前回からの続きで、東京都日野市の「新選組副長 土方歳三(ひじかたとしぞう)」巡りの紹介です。
土方歳三の兄の子孫が運営する【土方歳三資料館】の次は、土方歳三の引き墓(供養のためにつくられた墓)がある石田寺(せきでんじ)を紹介します。
参拝記
石田寺(せきでんじ)は、万願寺(まんがんじ)駅から徒歩8分の距離にあります。
多摩都市モノレール線 万願寺駅ホームで撮った写真。写真中央に写っている夢庵日野石田店のすぐ近くに、土方歳三の生家跡があります。
前回紹介した、【土方歳三資料館(土方歳三の生家跡)】から石田寺へのルート。600mほど離れており、徒歩7分です。
道中、「石田寺(土方歳三の墓)」の道しるべが立っているので、マップを見なくてもたどり着けました。
ちなみに、付近は「土方」の表札を掲げた家がたくさん建っており、土方家は武蔵多摩郡日野郷石田村(現在の東京都日野市石田)に長く根付いていたんだなーと思わせます。
「土方」という苗字自体は古くは後北条氏に仕えた武士集団にルーツがあり、土方歳三が活躍した幕末では石田村は全戸(十四、五軒)が土方姓であったようです。今も日野市石田にたくさん住まわれている多くの土方さんは、後北条氏に仕えた武士集団にルーツをもつ子孫だということになります。
石田寺(せきでんじ)に到着。
宗派は真言宗。愛宕山地蔵院石田寺と言い、高幡山金剛寺の末寺です。
訪れたのは9月半ば。サルスベリが美しく咲いていました。名前の由来は、木登りが上手なサルでも、滑り落ちるほど樹皮が滑らかという例えから。花が咲く期間が長いことから、ヒャクジツコウ(百日紅)の別名もあるようです。
愛宕山(あたごさん)の文字。
桔梗紋と千社札。
本堂。
寺の創建は、南北朝時代の康安元年(1361)、吉祥坊慶興という僧が建立。しかし永和3年(1377)頃から衰えて一時は廃寺に。百数十年後の天文13年(1544)7月9日、多摩川に大洪水が起こり、一体の観音像が石田に流れ着き、村人が廃寺になった堂跡に観音堂を建てて安置。文録2年(1593)に慶心という僧が一宇を建立して「石田寺(せきでんじ)」と号した、というのが寺の歴史なのだそう。
北向観音堂。
天文13年(1544)7月9日、多摩川の大洪水で流れ着いた十一面観音像を安置しています。この観音像が現在の石田寺再興のきっかけ。毎年10月17日に観音祭りが行われるそうです。
光輪堂。福禄寿・諸尊を祀るお堂で、毎年1月元旦から7日まで日野七福神めぐりが行われるそうです。
石田寺(せきでんじ)のお参りを終え、ここから新選組鬼の副長といわれた土方歳三巡りです。
この「明治百年祭り 土方歳三義豊之碑」は、早くに両親を亡くした土方歳三の親代わりでもあり家督を継いだ兄の喜六の曾孫にあたる土方康さんが、昭和43年(1968)に明治100年を記念して建立したもの。
すぐ近くにある土方歳三資料館の現館長である土方愛さんは、康さんのお孫さんです。
「土方歳三墓所 →」の案内がありましたが、石田寺は土方家のお墓だらけで、少し迷いました。
お墓の写真を撮るのはやめておこう、ということで写真は撮らず、お参りだけさせていただきました。
前回の記事でも書きましたが、土方歳三は東京都日野市石田村生まれ。京都で治安維持に努める「新選組」を結成し、鬼の副長と恐れられましたが、幕末1869年の函館戦争(戊辰戦争最後の戦地)で、35歳の若さで、北海道函館市の五稜郭にて戦死しました。
遺体は五稜郭に埋められたとも、函館市内の寺に葬られたとも言われており、正確な埋葬地は不明です。石田寺にある土方歳三の墓は引き墓(供養のためにつくられた墓)です。
土方歳三の戒名は「歳進院殿誠山義豊大居士」。
土方家の菩提寺は【高幡山金剛寺(高幡不動)】で、歳三の位牌も金剛寺本堂の大日堂に納められているようです。土方家の墓所がある石田寺は、金剛寺の末寺にあたり、ここに土方歳三義豊の墓石も立てられたのだそうです。
土方歳三ファンは、下の三か所も巡りましょう!
→→【土方歳三資料館・土方歳三生家跡】 新選組鬼の副長「土方歳三」の兄の子孫が運営。2022年11月末で長期休館・・・東京都日野市。土方歳三が生まれたところ。
→→【五稜郭(ごりょうかく)】 五稜郭タワーから見る五芒星の要塞が美しい! 土方歳三が死んだ「函館戦争」の中心地・・・北海道函館市。土方歳三が亡くなったところ。
→→【高幡不動尊金剛寺の灌仏会(花まつり)4月8日】 関東三大不動で、新選組土方歳三の菩提寺。 「藤蔵・勝五郎生まれ変わり物語」がある・・・東京都日野市。土方家の菩提寺で、歳三の位牌が納められている。
お墓に「お願い」があったので載せておきます。
- 近所の墓所などに荷物などを置かないでください。
- お線香は一束丸ごとではなく、数本ずつお使いください。
- ゴミは各自お持ち帰りください。食べ物のおそなえは御遠慮ください
最近、一部の心ない方々のマナー違反により、このままでは墓所を一般公開することが難しくなってしまいました。どうぞ皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
グーグルマップの口コミ欄に書いてあった情報ですが、「ファンの方が土方歳三のお墓の石を削って持って行かれてボロボロになってしまったので、このお墓は近年新しくした」 のだそうです。
土方さんを想う熱い気持ちは痛いほどわかりますが、墓石を削るなどの破壊行為は断じてあってはなりません。
礼儀正しく、お参りしましょう!
石田寺のカヤ。
日野市指定の天然記念物。太さは4.5m、高さ26m、樹齢は400年~600年くらいともいわれるそうです。
土方さんも、このカヤを見ていたのでしょうか・・・。
彼岸花(ヒガンバナ)が美しく咲いていました。
「彼岸」という言葉は、サンスクリット語である「波羅蜜多(はらみた)」の漢訳「到彼岸(とうひがん)」の略で、先祖の霊を敬い墓参りをする仏教行事の事を言うのだそうです。
5月11日は土方歳三が35年の生涯を閉じた命日であり、死後百年以上過ぎた今も、5月第2日曜日に行われる「歳三忌」は、全国から歳三の追悼に訪れた歳三ファンで石田寺は埋まるのだそうです。
35歳という若さで、戦死した土方歳三。
この地球上で、戦争で亡くなる人が「0」になる日を、土方さんも天国できっと願っておられるでしょう!!
日本が、世界が、どうか平和でありますように!!!
(この参拝記は2022年のものです)
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交通アクセス
万願寺駅から徒歩8分。