早く破水と陣痛が来たのでした。
「この様子では陣痛促進剤の使用は無くてもよさそうね」となり、私はそのまま硬膜外麻酔の処置をされました。
ヤッターーー!!! 陣痛促進剤、しなくて済む! ありがとう●●ちゃん!!
(息子の名前は産後決めましたが、娘は妊娠六ヶ月で名前が決まってました)
恐れていた陣痛促進剤を使用しなくても済んだのは良かったのですが、硬膜外麻酔をする前から、お産が進んでいたので、それなりに痛かったです。
おでこと首に汗が滲み、今回も出産に立ち会ってくれた夫が拭いてくれました。
陣痛の波が来るたびに、私の頭の中にはソフロロジーの音楽が流れていました。
5年前の出産で全く役に立たなかったあの音楽が、5年ぶりに大活躍したのです。
鼻でスーーーと吸って、ふぅ、ふぅ、ふぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・と口から長く吐きます。
そうすると、痛みを上手く逃がせるし、呼吸に集中して余計な考えや不安な気持ちから遠ざかれるのです。
ジワジワと汗が滲むような、上腹部痛こそありましたが、下腹部の痛みはあまりなく、膣に指を入れられて子宮口を計測されるのも何も感じませんでした。
3時間ほど痛みを逃しながら過ごしていると、「そろそろいきんでみますか」と助産婦さん。
「目を開けてふううううう、と息を吐きながら上半身を起こして、いきんでください」
と言われました。
ふうううううううう・・・・・!!
「あー、じょうずじょうず、とってもいいですよ。もう一回いきましょう」
ふうううううううううう・・・・・!!
「あーー、いいです、いいですよ。あともう一回で生まれそうですね」
え?(まだ二回しかいきんでないのに?)
「先生を呼んできますね」
と離れる助産婦さん。(この間にムービーカメラをかまえる夫)
先生がやってきて、私の下半身をチェックし、
「会陰切開しなくてもよさそうですね。このまま行きましょう。はい、いきんでぇ」
(これが最後だッ!と気合入れて)
ふううううううううう・・・・・!!!!!!!!!!
ヌルルルルン
「ボ・・・・・オギャーーーーオギャーーーー!!!」
と、産声が聞こえたのでありました。
その瞬間、全身がブルブルッと震えて、
「ヒッ、ヒッ、ヒッ・・、あ、あ、あ、あ、ありがとうございましたっ」
とこみ上げてくる嗚咽と涙の中、先生と助産婦さんに、お礼が言えたのでした。
(夫も泣いたらしい)
実に感動的なお産でした。
ぐあああああ、があああああ!!!と仰け反って、汗だくになって、頭がフラフラして、死ぬんじゃないかと恐怖に震えた息子の出産とは、別次元のお産でした。
5年間「出産こわい、もうイヤだ・・」と胸に抱えていた恐怖が、パーーーッと昇華された瞬間でした。
第二子の分娩所要時間4時間半。出血量70ml(長男出産時は37時間で出血700ml。数字だけでも、どれだけラクだったかわかっていただけるかと思います)
会陰は切開しなくて済んだものの、小さな傷がいくつかできたようで、3箇所ほど縫ったそうですが、麻酔が良く効いていたので全く痛みは感じませんでした。
産後は確か40分近く、私・夫・娘の三人でいさせてもらえました。(息子は幼稚園)
大大大満足の愛育病院の出産でしたが、唯一つ残念だったのが、母子同室ではないこと。
赤ちゃんは新生児室で他の赤ちゃんと共に管理され、決められた授乳時間にしか抱っこできないのです。
ゆったり休めるというメリットはあるのですが、他にすることが無いため、やたらに産後のお腹の痛みを感じることになり、辛かったです。
新生児室に寝かされている赤ちゃんをガラス越しに見るのは、寂しかったです。
抱っこしたいのに、抱けない。決められた授乳時間以外に赤ちゃんが泣くと、人工乳が与えられるのです。
あー、抱っこしたい! オッパイあげたい! 匂い嗅ぎたい!! ちっちゃい指をいじりたい!
でも、ずっとそこにへばりついているわけには行かないので、スマホで写真を撮り、部屋で心を慰めました。
そのため退院日はとても嬉しかったです。
「生みの苦しみ」と、「子供への愛情」は関係ないと、私は思う
「生みの苦しみ」と言いますが、お産はラクなほうが良いです。
第一子出産は痛みと疲労にフラフラでしたが、第二子の分娩は出産中も意識がはっきりしていたし、冷静でいられたし、産後は世界がキラキラ輝いているようにさえ思えました。
文句なしに最高の1日だったのです。
「麻酔して産む? ラクして産むのはけしからん」とか「お産の痛みを乗り越えてこそ母」など心無いセリフに傷ついた人、そのような意見を恐れて、選択肢から麻酔を外している人もいるかと思います。
親戚に帝王切開で産んだ人がいますが「普通に産んであげたかった」と言っていました。
本来お産は幸せであるはずなのに、「経膣分娩・自然分娩」から外れてしまったがために、心にモヤモヤを抱き続ける母親がいるかと思うと、あまりにも気の毒です。
過強陣痛でヒーヒー苦しみながら産んだ息子と、無痛分娩でスルリと産んだ娘、どちらに対しても愛情は変わりません。
子供に対する愛情が、産みの苦しみに比例するだなんてウソですし、酷い痛みに耐えたからこそ、立派な母親になれる、だなんてこともありません。
ぜひ、言わせてください。
お産は、ラクなほうが良い!
さらりと書くつもりだったのに、もうそろそろ5,000文字になろうとしているので簡単に言いますと、無痛分娩は「無痛」ではありません。
「和痛」です。
お産の痛みは麻酔で抑えることができます。
ギャーーーとか、ああああ!と、叫ぶこともほぼありません。
けれども、うーーーっと、唸りたくなるくらいの痛みは感じます。
(人によって多少の違いはあります。左隣りの奥さんは、分娩間近なのに旦那さんと雑談して笑ってました)
今回も長くなってしまいましたが、私の経験が少しでも参考になればうれしいです。
良いお産ができますように。
(2017年4月20日追記)
→麻酔使った「無痛分娩」で13人死亡…厚労省、急変対応求める緊急提言 ヤフーニュース
2017年4月17日に、ヤフーニュースでこのような記事が載りました。
・2010年1月から16年4月までに報告された298人の妊産婦死亡例を分析。無痛分娩を行っていた死亡例が13人(4%)あり、うち1人が麻酔薬による中毒症状で死亡、12人は大量出血や羊水が血液中に入ることで起きる羊水塞栓(そくせん)症。
・国内の無痛分娩は近年、増加傾向にあり、データ上、無痛分娩で死亡率が明らかに高まるとは言えないという。ただし、「陣痛促進剤の使用や(赤ちゃんの頭を引っ張る)吸引分娩も増えるため、緊急時に対応できる技術と体制を整えることが必要だ」
「無痛分娩 デメリット」や、「無痛分娩 危険」などの検索ワードで、いろんな記事が出てきますので、総合的に判断してください。
私は無痛分娩でデメリットを感じませんでしたが、「皆そうである」とは限りません。
(追記)
出産費用ですが、国から出る出産育児一時金に自分達で20万円くらい補填するような金額です。個室入院、帝王切開、時間外などの追加費用で金額は変わります。
「母親とはトレーニング中の天使である」
育児は、育自。
辛いこともあるけれど、がんばりましょう!
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みんな、好きなことはバラバラで、役目もバラバラ。
子供には、好きなことをさせてあげてください。
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